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2010年6月定例会
2010年07月02日

厚生常任委員会で賛成多数の「保育制度改革に関する意見書(案)」が本会議で否決
杉山たかのり議員が賛成討論


クリックで大きな写真を表示 6月30日、杉山たかのり議員が紹介議員の「保育制度改革に関する意見書提出を求める請願」が厚生常任委員会で賛成多数(日本共産党、西宮グリーンクラブ、市民ネット・虹の6人が賛成)で採択されました。

 7月2日、これを受けて提案された意見書案が本会議に厚生常任委員会の賛成者から提案をされました。

 日本共産党西宮市会議員団から杉山たかのり議員が賛成討論をしました。

 採決では、日本共産党、西宮グリーンクラブ(9人中5人)、市民ネット・虹、むの会が賛成、政新会、公明党、にしのみや未来が反対、西宮グリーンクラブの4人が退場し、賛成少数で否決されました。

 杉山たかのり議員の賛成討論を紹介します。




ただいま上程中の意見書案のうち、意見書案第43号「保育制度改革に関する意見書」(案)について日本共産党西宮市会議員団の賛成の立場からの意見を申し上げます。

 この意見書案は請願第43号「保育制度改革に関する意見書を求める請願」が厚生常任委員会で賛成多数で採択されたことから提出されたものです。

 子育て支援は、仕事と子育ての両立、経済的負担の軽減、「子どもの貧困」の解決など、子育てがしにくいという日本社会のあり方への総合的な取組みが必要です。
 その中でも、保育所の待機児童解消は喫緊の課題です。
 待機児童数は、全国的には、昨年4月では、2万5384人、前年の1.3倍に増加、10月には4月の1.8倍、4万6058人とさらに増えています。西宮市でも6月1日で405人と非常事態です。
 その最大の原因は、1998年から2008年までの10年間で認可保育所が全国でわずか571か所しか増やされなかったことです。
 1997年、児童福祉法が改悪され、措置制度が廃止されてから保育所運営経費や施設整備費の削減、規制緩和による企業参入の促進など、国・自治体の保育責任を後退させる動きが強まりました。今日の待機児童問題の深刻さは、ここに根源があります。

 この間、自公政権では「地方分権」、現政権では「地域主権」の名で、保育所の最低基準を廃止・緩和する動きが急速に強まっています。「地域主権改革」一括法案では、保育所最低基準そのものをなくし、都道府県の条例に委任するとしています。
 具体的には「従うべき基準」「標準」「参酌すべき基準」の3つに分け、「標準」は、合理的な理由があれば、条例で異なる内容を定めることができ、保育室の面積があげられています。「参酌すべき基準」は、地域の実情に応じて条例で異なる内容を定めることが許され、保育所の防火構造、園庭の設置、必要な用具の備え付け、保育時間等をあげています。

 象徴的には「参酌すべき基準」に防火構造を入れたことで、現基準では2階に保育室等がある場合は耐火・準耐火建築でなければならず、屋内階段や耐火構造で区画された避難用階段か避難用の屋外滑り台なども義務付けられ、3階以上ではさらに厳しい基準となっています。これが取り払われれば、火災や災害が起こったとき、子供たちや職員はどう逃げるのか。子供たちの命や人権にかかわる問題です。

 世界との比較ではどうか。保育士一人が受け持つ人数を3歳児でみると、日本20人、ニュージーランド6人、アメリカ7人、ドイツ・イギリス13人。ゼロ歳児一人当たりの面積基準は、日本は乳児室1.65?、ドイツ3.5?、アメリカ4.65?、フランス5.5?、スウェーデン7.5?と日本の基準の低さが際立っています。
 日本では2歳児の場合、7畳に子ども6人と保育士1人、収納スペースも含めたところで保育をするというのが国基準です。
 今でさえ、世界と比べてかなり低い水準の最低基準を、待機児童解消を理由に引き下げることはできません。
 市当局は「保育所の設備・運営基準は乳幼児も保育に大きな影響を及ぼすことから慎重に検討する必要がある」と、問題があることを示唆しています。

 請願審査で反対の委員からは、直接契約・直接補助方式の導入など市場原理に基づく保育制度を悪いとは思わないと反対理由に挙げられています。
 参議院選挙では、民主党と自民党の消費税増税10%が最大の争点になっていますが、その発信元の日本経団連が法人税減税を求めその穴埋めに全国民で支える消費税を一刻も早く引き上げよとする『経団連成長戦略2010』という日本経団連の政策提言があります。
 これには、待機児童解消について、
「公費投入を拡大するとともに、各種の規制の見直しを通じて企業・NPOの参入を促進し、保育サービスの拡充を図ることが必要である。」とし、
「保育制度の抜本改革を通じ利用者のニーズを踏まえた保育サービスを拡充するために、参入規制を改めることである。
 参入の見直しについては、株式会社やNPOの初期投資の負担軽減を図る。また、運営費の使途の柔軟性を高め、株式会社が剰余金を配当に充当することを認めるとともに、株式会社が保育所を運営する際、社会福祉法人会計による財務諸表の作成・報告が別途求められる点を改めるべきである。この他、認可保育所以外の多様な保育サービスにも安定的な運営費助成を行い、地域子育て支援活動、事業所内保育所、病児病後児保育等利用者の多様なニーズに対応したサービス提供を実現していくことが求められる。」とあります。

 ここには、国や自治体の保育実施責任を形骸化し、個人責任を強め、市場原理の導入、企業参入を一気に推進させようとする狙いがあります。保育事業を「大企業の利潤追求の場」にしかねない主張です。
 財界の要求に従うよりも、子供たちや親の立場こそ、大切にするべきです。

 なお、この意見書案のもとになっている請願受理2日後の6月25日政府は、保育所と幼稚園と認定こども園をこども園(仮称)に一本化する「子ども・子育て新システムの基本制度要綱」を発表、その中身は『経団連成長戦略2010』と瓜二つです。

 意見書案では、全国どの地域においても、子供たちが健やかにそだち、保育を受ける権利が平等に保障されることなど、考慮すべき点を踏まえて、拙速ではなく慎重に論議してほしいとの願いが込められています。
 よって、意見書案第43号については、直ちに採択すべきものと考えます。

 以上、日本共産党西宮市会議員団の賛成討論とします。