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まつお正秀の一般質問
2010年06月24日

住宅リフォーム助成制度について


先日私どものところに届いた西宮商工会議所会報「レポルト4月号」には、「業況DI」は依然としてマイナスは続いているが4ヶ月連続でマイナス幅は縮小している。ところが建設業だけは悪いままであるということが書いてありました。さらにこの6月18日に政府が発表した月例経済報告で「景気は着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど以前厳しい状況にある」とし、基調判断を三ヶ月ぶりに上方修正しましたが、持ち直し段階にあるという位置づけであり、本格的景気回復宣言は見送られています。その各論では設備投資を上方修正していますが、住宅建設と公共投資は下方修正となっており、依然として建設業の景気の悪さは深刻な状況が続いています。

住宅リフォーム助成制度は、1991年からのバブルの崩壊で深刻な不況になった日本経済が、1997年の橋本内閣で消費税が3%から5%に引き上げられたことによってさらに悪化していく中で、1998年東京板橋区で創設され、この制度が全国に広がっていきました。兵庫県でも2000年度に明石市の導入を皮切りに福崎町や加古川市、稲美町で実施されてきました。残念ながら加古川市では現在取り組んではいませんが、明石市はいったん打ち切りましたが昨年度から復活し、今年度もすでに予算化されています。

全国商工新聞という新聞がありまして、ここが昨年5月に調査した時には、住宅リフォーム助成制度は19都道府県にまたがり83自治体が取り組んでいましたが、今年の3月末調査ではその1.8倍、30都道府県の中で154自治体が実施するまでになっており、一年弱の間に二倍近くの自治体で取り組むまでに増えています。さらに今回の調査で、県レベルとして始めて秋田県がこの制度を創設したということになっています。ここには一昨年のリーマンショック以来深刻な不況が続いており、景気対策として効果的だといわれるものはどんどん取り入れようという自治体が増えているという事の現われではないでしょうか。

 この制度は、地元の業者を使った住宅リフォームに限って一定額あるいは一定率の助成をするという点で、市内の建設業者さんの仕事が増えるだけでなく、様々な分野への経済波及効果として現われるという点でも、優れた地域活性化の施策だといえます。先ほど人口約30万人の明石市がこの制度を復活したと紹介しましたが、昨年度1000万円の予算で一時募集236件、二次募集では158件、合計394件の申し込みがあり、当選者はその中の270件でしたが、申し込みが殺到したために追加で1000万円の補正予算を組んで対応しました。実際には辞退者も出たりして最終的には2000万円のうち1600万円の支出と言うことでしたが、今年度もすでに1000万円が予算化され、すでに一次募集で昨年を上回る256件の申し込みがあったそうです。

その明石市が、市が行なった昨年度の緊急経済対策についての市内経済への波及効果の検証をして、今年の3月明石市議会総務常任委員会資料として報告され、すでにマスコミにも発表されています。この試算は明石市が250万円の委託費を使い、兵庫県立大学経済学部の加藤恵正(かとうよしまさ)教授、財団法人神戸都市問題研究所らに依頼して行なったもので、定額給付金をはじめとして小・中学校の耐震化、プレミアム商品券、中小企業融資保証料補助など69の事業について行なわれました。その中には国の景気対策の目玉として実施された定額給付金も含まれており、これについては市の支出額の0,47倍、すなわち投資額の半分に満たない経済波及効果しかなかったということでした。その定額給付金を除いた事業全体では1.5倍の波及効果だったそうです。そのうち特に投資効果の高い事業として二つ紹介されています。
一つはプレミアム商品券で、一億円の予算で4億8000万円の波及効果額は約5倍、そして住宅リフォーム助成制度においては1600万円の予算で1億7500万円の波及効果で、なんと約11倍になるという試算が出されています。これは100万円の工事をして、例えば10パーセントを市が助成するという場合は10万円が市の負担ということになりますけれども、10万円の助成で100万円の工事だから10倍で当たり前ではないかと思われるかもしれませんが、この場合の試算はそのような計算式ではありません。利用者のアンケートでは、もともとこの制度のあるなしにかかわらず工事の予定だったという方が約7割で、新たな波及効果に算入されません。ただ、工事額の10パーセント助成、つまり割戻しがあるということが新たな消費が生みだしたということでした。例えば、助成のお金を使っておいしいものを食べに行くとか、部屋がきれいになったからついでにカーテンも替えたとか、キッチンが新しくなったので冷蔵庫を買ったなどの上乗せの需要が生まれたということです。3割の人がこの制度があるからリフォームをしたという人たちで、こちらは純粋に新たな経済効果を生み出します。そうすると、さらにその工事に関連して材料の木材や壁紙などの原材料納入業者、あるいはボルトや釘や壁紙のりなど、付随した需要を生み出します。これは明石市が産業連関表というのを作成して、それに基づいて先ほどの研究所が明石市内への経済効果を調査したもので、当然、職人さんの仕事もふえますから弁当やお茶を買う、あるいはタバコも買うかもしれないそんなことも盛り込まれて市の支出額の11倍という数値がはじき出されていると思います。また、明石の場合は助成率を10%で金額の上限を10万円と決めており、このことは、大規模な工事を出来るお金持ちが得をするということの批判への歯止めにもつながりますし、そのことで助成の利用件数を増やすこともできます。そして。何といっても一番大きな効果としては、中小の地域の業者さんが潤うということです。私はこの制度について明石市でこの制度の実現にかかわって現在も東播建設労働組合の特別執行委員をしている議員さんに会いに行って直接聞き取りをしてきましたが、当初は大手の業者がほとんど受注するのではないかと思っていたけれども、地元の小さい業者に受注がたくさんあったのは予想外だったと言われていました。このように幅広い経済の循環は、地域の活性化につながり、最終的には回りまわって市税の増収ということにも繋がってきます。
 少ない投資額で最大限の景気対策が出来るということを証明したこの制度を是非とも西宮市で実現をしていただきたいと思います。

<質問>
  1. 1点目は明石市が出した住宅リフォーム助成制度の経済波及効果に対してどのように評価されるか、また、この間の産業振興課の施策で、投資額(市の支出額)の5倍以上の経済効果があるとするような制度が過去にあったかどうか。
  2. 2点目は、この間の答弁で「中小零細業者支援策について研究してまいります」と答えられておりますが、現在の調査や研究はどこまで進んでいるか
  3. 3点目は、住宅リフォーム助成制度は先ほど述べたように、様々な分野への経済波及効果があると思うが、新たに本市で創設する考えはないか
  4. 4点目は、現在都市局や健康福祉局などで住宅バリアフリー化事業での助成制度があるが、市内の業者がどの程度の割合で受注しているかどうか把握をされているか。