2010年度予算要望書/* --項目挿入-- */?>
2009年10月19日
都市局
- 人口が増加し続ける西宮市にあって、「文教住宅都市」としての街のあり方が問われている。震災後に行ったマンション開発の規制緩和により、人口が爆発的に急増したことで、一つは住環境が大きく損なわれる問題や、二つには学校や保育所、高齢者施設などが不足し、市民生活に大きな不安を与えていることである。都市局として一定の開発抑制策を取っているとはいえ、根本的な対策とはいい難い。まちづくりは、住環境や市民生活に支障の出ないことを見通した総合政策が求められる。全庁的に連携し、これ以上の住環境悪化や人口増とならないよう、「文教住宅都市」にふさわしいまちづくりをおこなうこと。
- マンション等の開発については、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」や「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとり、その後も開発抑制指定地域の拡大をはかっているが、1、で述べた通り学校の教室不足や10月1日現在で579人にもなった保育所待機児童問題など、人口増に伴う課題解決が迫られている。不況が続く中、開発が鈍化している今こそ、マンション開発規制を進めるために以下の取り組みを行うこと。
- 「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を条例にするとともに、市全域を「受け入れ困難地区」として規制すること。
- 一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供とともに、開発によって市に整備が求められる、教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。
- 10戸以上のマンションを建設(第1種中高層住居専用地域)する場合には、1戸あたりの必要敷地面積を50?以上とし、戸数規制をすること。
- 北口線と球場前線の高松町交差点については踏切が残存される。人と自転車の平面横断の安全確保のため、「踏切信号機」設置とともに歩車分離信号とし、4方向すべての安全対策を図ること。
- 阪神西宮駅北側駅前広場整備事業を、「第4次総合計画」の前期に事業化をはかることとしているが、同地区は阪神立体高架事業時に一定の整備がすでになされている。
これ以上市による整備の必要性はない。市民の要望もなく、阪神電鉄所有の分散した土地の集約のためとしか言えない同事業計画は撤回すること。 - 開発指導について
- 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)に基づく事業者による住民協議に対しては、市として市民の立場に立った指導を徹底すること。
- 開発条例では「開発区域に接する道路は6m(中心点より3m後退)に拡幅すること」と規定しているが、開発区域への進入道路については「・・・市長が認めたとき・・・」には6m未満でも開発を認めている。現在、議会の指摘を受け基準づくりの検討が進められているが、その際、進入道路も含め最低6mを確保できない場合は開発を認めないこと。
- 地球温暖化対策の緊急な取り組みが求められている。建物の屋上や壁面の緑化を推進するとともに、小規模マンションや戸建て住宅にも雨水貯留槽設置、太陽光パネル設置を促進するよう、市の助成制度(設置家屋への固定資産税減免等を含む)を創設すること。
- 500?未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらし、結果的に500?以上の開発を行う事例がある。このためゴミステーションが設置されないため、近隣住民とのトラブルが発生するなど、トラブルがあとを絶たない。いわゆる「開発のがれ」を許さない対応策を早急にたてること。
- 阪急西宮北口駅南地区土地区画整理事業内のサティ跡地の利用については、現段階では駐車場への土地利用がされている。今後は市として、芸文街区の一角として、整合性をもったものになるよう注意を払い指導すること。
- 生産緑地は、都市部での緑地の保全や災害時の避難場所等の役割を果たしている。
ところが近年、土地所有者が相続税対策等で生産緑地を解除し、減少し続けている。
営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、必要な手だてをとること。また、要望があれば追加指定をすること。 - 8、高校野球大会などで全国に知られている阪神甲子園駅は、毎日5万人以上の乗降客が利用しており、エレベーター設置は地域住民の大きな要求となっている。現在連続立体交差事業が進められているが、この事業と整合性をもたせ、バリアフリーの駅舎及び駅周辺整備の全体構想を、阪神電鉄が主体的に策定するよう、市は強力に指導すること。
- JR西宮名塩駅の改札口までに、下りエスカレーターを設置するよう、関係機関にはたらきかけること。
- 市民の社会参加促進、また温室効果ガス25%削減など地球環境への負荷軽減からバス交通の充実は重要課題である。しかし、市としての市域全体に対する「やる気のある」交通政策がまったく感じられない。地域交通の柱となるバス交通について、以下の項目に本気でとりくむこと。
- 市内交通不便地域が明らかにされたが、この解消に向けた現状調査などを実施し、市としての取り組み方針を明確にすること。
- 北部と南部を結ぶ南北バスの本格運行が始まった。今後は赤字を理由に撤退することなく、市が責任をもって運行すること。また、地元の財政力のありなしで、バス交通の実施を決めることがないようにすること。
- 北部の住宅開発地区では高低差があることと合わせ高齢化が進んでいる。現在、塩瀬地区で順次実態調査を実施しているが、地域住民まかせではなく、市が主体性をもってコミュニティバス運行等を進めること。
- 全市の交通不便地域解消に向け、検討委員会を立ち上げること。その際、市民の要望をよく聞き、意見や提案を取り入れられるよう、広く市民代表も参加させること。
- 1991年に供用開始された盤滝トンネルを含む西宮北道路建設に際し、県道路公社に対し市は、2021年一括償還の約束で12億1500万円の無利子貸付を行った。この間、通行量は当初計画の約2倍になり、通行料も大幅増となっている。県道路公社の収支経営状況を明らかにし、2021年に一括償還となっていることを見直し、直ちに償還を求めること。また、盤滝トンネルは市民の生活道路となっており、通行料を無料とすることも求めること。
- 都市再生機構による浜甲子園団地の建替え事業が行なわれているが、都市再生機構まかせで市のまちづくりに対する主体性がみられない。都市再生機構に全体事業計画を明らかにさせるとともに、新しいまちに必要な幼稚園・保育所・高齢者施設・集会施設等、都市再生機構の責任で整備することを求めること。
- 市営住宅について
- 市営住宅の管理については、北部は民間会社、南部を都市整備公社が指定管理者となっている。個人情報の保護や福祉の観点等から、直営に戻すことを検討すること。
- 「貧困と格差」が広がり、不況が追い打ちをかけるなか、年々市営住宅への入居希望者が増大している。市は今後の総管理戸数を、いまの1万戸から7,300戸程度に減少させることを表明しているが、市民の願いに逆行している。福祉的観点からも市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。
- 空き家募集の際、多回数落選者優先を復活させること。
- 既存市営住宅のエレベーター未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、エレベーターの電気代(年間、1機当たり約6万円)については、個々のドアまでは公共空間という観点、及び改良住宅ではエレベーターに係る経費としての電気代を徴収していない実態に合わせ、電気代徴収をやめること。
- 一般と改良住宅で住宅改修のあり方が相違している。入居者が快適な日常が遅れるように、市として明確な基準をつくり実施すること。
- 風呂の補修や入れ替えについては、入居時に自ら設置したケースや復興基金を活用して設置した場合は自己負担で行わなければならず、入居者の大きな負担となっている。市の費用で改修するなど早急に改善すること。
- 不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。公務員で該当する者については早期に退去させること。万一、市職員で該当者がいる場合は公表すること。
- 名義継承は配偶者に限るようにとの国の通知があるが、低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き慎重に対応すること。
- 都市整備公社が管理する特定優良賃貸住宅は、空き家対策として「特別減額」されており、これには国の補助とともに、市の一般財源3800万円が補助金として支出されている。平成25年度には国の補助がゼロとなることから、さらに市の補助が増額になる見込みである。国が推進した特定優良賃貸住宅制度であることから、補助制度の拡充と期間延長を求めること。また、20年間の公社による管理期間経過後は、特優賃住宅の契約を解除し、建物所有者にすべて返還すること。
- 青年や高齢者をはじめとする低所得者層での住宅困窮者に対しては、市営住宅や特定賃貸住宅の空き家で対応しようとしているが、倍率が高くさらに高額な家賃などから現実的対応とはいえない。市として、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。
- 全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が求められている。しかし個人住宅の耐震化は遅々として進んではいない。現在、県の耐震診断と耐震補強についての補助制度とともに、市の補助制度が上乗せされたが十分ではない。さらに拡充すること。