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野口あけみの代表質問
2010年06月21日

はじめに


河野新市長は、所信表明の冒頭、85年の歴史を有し、48万もの人口を擁する中核市の長として負託を得たことを、誇りに思うと同時に、責任の重さを痛感している。市民の期待にこたえるよう全身全霊を職責に捧げる覚悟だ、と述べられました。「全身全霊を職責に捧げる覚悟」はなかなか出来るものではありません。僭越ながら、ぜひこの初心を忘れずに、と申し上げたいと思います。
 
さて、市長は、国政問題について、「昨年、歴史的な政権交代が行われた。」と述べられましたが、その鳩山政権は退陣に追い込まれ、6月8日、菅新政権が誕生しました。
 鳩山首相の退陣は、沖縄・普天間基地問題、「政治とカネ」の問題、後期高齢者医療制度や労働者派遣法など暮らしの問題などで、「政治を変えたい」という国民の期待に背き、自らかかげた公約を裏切ったために、国民の怒りの力によって追い込まれたものです。
 菅新首相も鳩山政権時の副総理であり、この公約違反には重大な共同責任があります。しかしその自覚も反省も全くありません。それどころか、「政治とカネ」については、鳩山、小沢がそれぞれ辞任したことでけじめがついた、と幕引きをはかろうとしています。
また、普天間基地については、名護市辺野古へ移設、徳之島や全国に基地機能を拡大するとした「日米合意」を引き継ぎ、沖縄県民に押し付けようとしています。
 
菅氏は、かつて野党時代には「海兵隊は攻める部隊。日本にとっての抑止力とはあまり関係がない」「海兵隊は即座に米国内に戻ってもらっていい。民主党が政権をとれば、しっかりと米国に提示することを約束する」と語っていました。ところが、首相の座に着いた途端、一転。「海兵隊を含む在日米軍の抑止力は日本の安全保障上きわめて重要」「辺野古への移設を明記した日米合意を踏まえしっかりと取り組んでいく」と態度を変えました。この日米合意の実行は国民に所信を明らかにする前に、オバマ大統領に電話し宣誓したものです。このことでもかつて菅氏は、これまでの歴代首相がアメリカ大統領に電話を入れることを「現代の参勤交代ともいうべき慣行が続いている」などと批判をしていましたが、首相になったとたん、自分の言葉を行動で裏切りました。
首相になる前と後とでこれだけ発言に落差がある政治家はめったにいません。この普天間問題を通じて明らかになったことは、結局、民主党もアメリカにものが言えない、ということです。

国民の暮らしの実態に目をやると、失業率は依然として高く、社会問題となっているワーキングプアなど「格差と貧困」の広がりは収束・解決の糸口さえ見出せていません。「国民の生活第一」のスローガンはいつの間にか後景に追いやられ、「強い経済・強い財政・強い社会保障」が民主党の新しい看板となりました。一体誰のために強いのか、強い経済は大企業向け減税、強い財政は消費税増税、財界の要求に屈し、これをセットで掲げる民主党は財界にもものが言えない、このことを示しているのではないでしょうか。
 
国民の困難はまだ続くことになりそうです。市政がくらしを守る防波堤となるよう、福祉の増進という本来の役割を発揮するよう、切に願うものです。
これらを前提に、市長の「すべての市民が明るく元気に暮らせるまち西宮」をつくるための5つの政策目標と市長選挙での公約(マニュフェスト)などから、所信表明で当然触れるべきと思われるのに、まったくのべられなかったことも合わせ、以下、大きく6点の質問を行います。
なお、すべての問題についてただすには時間が足りませんので、保育所問題、地域経済活性化などは、杉山、まつお両議員の一般質問でとりあげることにしております。