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2011年度予算要望書
2010年08月26日

都市局


  1. 西宮市はいま、「文教住宅都市」としての街のあり方が問われている。震災後に行ったマンション開発の規制緩和により、人口が爆発的に急増したことで、一つは住環境が大きく損なわれる問題や、二つには学校や保育所、高齢者施設などが不足し、市民生活に大きな不安を与えていることである。まちづくりには、住環境保全や市民生活に支障の出ないことを見通した総合政策が求められるが、その意味からの都市計画の観点が十分とはいえない。都市局がリードし、これ以上の住環境悪化や人口増とならないよう、「文教住宅都市」にふさわしいまちづくりをおこなうこと。

  2. 7月26日付で中央教育審議会が、小学校・中学校の一クラス児童生徒数の見直しを提言、これを受けた文科省は来年度以降の実施に向け動き出している。この間西宮市は児童数の増加による対策として、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」や「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとってきたとしているが、今回の国の動きが本格化すれば、西宮市だけが例外とはならず、全市域で学校教室不足は決定的となる。早急に抜本的対策をはかること。
    1. 早急に教育委員会と連携し、義務教育全期間の30人から35人学級に対応できるよう、マンション開発を規制する「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を条例にするとともに、市全域を実質開発抑制となっている「準受け入れ困難地区」以上に規制強化すること。

    2. 一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供とともに、開発によって市に整備が求められる、教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。

  3. 阪急西宮北口の高松町交差点における球場前線については、踏切が残存されることから電車と人、自転車や車両が交錯することになる。特に歩行者と自転車の乱横断を回避するために、平面横断が可能となるよう「踏切信号機」設置とともに歩車分離信号などで安全対策をはかること。できるだけ高架事業の完成に合わせて実現させること。また、球場前線の東進道路の通行については、地元住民の合意なく進めないこと。

  4. 阪急西宮北口駅南地区のサティ跡地について、マイカルが「売却する」と新聞発表があった。この地区は芸術文化街区の一角でもあることから、今後の売却先や用途について、十分整合性をもったものになるよう、市としても関係機関に要請すること。

  5. 開発指導について
    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)に基づく事業者による住民協議に対しては、引き続き市として市民の立場に立った指導を徹底すること。

    2. 開発区域への進入路が6m未満の場合の開発規制が一定進められているが、引き続き開発条例を見直し、開発を認めないよう誘導すること。

    3. 500平米未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらし、結果的に500平米以上の開発を行う事例がある。いわゆる「開発のがれ」を許さないために、全体空地(開発区域)を一体のものとして指導対象にするなど対応策を早急にたてること。

    4. 地球温暖化対策の緊急な取り組みが求められている。戸建住宅への太陽光パネル設置の市の助成制度ができたが、マンションなど共同住宅への助成制度拡充を進めること。また、建物の屋上や壁面の緑化を推進するとともに、小規模マンションや戸建て住宅にも雨水貯留槽設置に市の助成制度(設置家屋への固定資産税減免等を含む)を創設すること。

  6. 生産緑地は都市部での緑地の保全や災害時の避難場所等の役割を果たしている。
    保全等を営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、必要な手だてをとり生産緑地拡大も推進すること。

  7. 阪神甲子園駅以東で連続立体交差事業が進められている。この事業と整合性をもたせ、バリアフリーの駅舎改築及び駅周辺整備について、2012年度に事業着手できるよう県・市・阪神電鉄(株)で早急に全体構想を策定するとしている。しかし、阪神電鉄(株)による地元説明は現段階でも全く行われていない。市の責任でバリアフリー化を望む地元住民に対して早急に説明会を開催させること。また、計画推進を阪神電鉄(株)任せにせず、市としても責任をもって進めること。

  8. JR西宮名塩駅の改札口までに、下りエスカレーターを設置するよう、引き続き関係機関にはたらきかけること。

  9. 阪神久寿川駅については早期にバリアフリー化をすすめること。

  10. 市民生活を支援するためにも、公共交通の充実をはかることが早急に求められているが、遅々として進んでいない。地域交通の柱となるバス交通について、以下の項目に本気でとりくむこと。
    1. 市内交通不便地域が明らかにされたが、地元自治会の盛り上がりを理由に、全体の課題解決に向けた市の主体性が見えない。交通不便地域解消に向けた現状調査などを実施し、市としての取り組み方針を明確にすること。また、地元の財政力のありなしで、交通不便地域全体のバス交通の実施可否を決めることがないようにすること。

    2. 北部と南部を結ぶ南北バスの運行については利用促進を図るとともに、安易に赤字を理由に撤退することなく、市が責任をもって運行すること。

    3. 北部の住宅開発地区では高低差があることと合わせ高齢化が進んでいる。現在、塩瀬地区で順次実態調査を実施しているが、地域住民まかせではなく、市が主体性をもってコミュニティバス運行等を進めること。

  11. 1991年に供用開始された盤滝トンネルを含む西宮北有料道路建設に際し、市は県道路公社に対し2021年一括償還の約束で12億1500万円の無利子貸付を行った。この間、通行量は当初計画の約2倍になり、通行料収入も大幅増となっている。県道路公社の収支経営状況を明らかにし、2021年に一括償還となっていることを見直し、直ちに償還を求めること。その際、南伸事業の事業費の扱いが当初の契約にはないことから切り離して考えること。また、盤滝トンネルは市民の生活道路となっており、償還前にも通行料を無料とすることも求めること。

  12. 都市再生機構による浜甲子園団地の建替え事業が行なわれているが、都市再生機構まかせで市のまちづくりに対する主体性がみられない。以下の点を取り組むこと。
    1. 当初の計画と大きく変更されているのに、この時期になっても、都市再生機構からどのようなまちになるのかがあきらかにされずに、事業だけがすすめられている。全体事業計画を明らかにさせること。また、新しいまちに必要な幼稚園・保育所・集会施設等、都市再生機構の責任で整備するよう求めること。

    2. 新しくなったまちは、建物、住宅の欠陥があったり、来客用駐車場不足、グランドの騒音などの多数の問題を抱えているにもかかわらず、住民の要望、意見が取り入れられていない。住民の意見が反映されるようにすること。

  13. 市営住宅について
    1. 市営住宅の管理については、北部地域は民間会社が指定管理者となっているが、入居者の様々な要求や相談に責任ある対応ができていない。個人情報の保護や福祉の観点等から、南部の都市整備公社の指定管理とあわせ、直営に戻すことを検討すること。

    2. 「貧困と格差」が広がり、不況が追い打ちをかけるなか、年々市営住宅への入居希望者が増大している。福祉的観点からも市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。

    3. 空き家募集の際、多回数落選者優先を復活させること。

    4. 階段型市営住宅のエレベーター未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、エレベーターの電気代(年間、1機当たり約6万円)については、個々のドアまでは公共空間という観点に立ち、電気代徴収をやめること。

    5. 一般と改良住宅で住宅改修の考え方は一定改善されたが、まだ一部残されている。入居者が快適な日常がおくれることが目的であることを踏まえ、市として明確な同一基準をつくり実施すること。

    6. 風呂の補修や入れ替えについては、入居時に自ら設置したケースや復興基金を活用して設置した場合は自己負担で行わなければならず、入居者の大きな負担となっている。風呂も標準仕様という観点に立ち、改修や入れ替えについては市の費用で行うなど早急に改善すること。

    7. 不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。公務員で該当する者については早期に退去させること。万一、市職員で該当者がいる場合は公表すること。

    8. 名義継承は配偶者に限るようにとの国の通知があるが、低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き慎重に対応すること。

    9. 市住団地自治会の運営費や駐車場管理費の問題をめぐるトラブルが多く発生している。市は適切な運用に責任をもって対応すること。

  14. 都市整備公社が管理する特定優良賃貸住宅は、依然として収支が赤字となっている。空き家対策として市からの補助金等による「特別減額」が実施されているが、平成25年度には国の補助がゼロとなることから、さらに市の補助が増額になる見込みである。国が推進した特定優良賃貸住宅制度であることから、補助制度の拡充と期間延長を強く国に求めること。当然ながら建物所有者に対しても、さらに家賃値下げ交渉をすすめ、市の補助をなくすこと。

  15. 青年や高齢者をはじめとする低所得者層での住宅困窮者に対しては、市営住宅や特定賃貸住宅の空き家で対応しようとしているが、倍率が高くさらに高額な家賃などから現実的対応とはいえない。市として、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。

  16. 県の耐震診断と耐震補強についての補助制度とともに、市の補助制度が上乗せされた。全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が求められている。個人住宅の耐震化を一層進めるためにも、さらに拡充すること。

  17. 堀切町市営住宅跡地利用については、住民要望をとりいれ早急に全体を公園として整備するとともに、堀切川沿いの市道の拡幅も行うこと。