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2009年9月議会 佐藤みち子議員の発言
2009年10月01日

2008年度決算認定に対する反対討論


 日本共産党西宮市会議員団は、認定第14号2008年度、平成20年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件に反対をいたします。以下、その理由を述べます。
 8月30日に投開票がおこなわれた衆議院選挙は、自民・公明の与党大敗で政権交代を引き起こす歴史的な選挙となりました。自公政府が強行してきた「構造改革」路線は、大企業の競争力を強くすれば日本経済も強くなるとして、財界、大企業を応援する一方で、国民には増税や社会保障の削減を押しつけてきました。雇用も破壊され、年収200万円以下の低賃金労働者が1,000万人を超え、全国的に貧困と格差が広がりました。国民の命と暮らしをないがしろにしてきた自公政権に、国民がノーの審判を突きつけた結果です。
 9月16日、民主党を中心とする3党連立の鳩山政権が発足し、記者会見で「国民の期待に応えるような新しい政治をつくりたい」と表明しました。民主党は、マニフェストで労働者派遣法の抜本改正、後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の「応益負担」の廃止、生活保護の母子加算の復活、公立高校授業料の無償化、給付制奨学金創設などを掲げました。これらは全て国民の願いに添ったもので、新政権に求められるのはこの公約の実行です。
 また、地球温暖化防止のため、2020年までの温室効果ガス削減目標を25%とすることや、核兵器を積んだ米艦船の立ち寄りを認めた日米の「核密約」問題も早々に調査をはじめています。
 労働者派遣法の抜本改正や地球温暖化対策では、財界の抵抗を打ち破らなければなりません。日本共産党は、鳩山政権に対し、「よいことには協力。悪いことにはきっぱり反対。問題点をただす」という「建設的野党」の立場をつらぬきます。そして、草の根の運動と協力し、国民の願いにそって政治を前にすすめるため力を尽くします。同時に、「財界中心」「日米軍事同盟中心」の政治のゆがみを大本からただし、「国民が主人公」の新しい日本をめざす仕事に取り組んでいきます。
 さて、西宮市の一般・特別会計を合わせた決算総額は、歳入総額は2,234億5,560万円歳出2,212億7,800万円で、歳入歳出差引額は21億7,753万円、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額で17億4,992万円になっています。減債基金、財政基金の2009年5月末現在は140億4,911万円に上り、これは、前年同時期の122億2,428万円にさらに18億2,482万円積み上げたものです。
 黒字の要因は、歳入では、本年4月に中核市に移行したことにより地方交付税が前年より20億4,335万円増加し、市税は19億30万円増加しています。これは、個人市民税で課税人口の増等により8億8,000万円、固定資産税で家屋の新増築の増により6億2,500万円増加しています。
 そして、2005年から実施された「第3次行財政改善実施計画」です。4年間の目標額は211億9,100万円と予定していましたが、4年間の累積効果額は約280億円になっています。目標額を上回った要因として、正規職員の減員が前倒し、当初計画になかった廃棄物処理手数料、留守家庭児童育成センター育成料の値上げ、市税、国民健康保険料、市営住宅の家賃滞納対策等をあげています。まさに市民に負担を押しつけた結果です。
財政状況は日本共産党が指摘してきたように大幅に改善されています。新政権は、自公政権が廃止をした生活保護の母子加算を復活すると明言しました。市でも廃止した市単独扶助費、生活保護受給者の下水道料金の減免、夏・冬の見舞金等は直ちに元にもどすべきです。
 官から民への命令で始まった指定管理者制度ですが、現在34種類277施設が指定管理者制度になっています。市は、この制度になにも問題はないとしていますが、指定期間が2年から5年の短期間で、正規職員を配置することは困難、指定期間が満了しても継続できるとは限らない、指定管理者が変更した場合、職員が入れ替わるなど問題点が多々あります。学童保育や福祉施設はこの制度にはなじみません。せめて非公募にすべきです。また、官製ワーキングプアと呼ばれる労働者を作り出していますが、市は、働いている人の人数、賃金、雇用形態などの実態を把握していません。直ちに実態調査をすべきです。官製ワーキングプアは、運動もあって全国的にも問題になり、公契約条例を制定する動きが自治体でも起きてきています。千葉県野田市では、9月議会に市長が公契約条例を提案し全会一致で採択されました。全国で初めてのことです。総務局では、今年中にプロジェクトチームをつくり研究していくと決算分科会で答えました。早期の条例制定を期待します。
 市教育委員会は「西宮市立幼稚園教育振興プラン(素案)」を発表しました。21園ある公立幼稚園を2012年度より順次6園廃止しようとするもので、とうてい認めることはできません。公私間の格差是正を理由に公立・私立の幼稚園を分断し、保護者の対立をもたらすようなやり方はやめるべきです。また、市では「まちづくりの主人公は市民」を目的に「市民参画と協働の推進に関する条例が施行されていますが、その中で、市が市政の基本的な計画等の策定等の案については、説明会、意見交換を設けるよう努めるものとすると定めています。先にパブリックコメントではなく、当然この趣旨にのとって教育委員会は、保護者や地域の人たちに説明をし意見を聞き、市の幼稚園教育をどうして行くのか考えていくべきです。説明会の開催と拙速に結論を出すべきではないことを指摘しておきます。
 また、保育所の待機児童も深刻です。9月1日で約500人、来年の3月末には約700人から800人の待機児童がでると予測しています。早急に保育所整備計画をたて、待機児童を解消し希望する人が誰でも保育所にはいれるように子育てを支える体制を作っていくことを強く訴えるものです。人口急増は保育所待機児童だけでなく、小学校の教室不足が毎年つづき、プレハブ校舎等が増え続け、長期にわたって教育環境が劣悪になっていることです。市全体での開発規制を求めます。
 最後に格差と貧困を広げた「構造改革」路線に対し国民はきっぱりと審判を下しました。山田市政はこの路線にのり「限られた経営資源を最大限に活用し、市民満足度の高い行政経営を行う」と「行政経営改革」をすすめ、市民に痛みを押しつけてきました。地方自治体の本来の仕事は、市民の暮らしや福祉を守っていくことです。今後は、市民の命と暮らしを守る市政に転換するよう要求し、日本共産党西宮市会議員団もその立場で奮闘します。
 以上 日本共産党西宮市会議員団の決算反対討論とします。