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2011年度予算要望書
2010年08月26日

総務局


  1. 1980年代以降、地方自治をめぐっては、「規制緩和」=「官から民へ」と「地方分権」=「国から地方へ」を車の両輪として「改革」が進められてきた。これは、国の役割を外交や「防衛」、各種基準行政などに限り、教育・福祉・保健・医療など生活関連の行政分野は地方にのみ、責任や負担を押し付け、地方においては「民間でできるサービスは民間で」と民間活力の導入・活用を進めようとするものである。この自公政権時代からの「構造改革」路線を、さらに推し進めようとするのが、民主党政権の「地域主権改革」である。
    「地域主権改革」では、地方向け補助金の「一括交付金化」と福祉分野等での国の最低基準の緩和・撤廃を行おうとしているが、地方に重大な影響を与えるものであり、以下について国に申し入れること。
    1. 「一括交付金化」しようとしている、いわゆる「ひもつき補助金」の圧倒的部分は、法律で国の負担が義務付けられている福祉・教育関係費である。福祉や教育に対する国の責任を後退させず、かつ、必要な財源を保障させること。

    2. 削減された地方交付金を回復させること。

    3. 税制改正大綱にある地方消費税の充実は消費税増税に直結するものである。市民のくらしを圧迫する消費税増税は行わないこと。

  2. 長引く不況で、今年度は市税収入が昨年度より減り、失業や中小業者の廃業も増え、市民生活がますます厳しくなることが予想される。市の財政は、税収が減っても地方交付税等で一定補てんされるしくみとなっている。むだ使いをしなければ安定した財政であり財政健全化を理由に市民サービスの切り捨てを強行しないこと。

  3. 不況が続く中、政府は大企業や大金持ちには減税をしながら庶民増税を強行し、そのことによる生活苦が生じている。その対策として、以下のことを取り組むよう求める。
    1. 不況に苦しむ市民が増えている。市独自の市民税減免措置を拡充すること。

    2. 税を軽減するため、障害者控除や寡婦控除など、該当者に対し確定申告を積極的に周知徹底すること。特に、年金から介護保険料や後期高齢者医療保険料の天引き対象となっている高齢者で、税の軽減対象になる人には、確定申告を促すよう文書を送付すること。

  4. 固定資産税については税の負担に苦しんでいる市民に以下のことを実施すべきである。
    1. 住宅を購入したが、不況で給与が減り生活が苦しくなっている人が多くなっている。固定資産税を引き下げること。

    2. 他市では就学援助金を扶助とみなし固定資産税を減免している。本市でも実施すること。

    3. 戸建住宅であれば、私道でも固定資産税減免の制度がある。一方、分譲マンション内の同様の通路には適用がなく不公平な扱いとなっている。公道につながる敷地内通路を公衆用道路あつかいとし、免除対象とするなど課税の見直しを行なうこと。

  5. 都市計画税は、市民生活に直結する都市基盤整備のための目的税であるが、西宮市は都市基盤整備が成熟した街といえる。都市計画税については、負担軽減へ税率の見直しを行うこと。

  6. 市発注の公共事業は、市民生活の向上と地元中小零細企業の育成の観点からも生活密着型に切り替え、以下の施策にとりくむべきである。
    1. 工事の指名競争入札参加資格が経営事項審査結果通知書の総合評点にもとづいて行なわれるようになったが、市内業者で施行可能な工事については、市内の中小企業や本店を有する市内業者を優先すること。

    2. 公共工事、物品購入、委託等については、可能な限り分離分割発注しているが、市内中小業者を最優先すること。

    3. 特定業者との癒着につながりやすく、受注の独占化になりかねない一括単価契約はやめること。

    4. 工事の元請け業者が下請け業者をつかう場合には、「公共工事適正化法」及び付帯決議にもとづき、元請、下請けの契約書と支払い領収書の提出を、引き続き元請けに求めること。

    5. 市発注の一定金額以下の工事等に、市の競争入札参加資格のない市内業者に直接発注する「小規模工事等契約希望者登録制度」がある。年々、件数・金額とも増加している。制度の活用を広く庁内に徹底し、市全体として、中小業者の仕事づくりを進めること。また、金額については、09年4月より所管課契約の金額の50万円未満と同額に引き上げられたが、さらに150万円未満に引き上げること。

    6. 甲子園9番町でPFI手法で市営住宅の建設が進められているが、今後はPFI手法については慎重に検討すること。

  7. 公共事業において、「安かろう、悪かろう」や「ワーキングプア」を作り出してはならない。公共工事・サービスの質の向上と従事労働者の適正賃金など処遇の改善が求められている。市でも今年の3月末に「公契約条例」プロジェクトチームがつくられ調査・研究が始まり2012年3月までに「公契約条例」の可否について判断するとしているが、早期に条例制定すること。

  8. 入札については、労働者の賃金・労働条件を保障する「評価基準」を設けた総合評価型入札制度を導入すること。また、高齢者雇用では、シルバー人材センターに対し、地方自治法施行令第167条の2第3号を適用し、随意契約行っているが、その他の団体は競争入札で仕事が減り、従事者の給料も減額されている。シルバー人材センターだけでなく、他の団体も配慮すること。

  9. 公務員削減がおこなわれようとしているが、現在でも西宮市の職員は3分の1が、臨時、嘱託など非正規雇用となっている。市全体で超過勤務が増えているが、慢性的に超過勤務の多い職場では正規職員を増員すること。
    また、嘱託調理員、嘱託介助員、嘱託看護師、老人ホーム嘱託職員、嘱託司書などの常勤的非常勤職員は、労働時間数に違いがあるだけで労務内容は正規職員と変わりがない。待遇・給与面では正規職員と均等にすること。

  10. 土地開発公社は、自治体に代わり事業地等の公有地を取得するために設立されたが、近年、公共事業が減り土地の購入も減っている。土地開発公社の抱えている土地は、2010年3月末で1万7630平米、取得金額41億7013万円となっている。今後は早期に土地の有効活用をするとともに、スケジュールを決めて土地開発公社を廃止する方向で検討すること。

  11. 職員人事について
    1. 労働組合活動を理由とした昇進、配置などの差別は絶対行なわないこと。また、職員の能力や指導力に応じた適材、適所で公平、公正に行なうこと。

    2. 係長級以上の管理職での女性の占める割合が低い理由は、家庭や育児と仕事の関係で負担が大きいためとし、女性の働きやすい勤務環境の整備が必要との見解を示している。特に上級の管理職をふやせるよう環境作りや女性管理職の育成などに取り組み、積極的に登用すること。

    3. 障害のある人の雇用については、毎年継続して採用に取り組んでいるが、特に視力障害者の採用についてはまったく積極性にかけている。早急に職域の開発を行うこと。

    4. 団塊の世代が定年退職をむかえ、管理職の世代交代が進んでいる。特に技術職などの人材育成を早急に進め、市民サービスに影響が出ないようにすること。

    5. 職員の在職死亡や長期にわたる病気休業が見受けられる。特に、メンタルケアの必要なケースが多くなっている。職場環境の点検や人的配置、人事管理を適正に行なうこと。また、職場への復帰支援も十分におこなうこと。

    6. 地方自治法が改正され、男性も積極的に子育てに参加するため育児休業を取得する中身になっているが。現在、市では男性の育休取得率が低い、このことは職場の体制自体に問題がある。職員を増員する等、男性も女性も育休を取りやすい職場環境をつくること。

  12. 市施設について
    1. 耐震診断を早期に完了し「公共施設白書」を作成し、早急に耐震化をはかること。

    2. 高齢者や障害のある人も施設を利用している。エレベーターの設置をはじめ、スロープや手すりの設置など、全ての施設のバリアフリー化を早急に取り組むこと。

    3. 市役所庁舎の北東の出入り口(国保、年金等の窓口の近く)は、一階では唯一自動ドア未設置となっている。利用者の利便性を考慮して早期に改善すること。

    4. 東館公共駐車場について、現行30分無料だが市役所利用者には短すぎる。1時間無料とすること。

    5. 議会棟の給茶業務については議会の意見を聞きながら現行の専任配置については見直すこと。

    6. 松山市では、子ども連れで市役所に来る人のために、保育士を配置した「キッズルーム」が庁舎内に設置されている。議会傍聴者も利用できるようになっている。保育所の入所申し込みなど、子連れの人も多くなっている。庁舎内に「保育施設」を設置すること。

  13. 2011年7月でアナログ放送が終了し、地上デジタル放送が開始される予定になっている。高齢者世帯や低所得者世帯ではテレビを視聴できない「テレビ難民」がでると予想される。また、テレビの不法投棄が増えることも予想されるが対策がとられていない。このようなことからも国に対して地上デジタル放送の延期を求めること。