2010年度予算要望書/* --項目挿入-- */?>
2009年10月19日
教育委員会
- 長らく続いた自民党政治は、子どもたちを競争でふるいにかけ、ゆきすぎた管理で人間性を傷つけるなどで教育をゆがめ、さらに「構造改革」路線は、教育条件の悪化や「子どもの貧困」をもたらし、日本の教育は深刻な矛盾に直面している。
とりわけ、改悪された教育基本法に沿った教育への国家介入の強化、競争教育の一層の押し付けが懸念される中、新政権が発足した。今後は、教育のゆがみをとり除き、憲法の平和・人権・民主主義の原理に立脚し、子どもの権利条約を生かし、すべての子どもの成長発達を支える教育を進めるべきであり、以下のことに取り組むこと。- 教育は子どもと教師のふれあいなどのなかで、自主的にはぐくんでいくことが大切である。教育の自主性を侵す「教育振興計画」の撤回を国に求めること。
- 「日の丸・君が代」は教育現場での強制調査や管理指導は絶対行なわないこと。
- 学力向上に役立たず、学校の序列化や競争につながる全国いっせい学力テストは問題であり、新大臣は抽出方式に見直しを明言している。市は参加しないこと。
さらに、市が実施しているリサーチプランについても中止すること。 - 日本の侵略の実態や従軍慰安婦問題、沖縄戦、原爆、空襲など次世代に戦争の歴史を伝えることがますます重要になっている。また、核兵器廃絶を求める世界の世論の高まりも顕著である。今後とも平和教育を重視すること。
- 次期教科書採択に当たっては「つくる会」教科書は採用しないこと。
- 一人ひとりの子どもに行き届いた教育をするために
- 市の開発政策の誤りにより児童が急増し、一部の学校ではプレハブ教室での対応を余儀なくされており、現在17校園75教室まで広がっている。「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」の予測地区指定では何の効果もない。本要綱を条例化するとともに、市全域を受け入れ困難地区に指定し、これ以上のマンション開発は全市域で中止するよう、市長部局との協議を進め、子どもたちの教育環境を守ること。
- 義務教育全期間にわたり、30人学級の実施を強く国に要求すること。また、それが実施されるまでの間、小学4年生まで実施している35人学級を義務教育全学年に拡充するよう県に求めること。
- 学校配分予算は近年減り続けていたが、ここ1?2年はわずかだが増額傾向にある。新年度は大幅に増額して児童・生徒一人あたりの額を引き上げ、「文教住宅都市」「子育てするなら西宮」にふさわしい教育を実施すること。
- 子どもをとりまく社会環境が悪化するもとで、子どもたちを市民みんなで育てていくことをめざした「子ども条例」が金沢市などで制定されている。西宮市も「子育てするなら西宮」をキャッチフレーズにしており、「子ども条例」制定を検討すること。
- 行き届いた教育のための人的配置等について
- 本定数の教員が県教委で確保されず、半年ごとに契約更新する1年契約の講師が小学校で9%、中学校で11%を占めている。また、新学習システム担当教員は非常勤講師である。学級担任・専科・新学習システム担当教員については正規教員を確保するよう、県に強力に求めること。教員の現職死亡や病休、また、メンタル面での休職が増えている。この背景には教員の多忙さがある。改善のために教員の増員をはかること。
- 年休や出張時には県教育委員会の要領に基づき、代替教員等の配置を行っているが、実態としては短期対応などで不十分な状況となっている。さらにきめ細かな補助員配置を要求するとともに、市独自でプール指導時の補助員や中学校の理科・技術家庭科の実習助手など現場の声を聞き確保すること。また事務職員の増員もすすめること。
- 更衣室、休養室が設けられていない学校が多いが、早急に改善すること。
- 教員免許更新制度がスタートしたが、教員にとっては何のメリットもないどころか、費用負担や時間ロスなどデメリットのほうが大きい。国に教員免許更新制度の廃止を求めること。
- 虐待を受けている子ども、登校拒否、いじめ等、心のケアを必要としている子どもが増えている。すべての子どもが、それぞれにふさわしい教育をうけられるよう、養護教諭の複数配置やスクールカウンセラーを小・中学校全校に配置することを、国・県に求めること。また、市独自でも行うこと。市長部局や県子どもセンターなどとも連携し、対策を検討・実施するとともに、学校外の相談・支援の場などについても情報を提供すること。
- 学校施設の整備について
- 児童急増対策では5年間で解消が見込まれる教室不足については、プレハブ対応との方針だが、5年を過ぎてもプレハブ教室という学校もある。近い将来実施されるであろう30人学級実施への対応や、老朽化対策も含めて、抜本的な校舎増改築計画を立て、とりくむこと。増改築の際には設計時から現場の教員、地域などの意見もよく聞くこと。
- 老朽化のすすんでいる校舎等に必要なものについては改修をすすめること。各学校からの改修要望にはただちにこたえること。
- 温水シャワーは障害児学級の一部と教職員用には中学校全校と小学校の一部に設置しているが、全校に設置すること。
- 小学校と養護学校に警備員が午前中のみ配置されているが、下校時まで配置すること。
- 小・中の普通教室へのエアコン、エレベーター設置については、耐震化が終了すれば直ちに市内全校一斉に設置すること。また、災害時の避難所となっている体育館へのエアコン整備もすすめること。その際には、電気容量も余裕あるものに改善すること。
- 学校のトイレは、引き続き、入り口のドアを取り付けるなど、外からトイレの中が見えないようにし、洋式便器を設置、増設するなど、子どもたちの人権を守るとともに、現代の生活様式に見合った改修・改善を早期に実施すること。また、清掃回数増にも引き続きとりくむこと。
- 国補助を受けて、教職員一人一台の校務用コンピューターが100%配備されることになった。また、教育用コンピューターは児童生徒7.8人に1台確保される。これらが十分活用できるよう、研修やサポーター派遣など必要な対策をとり、「わかる授業の推進や、校務の省力化により子どもと向き合う時間を確保する」という本来の目的を達成できるよう最善を尽くすこと。
- 個人情報の学校園からの持ち出しは行なわないなど、すべての教職員に個人情報保護を徹底すること。学校園においては校長、園長が管理監督をすること。
- 小・中学校では図書室アクションプランで蔵書は拡充されている。真の学校図書教育を充実させるために、専任の司書教諭を市費で全校に配置すること。
- クラブ活動の各種競技大会派遣経費(交通費補助)が、第3次行財政改革で削減されているが、改めて補助額を引き上げるとともに、特に北部の学校については“教育の機会均等”を基本に、市内大会についても交通費を支給すること。
- 「こどもの貧困」が新たな社会問題となっている。就学奨励金については、実態に応じて所得制限を緩和し、受けられる世帯を増やすこと。また保護者が修学旅行積立金等を立替払いしなくてもいいように、年度当初から支給すること。申請手続きについては、保護者が希望する場合、直接教育委員会で行なえるようにすること。めがね購入費の補助(上限5000円)を復活させること。
- 奨学金制度については給付制奨学金の創設が新政権のもとで課題となってきた。国や県にその早期実現を要求するとともに、市独自の制度については拡充すること。
- 幼稚園教育について
- 教育委員会は、現在の21園の市立幼稚園を6園統廃合し、15園に縮小するとした「西宮市幼稚園教育振興プラン」を発表した。これは市立園を廃止して節減した財源を、保護者負担の公私間格差是正に活用することとしているが、幼児教育の充実にはつながらず、また市民の願いにも全く逆行するものである。このプランは撤回すること。
- 4歳児クラスの定員が少ないために、希望する子どもが入園できていない。市立幼稚園2年保育の募集定員を増やし、入園希望者を全員受け入れること。また、要望の強い「3年保育、延長保育、子育て支援事業」等々を充実させ、地域に開かれた幼稚園運営を基本にすえること。
- 若い世代ほど貧困がひろがり生活が困窮している。公立幼稚園保育料の減免制度については、市民税所得割が基準額以下の世帯はすべて免除となっていたが、生保・市民税非課税で母子家庭・父子家庭の場合以外は除外された。若い世代を応援するためにも、元の制度に復活させること。
- 私立幼稚園就園奨励助成制度における所得制限は撤廃し、奨励金も増額すること。
- 認定子ども園は、入園希望者が自治体ではなく園に直接申し込んで契約するしくみ(直接契約方式)や、保育料をそれぞれの園が自由に設定することなど、財界が求める「規制緩和」を先取りするものとなっている。保育関係者からは「保育にたいする自治体の公的責任の後退や、子育て格差の拡大につながる」との懸念が出されている。
西宮市では認定こども園を将来的にもつくらないこと。 - 障害児教育について
- 適正就学指導を充実させ、保護者の意向や子どもの実情に応じた教育ができるようにすること。
- 様々な種別の障害児に対応できるよう、全校に必要な特別支援学級を配置すること。
- エレベーターの設置をはじめ、施設整備をはかること。
- 障害児教育においてはとりわけ専門家も含めたマンパワーが必要である。特別支援教育支援員が全学校に配置されたが、実態に応じて複数配置すること。特に、コーディネーターや医療職員を配置すること。また、学校協力員については、ボランティアから正規職員にすること。
- 障害児が所属している普通学校に対して教員加配や介助員の配置を県に対して強く求めること。
- 市立西宮養護学校の介助員について、一律子ども2人に介助員1人と基準を決めて配置しているが、現場の状況から柔軟に対応すること。
- 市立西宮養護学校に幼稚部を設け、障害を持つ子供の幼児教育の選択肢を拡大すること。また、公立幼稚園全園で、障害児の受け入れを行うこと。そのために必要な教員の研修やマンパワーの充実を行うこと。
- 高校教育について
- 2009年から「複数志願・特色選抜」に公立高校の入試制度が変更になった新しい入試制度で現場ではとまどいや混乱が起き、心配された高校の序列化もあらわになってきた。この制度について、検証すること。
- 北部には公立高校がないため、学校が居住地から遠くなることが大きな問題となっている。宝塚学区等の受験が可能となるなど一定の改善がなされたが、北部への県立高校設置を働きかけること。
- 南北バスが2009年度から本格実施され、市内全域の通学に貢献することになる。運営にあたっては基金が設置されたが、基金のある無しにかかわらず市の責任で運行し続けること。
- 西宮市の小中学校での学校給食は、“直営自校方式”で実施されている。子どもたちの健康と成長をまもり、教育の一環としての学校給食という立場から、次のことを実施すること。
- 将来的にも「直営自校方式」を堅持すること。
- 正規調理員を基本とした人員を確保すること。また、同じ職務にありながら新嘱託の賃金は劣悪になっている。早急に改善すること。
- 食物アレルギーを持つ子どもが増加していることを踏まえて、早急にアレルギー除去食を実施すること。
- 「米飯給食」については自校炊飯ができるところから取り入れること。米粉パンについても導入を検討すること。
- 「統一献立」「食材一括購入」については、学校ごとの献立、野菜等地域の生産者から可能な限り購入するよう、可能なところから工夫して取り組むこと。
- 食育の観点からも栄養教諭を全校に配置すること。
- 財団法人・学校給食会への市補助金の不正流用事件は現在係争中であるが、真相は未解明である。引き続き調査し、市民や議会に報告すること。
- 市教育委員会は、人権教育といいながら同和問題一色の“西宮市人権同和教育協議会”を続けているが、これは廃止すること。
- 公民館について
公民館は1中学校区地域に1公民館を基準として設置しているが、設置場所によっては使いにくい地域もある。また、地域集会施設とは違い、社会教育の拠点である公民館の充実のため、次のことを実施すること。- 公民館は指定管理者制度を導入するのでなく、市直営を堅持すること。
- 公民館使用団体である登録グループの使用料の減免が廃止された。無料に戻すこと。
- 上ヶ原地域、甲陽園地域、広田地域に公民館を新設すること。
- 各公民館への洋式トイレの増設をすすめること。
- 要望の強いベビーベッド、授乳室の設置をすすめること。
- 高須公民館の空調設備の音が大きすぎる。また温度調整ができないので改善すること。
- 図書館について
- 分室については民間委託が強行された。住民にとってもっとも身近な分室の運営については、毎年の入札で業者が替わり、人も替わってしまうと継続性は保てない。直営に戻し市民サービス向上をめざすこと。
- 司書正規職員を増員し、適正な配置を行うこと。
- 拠点図書館については毎日開館すること。また開館時間についても、改善の方向は示されているが、北口図書館は勤労者が利用できるよう午後9時までとすること。そのために必要な人員を確保すること。
- 要望のある津門・今津、甲陽園地域に地域図書館を設置すること。たとえば、教育会館等に分室を検討すること。
- 蔵書数を大幅に増やすこと。
- 市民要望の強い温水プールを再建整備すること。また、厚生年金プール跡地に子どもたちが安心して遊べ、家族で憩える市民プールをつくること。
- 第4次総合計画には、市民ふれあいの森整備構想があるが、必要性や財源などについて、市民の声も聞き慎重に検討すること。
- 高須東小学校跡地の活用について、全市全庁的な視野で有効活用が図れるよう十分検討すること。
- 教育委員会庁舎はエレベーターが未設置のままとなっている。建替える時期も考慮しなければならないが、多くの市民や関係者が訪れる施設でもあり、ただちに設置すること。