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2010年度予算要望書
2009年10月19日

環境局


  1. 地球温暖化抑止の取り組みについて
     今年9月、鳩山首相は気候変動首脳会合(気候変動サミット)で、日本の温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減することを表明した。これにより、日本の中期目標はこれまでの8%から3倍に引き上げられることになる。また、今年12月にはコペンハーゲンで開かれる温暖化に関する国際会議では2013年以降の新たな国際的取組みを具体的に決定される。これまで国は後ろ向きの姿勢をとってきたが、このような状況が一変する中で、西宮市にもこれまでの計画や対策を根本的に改めることが求められる。
     以下の点について、早急に取り組むこと。
    1. 国に対して、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で30%削減することを中期目標とするよう求めること。
    2. 地球温暖化抑止について本市は、「西宮市環境計画」や「第2次西宮市地球温暖化対策実行計画」等に基づいて取り組んでいるが、計画そのものが不十分であり、抜本的に改めること。その際、特に日本の温室効果ガス総排出量の8割を占めるといわれている産業界の削減がカギである。事業者責任を果たさせること。
    3. 公共施設への太陽光発電など自然エネルギーの導入について、積極的にすすめること。現在すすめられている学校施設での太陽光発電設置は、学習用の低電力のもので、本格的に発電できるものに方針を変更すること。
       また、県に家庭用太陽光発電補助制度の拡充を求めるとともに、市として制度を創設すること。さらに、設置住宅には固定資産税の減免など、全庁的な推進施策をとること。
    4. この間取り組まれている庁舎の屋上緑化や緑のカーテンも室温を下げるなどの一定の効果があることから、他の公共施設についても実施すること。環境学習都市西宮としてのリーダシップを発揮し、事業者としての取り組みを強化し、民間企業にも協力を求めること。
    5. 公共交通の利用を促進し、自動車利用を抑制すること。毎月20日のノーマイカーデーについても、実効性がないので、もっと強力に推進すること。
    6. CO2排出量を非公開している近隣の大規模排出事業所の情報開示と削減の義務付けなど国・県に求めること。
    7. この間の高速道路料金の1000円への引き下げで、CO2が大量排出されているとの研究結果が発表された。新政権公約の高速道路無料化を実施しないよう、国に求めること。
    8. 店舗の看板や店内照明については、過剰な電光の使用を抑制するとともに、スーパーやコンビニなど、深夜・24時間営業についても規制を行うこと。
  2. ごみ問題については、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型社会から、資源循環型社会へ移行させることが求められている。大型焼却炉によるごみの“焼却中心主義”から脱することができずにきたが、本格的に分別、リサイクル、ごみを出さないなどの取り組みでごみの減量化を推進していかなければならない。
      以下のことに取り組むこと。 
    1. ごみの発生を設計・生産段階から削減するためには、自治体と住民に負担を押しつける現行制度を、OECDも勧告している「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直すことが必要である。ひきつづき国に求めること。
    2. 粗大ごみや家電4製品の不法投棄が多い。特に、家電4製品の不法投棄を誘発する「家電リサイクル法」についてリサイクル料金等の製品価格への内部化を義務づけるよう国に求めること。パトロールや啓発を引き続き強化すること。
    3. 東部総合処理センターの更新に際して、2012年度から施設の管理・運営が民間委託される。しかし、20年間の委託契約はあまりにも長期すぎる。定期的に厳正なチェックを必ず行うこと。
    4. ごみ減量化を名目に、家庭用ゴミ収集の有料化の声がある。しかし、実施に踏み出した他の自治体では、かえってゴミが増えている。ゴミ減量につながらず、市民に負担を強いる有料化は絶対におこなわないこと。
    5. 事業系などのゴミ処理手数料等が有料化され、零細な業者から苦情が寄せられている。中小零細業者のくらしを圧迫する有料化を中止すること。また、介護・老人福祉施設など入所施設について、市は、福祉的観点から処理手数料の控除を行っている。通所・通園の施設についても拡充すること。
    6. ゴミ減量、再資源化には徹底した分別が必要である。第4次総合計画では、その他プラスチック類びん等の分別収集についても取り組むとのことであるが市民の協力をえて、早期におこなうこと。また、ビンなどのリターナブル化等も促進すること。
    7. ゴミ収集の業者委託は、国道2号線以北の地域まで行われており、その業者選定は、競争入札になっている。委託を受注したい業者は、少しでも入札価格を安くするために、労働者の人件費を切り下げ、結果として、ワーキングプアを生み出している。労働者の労働条件切り下げにならないよう、賃金・労働条件を保障する「評価基準」を設けた総合評価型入札制度にすること。
    8. にこやか収集の条件を緩和し、対象を拡大すること。
    9. 燃やさないゴミ等の収集に利用しているコンテナが重く、高齢者等の負担になっている。直ちに軽量化すること。
    10. ごみステーションの設置場所をめぐり、近隣トラブルがある。集合住宅を含め、よく指導すること。
    11. 今年度より、スーパーのレジ袋減量化に取り組んでいる。さらに、参加事業者を増やすとともに、市民にも強く呼びかけ、運動化すること。
    12. ごみの焼却・埋め立て処分をしないという点で、コンポスト化の推進も必要である。現在実施している、生ごみ処理機への購入補助を引き続き推進するとともに、市としてコンポストセンターを整備すること。
  3. アスベスト対策について
     アスベスト対策法は、施行後も認定対象がせまく、救済数も少ないなど様々な問題点が指摘されている。市民の命と健康を守り、不安を取り除くためにも、アスベスト対策について以下のことを実施すること。
    1. 認定基準を緩和するなど、全ての被害者・家族により充実した補償と救済を行うよう、国に要望すること。
    2. 具体的被害が明らかになった場合、迅速に対応すること。
    3. 解体による飛散防止策をより強化するとともに、解体業者への飛散防止費用の助成制度を新設するよう国・県に引き続き働きかけること。
    4. 市内の公共施設、駅舎など民間施設を含め、現状把握と安全な除去も含め、引き続き対策を講じること。
  4. 大阪空港について
    1. 大阪空港は、住民の安全を脅かすという点で「欠陥空港」である。早期の撤去を求めること。
    2. 撤去するまでは、国の責任を明確にし、航空の安全、騒音問題、環境整備等、引き続き解決に努力すること。
    3. この間、法の改正による事実上の格下げで、これまで国の責任で負担してい た環境対策や空港の維持管理費用の一部を大阪府や兵庫県が負担することになった。西宮市にも新たな負担が予想される。その際、維持・管理費等の負担については、拒否すること。
    4. 11市協(大阪国際空港周辺都市対策協議会)は、「航空機騒音防止対策、環境整備の促進等をはかること」が目的の組織であるにもかかわらず、利用者利便の確保や空港周辺地域の活性化等を強調する中で、実態としても変質している。11市協から直ちに脱退すること。
  5. 幹線道路の騒音・公害防止について
    1. 大気汚染常時監視測定局は、現在、11局ある。さらに測定局を増設し、観測態勢を強化すること。その測定結果については、市民に積極的に公表すること。
    2. 微小粒子状物質PM2.5による健康被害が懸念される。環境省は今年9月に環境基準を告示したが、西宮市には測定器がない。早急に整備すること。
    3. 国道176号線は、依然として交通量が増大し、渋滞に伴う環境悪化も懸念されている。ただちに環境対策をとること。
  6. 自衛隊のヘリコプターの騒音被害が出ている。市民生活に影響が出ないよう国に対応を求めること。
  7. 神戸製鋼所石炭火力発電所からのばい煙について、市民への影響がないと断定はできない。神戸市とも連携し、対応すること。特に、健康被害の懸念される微小粒子状物質PM2.5についても神戸製鋼所に対してその測定と公開を義務づけるよう県にもとめること。
  8. 花火などの騒音や生活騒音におけるトラブルが増えている。特に花火については、「快適な市民生活の確保に関する条例」に基づき、パトロールを実施しているがなお市民からの苦情が後を絶たない。パトロールの予算を増やして回数も増やし、時間も延長するなど厳正な指導を行うこと。
  9. 依然として産業廃棄物の不法投棄があとを絶たない。引き続き監視カメラの設置や徹底した立ち入り調査が必要である。直ちに取り組むこと。不法投棄のルートと関与者を解明し、違反者はもちろん、排出者の責任で撤去させること。
  10. 食肉センターは、市民にとって何のメリットもないにもかかわらず、2008年度から3年間の指定管理者制度が導入され、これからも際限なく市民の税金を投入する道がひらかれた。その上、市は、基本方針として2011年度から公設民営化の道をめざすとしている。新年度には方針を明確化しなければならない。2004年の「食肉センター検討委員会」の「提言」どおり、完全民営化か、施設を閉鎖するか明確にし、これ以上の税金投入はやめること。特に、指定管理者にもかかわらず、3名の市職員を配置しており、ただちに引き上げること。
  11. 阪神間で唯一残された自然海浜である甲子園浜、香櫨園浜の浜辺は、鳥獣特別保護区もあり、野鳥や水生生物の観察、市民の貴重な憩いの場ともなっている。県によるヘドロ調査や実証実験施設をつくっての水環境再生実験もおこなわれたが、その結果も生かし、県と共に、ひきつづきヘドロの排出や養浜、浜をつなぐ海流の復元に取り組むなど、干潟、自然浜、海の再生をはかること。
  12. 公園整備について
    1. 緑の確保、環境保全、市民の憩いの場、また緊急避難所として公園は重要な役割を果たしている。市民参加を大切にしながらも、公園の維持管理についての予算を大幅に増額し、最終的には管理者である市が責任を持って管理すること。
    2. 緑の基本計画では、2018年には緑地率で25%(2008年度末17%)、一人当たりの公園面積16.8?(2008年度末9.39?)を目標にしているが、公園整備は依然として進んでいない。早急に公園整備を進め、街なかに公園を新たに確保すること。また、公園を整備あるいは改修するときは、利用者の意見を取り入れること。
    3. 西宮浜北護岸と御前浜を総合公園として一体整備する計画は、2015年度以降の整備予定である。地域住民の声も反映させ、早急にすすめること。その際には、西宮浜に西部総合処理センターの余熱を利用した温水プール付きの体育施設を建設するための調査費を計上すること。暫定開設されたスケートボード場は本格整備し、ナイター設備を早急に設置すること。
    4. 全市的に公園の傷みがすすんでいる。老朽化した遊具やベンチ等でのケガを防止するため、おもいきって予算を増やし、一斉改修を行うなど、公園の再整備をすすめること。特に、必要なところは、新しいものと取り替えること。公園のトイレについても順次改修し、要望のあるところでは、設置すること。身障者用のトイレも整備すること。
    5. 堀切町市営住宅跡地に住民要望を聞き、早急に公園を整備すること。