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上田さち子の一般質問
2009年09月08日

国民健康保険一部負担金の減免について


全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が本年3月に発表した「2008年国保死亡事例調査」では、国保加入世帯の中で経済的事由により受診が遅れ、死亡に至ったと考えられる事例が31件あったと報告しています。その中には昨今の雇用状況悪化のなかで、失職し国保加入手続きができず無保険状態となり病状悪化による死亡もありますが、「高すぎる保険料」とともに「重い窓口負担」が死亡事件を起こしている実態が浮き彫りになりました。失業や倒産、賃金カット、経営難など経済危機の中で社会保障を再構築する上からも、国民の医療負担を減らすことは新しい政権のもとで待ったなしの課題だと思います。
民医連報告の背景には、医療の窓口負担が外来・入院ともに3割という、世界でも異常な事態があります。あらためて世界の医療制度をOECD(経済協力開発機構)加盟30カ国でみると、原則医療費無料は12カ国。定額制、低額の国を含めると8割の国がお金の心配なく医療が保障されています。アメリカの映画監督マイケル・ムーアが、医療保険制度のないアメリカの実態とヨーロッパなどを比較したドキュメント映画「シッコ」で、医療費・窓口負担はゼロの国・イギリスのある病院を訪れます。監督が「無料なわけがない」といくら探しても医療費を払う「会計」の窓口がない。やっと1か所「キャッシャー」という窓口を見つけて「やっぱり医療費はかかるじゃないか」と思いきや、そこは、病院まで来るためにかかった交通費を病院から患者に支払う窓口だったというシーンです。映画を見ていた私も「えぇっ、そうなんや」とびっくりしたものです。
こういう世界の流れからみると、高い保険料を払ったうえ、さらに病気になったら3割の窓口負担、つまり一部負担金を用意しなければ医者にも行けない日本の状況は、やはり異常だといわなければなりません。
今年7月1日付けで、日本共産党小池参議院議員の質疑を受け、厚生労働省医政局指導課長、同社会・援護局保護課長、同保険局国民健康保険課長の三者連名による「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」と題した「通知」が出されました。この通知は、医療機関側の窓口一部負担金未収金問題の未然防止等とともに、保険者として窓口一部負担金減免制度の活用を訴えています。
西宮市でもすでに、国民健康保険条例第16条で、1.災害又は盗難により資産に重大な損害を受けたとき 2.事業もしくは業務の休廃止または失業により収入が著しく減少したときなどは世帯主の申請により窓口一部負担金を減免猶予することができるとし、要綱でくわしく規定しているところです。しかし現実にはほとんど活用されていません。問題は、先に述べた被保険者の実態に合った、ニーズに沿った「生きた制度」になっているかということです。

<質問>

  1. 西宮市では、一部負担金減免制度の申請件数と認可件数はどうなっていますか。
  2. 医療機関への同制度について周知徹底状況は
  3. 現在、保険料の条例減免を受けている世帯は12366件で、保険料を払うのさえ困難です。この上、病気やけがで医療が必要になったときの窓口一部負担金は大変重く、受診を控え重症になりかねません。また、申請の際に収入が生活保護基準の1.3倍以下であることとともに、「3ヶ月以内に治療完治」という条件が必要となっていることから、高齢者等は、収入基準はあっても慢性疾患の場合が多く、「3ヶ月以内治癒」にさえぎられ、制度から除外されるなど高いハードルになっています。低所得者層の方々が、広く窓口一部負担金減免が受けられるように、制度の大幅改善をすべきだと思いますがどうでしょうか。