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佐藤みち子の一般質問
2009年12月11日

保育所問題について


待機児童解消について

市では、保育所に入りたくても入れない、待機児童が増えつづけ、12月1日現在の保育所待機児童数は、696人になり昨年同時期の約1.4倍にもなっています。内訳を見ると0歳児が321人、1歳児が194人、2歳児が165人、3歳児10人、4歳児6人となっており、0歳、1歳、2歳児で待機児童の98%をしめています。一刻も早い解消が望まれるところです。待機児童が急増している要因として、出産をしても働き続けたい女性が増えている、長引く不況で共働きしないと生活が成り立たない、また、西宮市はマンション開発などで子育て世帯が増えているなど市独自の問題があります。次世代育成支援行動計画(素案)で前期計画を振り返っての中に、震災後に人口が急増したことによりマイナスの影響が出ているのも事実との記述があり、保育所の待機児童、小学校の教室不足、留守家庭児童育成センターの整備、希望する幼稚園に入園できない等などの問題があげられています。日本共産党西宮市会議員団はこの間、待機児童解消のために市有地の活用で保育所新設、削減した公立保育所の定員を元に戻す、家庭保育所の定員増などを市に提案してきました。

市では2000年から2009年まで私立保育所を12か所、定員を840人増やし、2010年には鳴尾町4丁目に90人、東山台1丁目に分園45人、北名次町に分園60人、民間保育所で定員増が30人で保育所の定員が合計225人増えますが、待機児童を解消できる見込みはありません。待機児童が恒常化していることは、市の保育実施責任が果たされていないことです。そもそも保育所建設がすすまない主な原因は、国が責任をもって保育所建設計画を立て財政支援をしてこなかったからです。さらに、「待機児童ゼロ作戦」とした中身が保育所を増やさず定員の弾力化で、1998年度から年度途中の定員超過を容認してきました。市でも2000年から保育所の弾力運用が行われ、昨年度は638人の定員超過となり、市内の保育所はどこも子どもたちですし詰め状態になっています。

さて、2009年3月に出された西宮市保育所待機児童解消計画では、2008年度の市の保育所需要率は16.45%になっていますが、2014年(平成26年度)には保育所入所率を20.87%まで引き上げ新設保育所を12か所建設する計画になっています。
しかし、次世代育成支援行動計画(後期計画)策定のために市が行ったニーズ調査の結果報告では、就学前の子どもを持つ家庭で、今後母親も働きたいという希望がある人が70%もあり子育てと仕事の両立を希望する世帯が今後も増えていく可能性があります。
保育所の役割がますます重要になる時代になっており今の情勢からみても抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。

<質問>

  1. 来年度は新設1か所、分園が2か所つくられます。市は次世代育成支援行動計画(素案)で2014年度(平成26年)までに、12か所の認可保育所を整備するとの計画ですが、今の状況から見ても前倒しで整備し、さらに増設計画が必要ではないでしょうか。
  2. 現在の待機児童の98%が0歳、1歳、2歳児で、乳児枠の拡大が緊急課題です。日本共産党は、公共施設、商業施設、戸建住宅、賃貸マンション等を活用して、小規模保育所や公立、民間保育所の分園を早急に整備する必要があると提案しますが市の考えをお聞きします。
    また、東京都町田市では、認可保育所を増やすために土地所有者から土地と新築した園舎の提供を受け、保育所の運営は社会福祉法人が行い、土地所有者から土地と建物を借り受け、原則として20年間の賃借契約を結ぶ「20年間期間限定認可保育所の新設事業」をつくりました。西宮市でもこういった独自施策を考えるべきではないでしょうか。
  3. 保育所待機児童解消には全庁あげて取り組む緊急課題です。早急に保育所整備をするために財政の出動が必要ですが、その決意はどうか総務局にお聞きします。

保育所最低基準の緩和

保育所の最低基準とは、1948年敗戦直後でまだ貧しい時代に制定されました。子ども1人あたりの面積は乳児室1.65平米、はいはいする乳児のほふく室3.3平米、2歳児以上は1.98平米、園庭は3.3平米、職員の配置は、保育士1人に対して子どもの数は、0歳児3人、1?2歳児6人、3歳児20人、4?5歳児30人と定められています。制定された当時、今後は社会の発展に応じて高める前提で決められました。厚生労働相には省令で最低基準を向上させるよう努める義務が課されていますが、歴代の自民党政府は、保育士の配置基準を若干改善しましたが、今も保育室の面積は61年前と同じで、「食事も昼寝も遊ぶのも同じ場所」となっています。他の先進諸国と比べても最低の基準で、フランス、スウェーデン、ドイツ等は、部屋の面積や園庭も日本の2倍から4倍も広くなっています。「先進国では、保育所の基準には、子どもの育ちをどう保障し、どんな人間に育てたいのかという、国の姿勢や文化が反映している」と専門家が指摘しています。日本の場合は財政の都合ばかりで子どもの権利の視点が欠けていますが、自民党政権でも最低基準の引き下げはできませんでした。いよいよ民主党政権になって最低基準の引き上げかと思ったら認可保育所の国の最低基準を引き下げ、待機児童が多い東京都など都市部で保育室の面積基準を自治体に委ねるなどの方針がだされました。これについては、子どもの「詰め込み」を深刻化し、保育環境を悪化させると、父母、保育関係者から厳しい批判があがっています。今回の方針は待機児童が多い都市部で既存の保育所に、さらに子どもを詰め込むことになりかねません。より多くの子どもを詰め込むとストレスが強くなり、トラブルが起きやすくなります。11月21日付のしんぶん赤旗に、詰め込み保育で認可保育所での乳幼児の死亡事故が2001年度以降急増している事実があることを報道しています。この調査をした「赤ちゃんの急死を考える会」が厚生労働省に申し入れをし、厚生労働省がこれまで行ってこなかった保育施設での死亡事故の実態調査を早急に行うと表明し、結果は公表すると約束しました。最低基準を緩和しても保育所が増える保障はありません。子どもにこれ以上の犠牲を押し付けてはなりません。

<質問>

  1. 2001年度以降、西宮市の認可保育所での事故やけがの状況がどのような実態かお聞きします。
  2. 待機児童が多く出ているのは、都市部の政令市や中核市です。東京都だけの問題ではなく、待機児童が696人の西宮市も最低基準緩和対象になるおそれがあります。「食事も昼寝も遊ぶのも同じ場所」でとなっており、諸外国と比べて低い最低基準は引き上げることが必要です。国に対して強く引き上げを要望すべきではないしょうか。