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佐藤みち子の一般質問
2009年12月11日

全国一斉学力テストについて


教育は、すべての子どもが持っている成長・発達する権利を保障するための社会の営みです。とりわけ学校教育は、すべての子どもに基礎的な学力を保障し、子どもたちが社会の主人公として行動できる能力の基本を身につけることを助ける責任をおっています。ところが歴代の自民党政府は、教育予算を先進諸国のなかで最低の水準に落ち込ませ、教育を粗末にしてきました。また、改悪された教育基本法にそって「競争と管理」を今まで以上につよめ、学校を息苦しい場にしてきました。さらに、この間の「構造改革」により「子どもの貧困」をひろげ、少なくない子どもたちの生活を破壊し、子どもらしい希望や進学の夢を奪っていることは問題です。

さて、2007年に始まった全国学力・学習状況調査についてですが、当初から問題点が指摘されていました。全員の対象は43年ぶりに行われ、文部科学省は都道府県別の成績を数値で公表し、47位の序列がつきました。教育の専門家からは、「新たにわかったことは個々の学習達成度でそれ以外は抽出で十分、学習達成度も半年後に示されたのでは個別指導に生かす余地はなく、教育的な有効性も期待できない、また、公表した数値が一人歩きすることで、自治体間や学校間で順位競争が激しくなり、点数競争激化になる、全員を対象とした学力テストは、今回限りで中止すべき」との見解が出されていました。民主党政権になって、文部科学省は来年春は全員調査をやめ、40%の抽出調査にすることを検討すると明言しました。都道府県別の成績を誤差なく出すためには、その程度の数は必要だとしていますが、民主党が先日行った事業仕分けでも「目的や効果が不明確」として、さらに予算の大幅縮減の対象と判断されました。今後については今のところ不透明です。

現段階では40%は国庫負担で調査をし、残りの60%については採点、分析、データーの管理など市の財政で実施することは可能とし、文部科学省は各自治体に希望があるかどうかの調査をしています。これに西宮市は希望すると回答し、その理由として、一人ひとりの学力を把握するために全校実施が必要今回希望しなければ再度参加は認められないとの理由です。希望すれば同じテストを利用できるようにし、その結果、多くの学校が参加することになれば、過去3回の調査と変わらなくなります。西宮市としてきっぱりと学力テストに参加しないことを表明すべきではないでしょうか。教師や保護者からは、多額のお金を使ってこのようなテストをするよりも、中学3年生までの少人数学級や義務教育でも負担が重い教育費の軽減をすべき等、の要求が出されています。他の先進諸国に比べて劣悪な教育条件の改善こそ緊急の課題です。

日本共産党は全員を対象としたテストの実施に反対し、中止を求めてきたことからも、全国学力テストの全員参加をやめ、抽出方式に切り替えることを文部科学省が示したことは、実施された3年間教育現場に混乱とゆがみをもたらしてきたことからみて、当然のことだと考えます。

<質問>

  1. 現段階で西宮市は、市の財源で実施する60%の学力テストに参加すると希望していますが、その予算はいくらでしょうか。
  2. 過去3年間学力テスを行いました。市でも全国でも毎年同様の結果が出されています。たとえば格差と貧困の問題で就学奨励と学力との関係も報告されています。この問題も含めて西宮市として学力テストの結果から、教育現場にどのような具体的な対策をとってきたのでしょうか。
  3. 今後抽出がいくらになるかどのような方法で実施するのか不透明ですが、市として学力テストに参加すべきではないと思いますが、市の見解はどうでしょうか。