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野口あけみの一般質問
2010年03月03日

PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の適正な処理について


 ポリ塩化ビフェニル(以下PCB)は、工業的に合成された化合物で、水に溶けにくく、化学的に安定、絶縁性がよい、沸点が高いなどの特性があり、電気機器の絶縁油、熱交換機の熱媒体、ノンカーボン紙などさまざまな用途に使われてきました。
 しかし、1968年(昭和43年)のカネミ油症を契機にその毒性が確認され、1972年、行政指導により、製造・輸入・使用の原則禁止措置、つづいて1974年以降、PCBの製造・輸入・使用が法律上も原則禁止となっています。

 PCB、PCB汚染物質の処理基準は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で高温焼却と定められていましたが処理施設の整備が難しく、30年以上も長期保管の状況が続いていました。このため、紛失や漏洩が発生しており、環境汚染の進行が懸念されるとともに、国際的にもPCBの早期処理が求められてきました。

 2001年にやっと安全な化学処理法が確立したことなどから「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定されました。このPCB廃棄物特別措置法の主な内容は次のとおりです。

  1. PCB廃棄物を保管する事業者は、毎年度保管および処分の状況を届け出なければならず、2016年(平成28年)7月15日までに処分を行わなければならない。
  2. 国は「PCB廃棄物処理基本計画」を策定し、都道府県はこれに即した処理計画を策定する。
  3. PCB製造者等は、適正処理の確保の推進のため、国および地方公共団体の施策に協力しなければならない。

などです。

 国では、PCB廃棄物処理事業として、このPCB廃棄物特別措置法および処理基本計画に基づき、全国の地域ブロック毎に広域的な処理施設を設置し、地方公共団体、大企業および中小企業等の保管事業者から委託を受けて処理を行う計画としています。この中心となるのが2004年(平成16年)4月1日に100%政府出資で設立された日本環境安全事業株式会社「JESCO」です。JESCOは、PCB廃棄物処理を行う国の唯一の機関(特殊会社)で全国に5ヶ所設置されています。

 兵庫県下のPCB廃棄物は2006年(平成18年)10月から操業開始されている大阪市此花区の大阪ジェスコで昨年、2009年4月から処理されています。

<質問>

  1. 西宮市は、PCB廃棄物処理に関してどのような事務をおこなっているか。また、市内におけるPCB廃棄物の保管、処理状況をきかせてください。処理の際の費用負担はどうなっているか。あわせて全国的にはどんな状況か。法で決めている2016年(平成28年)までに処理できる見通しか。
  2. 昨年2月7日付新聞各紙で、西宮市内のマンションから搬出されたPCBを含むコンデンサーが伊丹市にある産業廃棄物処理場で破損された事故が、報道されました。報道によれば、マンションに保管されていたPCBを含むコンデンサーが、塗装工事の業者によって産業廃棄物処理場に持ち込まれた。処理場でコンデンサーが破砕され、PCBを含む液体が場内に飛散したが、応急対策がとられたため場外への流出はなく、環境への影響はなかったとされています。
     しかし、コンデンサーの破砕により保管中の他の産業廃棄物がPCBに汚染され、低濃度とおもわれるPCB汚染物として大量に発生させる結果となりました。その責任の所在、保管等をめぐってマンション関係者と産廃業者などとの間で係争中と聞きおよんでいます。今回の事故後、市は再発防止のためにどんな対応をおこなったか。
  3. この事故で発生したPCB汚染物の処理が問題となります。PCB廃棄物そのものの処理はJESCOで順次行われるが、汚染物についてはどうか。