HOMEへ
2011年度予算要望書
2010年08月26日

教育委員会


  1. 憲法の平和・人権・民主の原理に沿った教育を
    2006年に教育基本法が改悪された。しかし、国会審議を通じて、特定の愛国心の強制などは憲法の「思想、良心の自由」に違反すること、憲法の立場から教育への権力的介入は可能な限り抑制的であるべきことなどが明らかにされている。こうした憲法の立場と教育の条理を大切にした教育行政を進めること。また、日本政府も批准している、子どもの権利条約の精神と各条項を教育のあらゆる場で生かすこと。
    1. 「教育振興基本計画」は、政府の行うべき条件整備に限定し、教育内容・方法に介入したり、教育の自主性を侵してはならないと考える。教育の自主性を侵す「教育振興基本計画」の撤回を国に求めること。

    2. 内心の自由を守り、「日の丸・君が代」を教育現場で強制しないこと。

    3. 侵略戦争への反省は日本社会が国際社会に復帰する際の条件であり、日本社会に民主主義を定着させ、日本への誇りを培う上で不可欠のものである。今後とも平和教育を重視し、「つくる会」教科書の採用など、公教育が侵略戦争の美化・肯定を行うようなことは一切許さないこと。

    4. 全国いっせい学力テストは全国的に「点を上げるために先生が正解を教える」など問題が噴出し、真の学力向上には役立っていない。昨年度から抽出方式となったが、全国的には7割の学校が参加し、学力テスト体制は基本的に変わっていない。国に対し廃止を求めること。また、学力テストの結果は公表をしないこと。
      市が実施しているリサーチプランも同様に問題点が指摘されている。中止すること。

  2. 学級規模引き下げをめぐって
    2010年7月26日、文部科学省の中央教育審議会分科会が、「学級規模の引き下げ」を求める提言を発表した。日本共産党は政府に対し、来年度予算編成から学級規模の引き下げを盛り込むよう求めるとともに、その具体的方向は「30人学級」だと申し入れをしている。
    「30人学級」は国民・市民の長年の強い教育要求だ。学習面では、「落ちこぼし」を生まず、物事を深く理解するという今日求められている学習を進める点でも不可欠であり、また、貧困の広がりや社会の変容が子どもの育ちに深刻な影響を与えている状況下、生活面でも少人数学級は緊急課題である。
    よって、市教委として30人学級の早期実現のために以下に取り組むこと。
    1. 市教委からも義務教育全期間にわたる30人学級の実施を国に要求すること。

    2. その際、必要な教育条件の整備=必要な正規教職員の確保、学校教室をはじめとする施設整備に対して、国の必要十分な対応を併せて求めること。

    3. 少人数学級が近い将来実現するとなれば、いよいよこれまでの市の開発政策は転換を迫られる。市長部局との協議を進め「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を抜本的に改善し、これ以上のゆきすぎた住宅・マンション開発を全市域で許さないこと。

  3. 学校配分予算は微増するのみで、児童・生徒数が増加している今、一人あたりの
    額は引きさがっている。そのためもあり、机やイスなど基本的な備品が老朽化しても放置されていたり、教材なども不足していると聞く。学校配分予算を大幅に増やすこと。また、現在取り組まれている「設備基準」の見直しにおいては、備品については各学校への配分予算で手当てするのではなく教育委員会で扱うことへの変更なども含め、関係者の意見も聞いて抜本的に行うこと。

  4. 行き届いた教育のための人的配置等について
    1. 定員の正規教員が県教委で確保されず、小学校で約8%,中学校で約13%の教員が臨時講師である。定員数まで正規教員を確保するよう、県に強力に求めること。

    2. 教育現場の困難さから、新学習システム担当教員などといった名目での非常勤講師の加配があるが、それでも教員は多忙を極め、持ち帰り残業や、現職死亡・病休、メンタル面での休職も増えている。定員増を国に求めること。

    3. 中学校においてのクラブ活動指導は心身ともに大変な負担となっている。それに見合った対策をとること。

    4. 年休や出張時には県教育委員会の要領に基づき、代替教員等の配置を行っているが、実態としては短期対応などで不十分な状況となっている。さらにきめ細かな補助員配置を要求するとともに、市独自でプール指導時の補助員や中学校の理科・技術家庭科の実習助手など現場の声を聞き確保すること。また事務職員の増員もすすめること。

    5. 更衣室、休養室が設けられていない学校が多いが、早急に改善すること。

    6. 教員免許更新制度は、教員にとって費用負担や時間ロスなどデメリットのほうが大きい。国に教員免許更新制度をただちに廃止するよう求めること。あわせて「教員評価」「不適格教員」制度や「教員給与の格差付け」についても廃止を求めること。

  5. 「子どもの貧困」が新たな社会問題となっている。
    1. 公立高校授業料は無償化されたが、乳幼児教育や義務教育のクラブ活動経費など保護者負担の軽減、私立高校を含めた無償化・負担軽減、大学や専門学校等の負担軽減を国に求めること。

    2. 就学奨励金については、実態に応じて所得制限を緩和し、受けられる世帯を増やすこと。また保護者が修学旅行積立金等を立替払いしなくてもいいように、年度当初から支給すること。申請手続きについては、保護者が希望する場合、直接教育委員会で行なえるようにすること。めがね購入費の補助(上限5000円)を復活させること。

    3. 奨学金制度については給付制奨学金の創設を、国や県に早期実現を要求するとともに、市独自の制度については拡充すること。

  6. 虐待を受けている子どもが増え、社会問題にもなっている。学校現場はその兆候をいち早くつかめるところである。よって、福祉局や県子どもセンターなどとも連携し、早期発見に努めるとともに、なにより子どもの命を守ること。

  7. 登校拒否、いじめ等、心のケアを必要としている子どもも増えている。養護教諭の複数配置やスクールカウンセラーを小・中学校全校に配置することを、国・県に求めること。また、市独自でも行うこと。学校外の相談・支援の場などについても情報を提供すること。

  8. 学校施設等について
    1. 抜本的な学校施設改築計画を立て、とりくむこと。その際、LL教室や視聴覚教室なども時代に即した改修をおこない、活用すること。各学校からの改修要望にはただちにこたえること。

    2. 温水シャワーは障害児学級の一部と教職員用には中学校全校と小学校の一部に設置しているが、全校に設置すること。

    3. エレベーター設置は年に2?3校しか行っていないが、早期全校設置に向け、増やすこと。

  9. 小・中の普通教室へのエアコンについては、耐震補強工事の必要がない校舎、すでに終わった校舎から、順次設置すること。また、災害時の避難所となっている体育館へのエアコン整備もすすめること。

  10. 学校のトイレは、現代の生活様式に見合った改修・改善をすすめること。また、委託業者による清掃は、学校規模などに応じて、普通年22回のところを年28回にするなど改善されつつはあるが、なお鳴尾北小などから回数増の要望が出されている。全体として回数を増やすこと。危険を伴うガラス清掃についても、少なくとも年1回の委託を復活させること。

  11. 教職員一人一台の校務用コンピューターが100%配備され、また、教育用コンピューターも児童生徒7.8人に1台確保された。これらが十分活用できるよう、研修やサポーター派遣など必要な対策をとり、「わかる授業の推進や、校務の省力化により子どもと向き合う時間を確保する」という本来の目的を達成できるよう最善を尽くすこと。

  12. 個人情報の学校園からの持ち出し、紛失事故が相次いでいる。個人情報保護を徹底すること。学校園においては校長、園長が管理監督をすること。

  13. 学校図書教育を充実させるために、専任の司書教諭を市費で全校に配置すること。

  14. 幼稚園教育について
    1. 市立幼稚園を6園統廃合し、15園に縮小するとした「西宮市幼稚園教育振興プラン」は市民の反対の声によりいったん凍結され、幼児教育全般についてあり方を探る「西宮市幼児期の教育・保育審議会」で再検討されることになった。プランに固執することなく、自由に検討を進めるとともに、情報を細かく公開し、市民の意見を聴取する機会も設けること。

    2. 「子どもが増え幼稚園入所も四苦八苦している」との声を聞く。幼稚園の適正配置を検討するとともに、公立幼稚園2年保育の募集定員を増やし、入園希望者を全員受け入れること。

    3. 入園希望者が多く、かつ周辺の私立幼稚園が定員を超えていて受け入れができない場合に、公立幼稚園の4歳児クラスを増やす臨時的措置をとっている。私立幼稚園で受け入れ可能になったとして、23年度は浜脇、門戸幼稚園についてこの措置を行わないとの報告が突如されたが、市民にとっては到底納得しがたい。両園について、臨時的措置を引き続きとること。

    4. 要望の強い「3年保育、延長保育、子育て支援事業」等々を公立幼稚園で充実させ、地域に開かれた幼稚園運営を基本にすえること。

    5. 若い世代ほど貧困がひろがり生活が困窮している。公立幼稚園保育料の減免制度については、市民税所得割が基準額以下の世帯はすべて免除となっていたが、生保・市民税非課税で母子家庭・父子家庭の場合以外は除外された。元の制度に復活させること。

    6. 私立幼稚園就園奨励助成制度における所得制限は撤廃し、奨励金も増額すること。

    7. 公立幼稚園全園で、障害児の受け入れを行うこと。そのために必要な教員の研修やマンパワーの充実を行うこと。また、私立幼稚園での障害児受入れについても実施できるよう、課題を整理し支援策も含め検討すること。

  15. 特別支援教育・障害児教育について
    1. 障害児教育においてはとりわけ専門家も含めたマンパワーが必要である。特別支援学級は子どもたちの障害の複雑化に対応するため、教員増員を進めること

    2. 特別支援教育支援員が全学校に配置されたが、実態に応じて複数配置すること。特に、コーディネーターや医療職員を配置すること。また、学校協力員については、ボランティアから正規職員にすること。

    3. 障害認定はなくても配慮を要する子どもも増えている。教員加配など必要な手立てをとること。

  16. 高校教育について
    県教委の「高校改革第1次実施計画」により、2007年県立西宮今津高校が単位制の総合学科高校に改編され、2009年から選抜制度も総合選抜から「複数志願・特色選抜」にかわった。2011年4月からは、県立西宮高校の全日制単位制高校(単独選抜)への改編、県立鳴尾高校での専門学科創設(単独選抜)など、高校選抜をめぐっては大きく変動する。さらに、県教委「第2次計画」では学区の拡大再編も議論されている。

    1. 高校改編は学校教育全体に大きな影響を及ぼすが、教育委員会の市議会への報告・説明は全く不十分である。市議会、市民への報告・説明を適宜行うこと。

    2. 学区の拡大は競争と選別を激化させる。学区拡大には反対すること。

    3. 北部には公立高校がないため、学校が居住地から遠くなることが大きな問題となっている。宝塚学区等の受験が可能となるなど一定の改善がなされたが、北部への県立高校設置を働きかけること。

  17. 西宮市の小・中学校での学校給食は、“直営自校方式”で実施され、食育の観点からも、子どもたちの健康と成長をまもり上でも大きな役割を果たしている。
    ひきつづき、次のことを実施すること。

    1. 将来的にも「直営自校方式」を堅持すること。

    2. 正規調理員を基本とした人員を確保すること。また、同じ職務にありながら新嘱託の賃金は劣悪になっている。早急に改善すること。

    3. 食物アレルギーを持つ子どもが増加していることを踏まえて、アレルギー除去食を実施すること。

    4. 「米飯給食」については自校炊飯ができるところから取り入れること。米粉パンについても導入を検討すること。

    5. 「統一献立」「食材一括購入」については、学校ごとの献立、野菜等地域の生産者から可能な限り購入するよう、可能なところから工夫して取り組むこと。

    6. 食育の観点からも栄養教諭を全校に配置すること。

  18. 2006年に大問題となった財団法人・学校給食会への市補助金の不正流用事件は、住民監査の結果、請求人の主張の一部が認められ、市は、給食会に対し、補助金の一部を取り消し、返還するよう求めた。給食会は、返還の時期、金額については、業者及び当時の調達主任に対する訴訟の結果を待ってほしいとする弁明書を市に提出し、市は了承した。現在、係争中であり、まだ未解決のまま、保留状態にあるといえる。市民や議会には適宜報告すること。

  19. 市教育委員会は、人権教育といいながら同和問題一色の“西宮市人権同和教育協議
    会”を続けているが、これは廃止すること。

  20. 公民館について
    公民館は1中学校区地域に1公民館を基準として設置しているが、設置場所によっては使いにくい地域もある。また、地域集会施設とは違い、社会教育の拠点である公民館の充実のため、次のことを実施すること。
    1. 上ヶ原地域、甲陽園地域、広田地域に公民館を新設すること。

    2. 要望の強いトイレのベビーシート、ベビーベッド、授乳室の設置をすすめること。

    3. 高須公民館の空調設備は音が大きすぎ、温度調整もできないので改善すること。

  21. 図書館について
    1. 正規司書職員を増員し、適正な配置を行うこと。

    2. 拠点図書館については毎日開館すること。また開館時間についても、改善の方向は示されているが、北口図書館は勤労者が利用できるよう午後9時までとすること。そのために必要な人員を確保すること。

    3. ひきつづき要望のある津門・今津、甲陽園地域に地域図書館を設置すること。たとえば、教育会館等に分室を検討すること。

    4. 蔵書数を大幅に増やすこと。

  22. 市民要望の強い温水プールを再建整備すること。また、厚生年金プール跡地に市民プールをつくること。

  23. 高須東小学校、船坂小学校跡地の活用については、市民の要望も聞き、全市全庁的な視野で有効活用が図れるよう十分検討すること。

  24. 教育委員会庁舎はエレベーターが未設置のままとなっている。多くの市民や関係者が訪れる施設でもあり、設置すること。