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西宮市教育奨学金条例制定に反対討論
2010年09月15日

教育奨学金の貸し付け条件が一部改悪されることから、野口あけみ議員が西宮市教育奨学金条例制定に反対討論をしました


議案第506号 西宮市教育奨学金条例の一部を改正する条例制定の件 について日本共産党西宮市会議員団は反対をします。以下、理由を述べます。
 
本議案は、市が給付または貸し付けをしている5種類の奨学金制度、すなわち、奨学金、広藤奨学金、高橋奨学金、藤田奨学金、および入学準備金について、次の制度改変を行うものです。1点目は、私立高校に入学する際の準備金の貸し付けをおこなっている入学準備金の廃止。2点目、奨学金のうちの専修学校高等課程生への貸付廃止。3点目、これまで条例に規定のなかった奨学金の交付期間を、修学年限を超えない期間、単位制高等学校も最長4年間と、上限を規定する。4点目、高校奨学金(これは給付のみ)の11月下旬募集の予約募集をやめ、6月に受け付け、最新年度の所得状況で審査を行う。5点、高校の給付奨学金予約募集の廃止に伴って、奨学金の交付時期を学期ごとの振込から前期後期に変更。あわせて、大学奨学金も前期後期の2回振込を10月一括交付とする。という内容です。
 1点目2点目については、県私学振興協会などによる類似制度があるとのこと。貸付上限額や返済方法などは市の制度より有利であり、また、専修学校高等課程生への貸付は所得制限が緩やかである、利用者も少ないことなどから、窓口は市教委ではなく神戸市となり遠くなるものの、やむを得ないものと考えます。3点目の交付期間の設定も、留年中も給付または貸し付けを継続することを一定整理するのは、これもやむを得ないと認めます。
 問題は高校給付奨学金の予約募集の廃止と、給付時期の変更です。他の委員からも多数指摘があったように、予約募集がなくなることによって、入学が決まっても果たして協学金が受けれるかどうか、不安が付きまといます。また、無事奨学金の支給が決まっても、これまでは5月末または6月末に1学期分を、2学期分は9月末、3学期分1月末とほぼ先払いであったものが、前期分が10月、後期分3月と後払いになります。これらが経済的な困難を抱える世帯に与える影響は大きなものがあります。
 当局は予約募集をなくす理由を、最新年度の所得状況で審査するためといっていますが、市が行っている他の奨学金(貸し付けも給付も)はこれまでどおり予約制で10月?11月に募集、変更はありません。整合性がないではありませんか。高校生むけの「給付」奨学金のみ予約制をなくすのは、「退学した場合に返還がない実例があるので、確認が取れた上で給付していきたい」と答弁があったとおり、「退学者から返還されにくいので、先払いから後払いに変更する」のが狙いだといえます。わずかな事例のために、経済的理由によって修学が困難な者等を支援し、教育の機会均等を図ろうとするこの制度が、後退することは認められません。
 日本の学費は世界一の高水準であり、また、OECD加盟国中、日本の教育への公的支出は最下位。世界では、学費は無料、奨学金は給付が当り前という中で、今回の制度改悪は世界の流れにも逆行しています。以上、反対討論とします。