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佐藤みち子の一般質問
2010年03月05日

公契約条例の制定を


 「公契約」とは、公の機関を一方の契約当事者として締結する契約のことです。
尼崎市では、公契約条例制定の意見書採択を契機として、議員の提案で「公契約条例制定」が目指され、2008年12月議会に上程されましたが、一部議員らの反対で否決されました。

 さて、千葉県野田市では2009年9月28日、市発注の公共工事や業務委託などの「公契約」に携わる労働者に市長が定める最低額以上の賃金を支払わなければならないとする公契約条例を全会一致で可決しました。

 市長は公契約条例の制定にさいし、 (1)公共事業の入札は、談合根絶のため、一般競争入札の拡大と総合評価方式の採用などの改革が進められてきたが、それは他方で過度の競争を招いた。(2)低入札価格による事業の質の低下と公契約業務に従事する労働者の賃金水準の低下という弊害を招いている。(3)2005年、国に対し全国市長会を通して公契約法の制度を要望してきたが、国の動きがないため、先駆的にこの問題に取り組むことにした。地方公共団体の締結する契約が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することができるよう貢献したい」と説明しています。野田市の条例では、適用される契約として、初年度は、予定価格1億円以上の建設工事または製造の請負契約と、予定価格1千万円以上の業務委託契約。その後、対象事業を増やす方針としています。

 2010年1月21日に尼崎市で、野田市長を講師に「公契約条例」の学習会が開催され、西宮市の職員課、人事課職員が参加したと聞いています。議員団からも松尾議員が参加しました。野田市長は、「国は当分動かないから自治体で条例を作り、その包囲網の中で国が動かざるを得ない形に持って行きたい」と話し、野田市では、条例制定直後に全国の805市区に条例の全文を送り、野田市と同様の取り組みをお願いしたそうです。多くの問い合わせ(2010年1月18日現在209件)、視察申込み(99件)があったそうです。反響は大きいですが、残念ながら野田市に続く市は出ていません。

 さて、西宮市では、ゴミ収集、市立図書館分室業務等を民間に委託しています。また、自転車駐車場や学童保育所等、指定管理者制度で業務が行われ契約期間が2年?5年となっています。契約締結に際しては、従事者の労働条件、災害補償など労働福祉を確保するため、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法、労働災害補償保険法、労働安全衛生法、雇用保険法など諸法令を遵守するように指導しています。指定管理者の募集には、その労働条件の水準を一定維持することまで義務づけておらず、どのような条件、賃金で働いているかは、事業所まかせになっているのが実態です。民間委託や指定管理者制度で多くの労働者が働いています。公契約に従事する労働者が、低賃金のために健康で文化的な最低限度の生活ができない公契約のあり方は、直ちに改善されなければなりません。
 
<質問>

  1. 委託業務や指定管理者制度で業務に従事している労働者の実態を市として把握しているのでしょうか。
  2. 野田市で条例制定後、全国805市区に条例の全文を送ったそうですが、西宮市にも届いているのでしょうか。受け取った後どのような検討をしているのでしょうか。
  3. 9月議会総務の決算分科会で、「公契約条例」制定に向けて今年度中にプロジェクトチームをつくりたいと当局から答弁がありました。プロジェクトチームについてどのような構成になるのか、いつ立ち上げるのか。お聞きします。