HOMEへ
2010年9月議会
2010年09月30日

2009年度決算認定
杉山たかのり議員が反対討論


クリックで大きな写真を表示 西宮市議会9月定例会は今日が最終日、決算認定が採決されました。
 日本共産党西宮市会議員団は、水道など4つの企業会計については賛成、一般会計及び特別会計については反対をしました。
 日本共産党市議団以外は、全会派、全議員が賛成し、認定されました。

 反対討論は、杉山たかのり議員が行いました。以下、討論全文を掲載します。




杉山たかのり議員の2009年度決算認定に対する反対討論



 ただいま上程中の決算認定のうち、認定第19号平成21年度(2009年度)西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について、日本共産党は反対をいたします。
 その理由を申し上げます。

 2009年度は、政治の面では、8月の総選挙で、国民の意思による政権交代が起こり、自公政権から民主党中心の連立政権へ移行した年であります。
また、経済の面では、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破たんに端を発した世界的な金融危機、いわゆるリーマン・ショックと、経済不況の影響を大きく受けた年でもあります。
 長期にわたる自民党中心の政権は、大型公共事業に巨額の税金を投入し、特に1990年代以降はそれが年間50兆円を超え、財政危機を作り出す要因となりました。その財政危機を口実に、消費税の増税と医療費など社会保障費を大幅に削減し、国民の購買力を奪い内需を冷やし、さらに大企業優遇の法人税の引き下げ等で歳入に大穴を開け、深刻な財政危機と景気悪化をもたらしました。2000年代に入ると構造改革の名で、社会保障費をさらに削減、派遣など非正規雇用を拡大させ、景気対策の名によるバラマキなど、財政危機と景気後退、国民生活と雇用の悪化と、最悪の悪循環を繰り返し、一握りの大企業だけが巨額の内部留保金を溜め込み一人勝ちする事態となったのです。
 本来であれば、派遣法の改正による雇用の安定化、減税と社会保障の充実、中小企業への支援などで内需拡大による景気回復と税収増による財政再建をはかるべきですが政権交代後の民主党政権は、公約を踏みにじり、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法は温存、派遣法は穴だらけ、財界の要求に忠実にこたえ、経済と財政の悪化の悪循環を深める大企業への法人税減税と消費税増税を、さらに強行しようとしており、いよいよ、国民の暮らしと中小企業の営業は、これまでになく厳しい状況に追い込まれています。
 このような状況で、国の悪政から市民生活をまもる防波堤の役割が、地方自治体に、求められます。西宮市がそれにこたえるものとなっているのでしょうか。

 西宮市の2009年度決算は、一般会計、特別会計あわせると、歳入総額2331億7500万円、歳出総額2311億3100万円、翌年度に繰り越すべき財源4億2700万円を差し引くと、実質収支額は17億4900万円の黒字となり、実に黒字は31年連続となりました。
 経済不況の影響を大きく受け、前年度に比べると市税収入が14億7500万円の減収となり、特に法人市民税は13億4900万円の減収となっています。また、衆議院選挙を前後して、政府による、いわゆる“バラマキ”とも言われた、定額給付金や臨時交付金などが盛り込まれました。決算剰余金は52億600万円生じ、財政基金、減債基金の合計が約8億円の取り崩しはあったものの、131億5400万円の残高となり、今後の財政運営に大きな役割を果たすことになります。本会議での質疑でも明らかになりましたが、経済の先行きは見えないけれども、ムダな大型公共事業などに取り組まなければ、西宮市は安定した財政運営ができる豊かな財源を持っており、市民の要求をしっかりと実現することができます。
 2009年度は、こどもの医療費無料化にむけて、乳幼児等医療助成制度を拡充、妊婦健診の公的助成の拡充、障害児学童の6年生までの受け入れ、学校の耐震化推進、一部学校普通教室へのエアコン設置、など、一定の施策が取り組まれています。
 しかし、一方では、市民の厳しい生活に背を向けるものとなっています。
 以下、反対箇所、問題点の指摘をします。

 第1に、深刻な不況による市民生活が悪化する中で、市民サービスを切り下げているものです。
 財政危機を理由に2005年度から2008年度まで実施された第3次行財政改善実施計画による福祉、教育の切り下げは、財政状況が大きく改善されているにもかかわらず、元に戻す、あるいは新たな施策に取り組むなどの見直しをすることなく、継続して市民サービスが切り捨てられたままです。また、兵庫県の「新行革プラン」により医療助成制度は、所得制限の強化、負担増による改悪が実施され、老人、障害者、母子などの医療費負担が大幅に押し付けられ、市として十分な支援策をとることにはなっていません。
 その他市は保育所保育料、学校給食費、介護保険料を引き上げました。
 また、不況に苦しむ市内中小企業への支援策はほとんどみられません。

 第2に、人口急増に対する抑制が取られませんでした。
 教育費では児童急増対策に28億7200万円が執行され、校舎の増改築が取り組まれていますが、多くがプレハブによる対応となっています。保育所整備は大きく遅れ、2009年3月には待機児童数が963人になり、最も少ない4月の時点でも前年よりも87人多い310人となっています。一刻も早い対策が求められています。
 特別養護老人ホームは2010年3月末で2041人の待機者となっており、新たな整備計画が求められています。
 マンション開発の規制緩和のつけを、引き続き市民に押し付けるものとなりました。このような状況でも有効な開発規制が取り組まれませんでした。
 今議会わが党の上田さち子議員の一般質問の中で、ようやくマンション開発規制の方向が示されました。

 第3に、不要不急の開発事業、大型公共事業の問題です。
 当初予算では、阪神電鉄のための、阪神西宮駅北の駅前広場整備事業の予算が組み込まれていましたが、阪神電鉄の都合により、事業は休止となりました。阪神電鉄に振り回されたものですが、市民不在のやり方が破たんしたものです。
 市民生活よりも開発を上におく、政治姿勢に反対するものです。
 なお、この間西宮市が推進していた武庫川ダム建設、阪急甲陽線の地下化の計画は、税金のムダ遣い、環境破壊との厳しい市民の批判の前に、2009年度、事実上中止となっています。

 第4に、官から民への構造改革路線についてです。
 東部総合処理センター整備事業については、施設建設と20年間の施設運営委託の契約を談合で再三処分を受けている企業と統合した事業者と締結、長期間の委託と契約者について問題ありということを指摘しておきます。
 また、甲子園9番町市営住宅の建て替えについては反対をするものではありませんが、わざわざ、PFI方式をとっています。
 民営化、民間委託、指定管理者制度導入など、公的責任の放棄につながる官から民への構造改革路線の政治姿勢には反対であります。
 民間活力の導入ということで取り組まれた第3セクター方式が、フレンテ西宮からのコープ撤退問題によるフレンテの床買い取りと西宮都市管理株式会社へ短期貸付の追加と経営問題、鳴尾ウォーターワールドへの6000万円の貸付など、失政のつけは明確です。

 第5に、食肉センター特別会計についてです。
 9月議会、西宮市は食肉センターについて、市が方針としていた公設民営化を断念し、今後指定管理者制度を継続して食肉センターを存続させる旨の所管事務報告を行いました。これは、「食肉センター検討委員会の提言」と明らかに違う立場をとったものです。2009年度は、方針も定まっていないにもかかわらず、存続を前提に約1億2000万円の設備投資を行っています。市職員の常駐、新たな施設整備、民営化あるいは廃止かの方針をなげすて、指定管理者制度の継続、つまり食肉事業組合のいいなりとも言うべきであり、容認できません。

 以上、反対か所を中心に問題点についても指摘をしましたが、このような政治姿勢は改めるべきであります。

 今後の問題について指摘、要望するものです。

 第1に、公契約条例の制定についてです。
 決算審査で、駐輪場の指定管理者が変わり、継続雇用された労働者の時給が755円から730円に引き下げられました。指定管理者が変わるたびに時給が下がることが常態化しており、新しい最低賃金よりも低くおさえられ、最低賃金ぎりぎりの水準となっていたのです。まさに、管製ワーキングです。市に事業に係わる労働者の労働条件を守ることは、全体の引き上げにもつながります。設置された公契約条例プロジェクトチームにより、早急に条例制定を求めるものです。

 第2に、国民健康保険料についてです。
 兵庫県で一番高い国民健康保険料を引き下げるために、2億5000万円の一般会計からの繰入を3年間行うとして、今年がその3年目となっています。来年度以降については、「繰り入れは必要」との答弁ですが、明確なものにはなっていません。来年度以降も一般会計からの繰入を継続し、さら増額による国民健康保険料の引き下げを求めるものです。

 第3に、市職員の増員についてです。
 児童虐待防止にとって必要な家庭児童相談人が、西宮市ではわずかに3人、尼崎市の3分の1、芦屋市と同数で、阪神間では最低の人数となっています。厚生課のケースワーカーは、生活保護受給者が急増する中、必要な59名に対して41名しか配置されていません。
 2つの事例をあげましたが、特に市民生活に直結する分野での職員不足が顕著となっています。だたちに必要な職員配置を行えるよう、思い切った増員を求めるものです。

 第4に水道料金の引き下げについてです。
 12年前に水道料金が改定されて以来、約29億円の内部留保金が積み立てられてきました。阪神水道構成4市で最も高い料金は、高過ぎたことが明白となっています。直ちに市民に還元して、水道料金の引き下げを実施するよう求めます。

 第5に、西宮北有料道路についてです。
 兵庫県道路公社が整備した磐滝トンネルを含む西宮北有料道路については、すでに累積された通行料による収益が整備費用を上回っており、当初の計画ならば、西宮市が無利子で貸し付けた12億1500万円の返還と通行料の徴収終了できる状況になっています。貸付金の返還と通行料無料化を、兵庫県と直ちに協議し実施するよう求めます。

 第6に、学校配分予算についてです。
学校運営に必要な備品や消耗品などの需用費などを、各学校に配分している学校管理運営事務経費、いわゆる学校配分予算は、2007年度まで連続15年間削減されてきました。2008年度、2009年度と、多少の増額が実現しましたが、学校運営の適正化や、教育内容の充実・向上には程遠い内容と言わなければなりません。
教育委員会が標準的な学校運営経費を算出するために策定、1988年に改訂した「運営費標準および設備基準」に比して、現在は小学校で、51.78%。中学校では43.75%しか確保できていません。子どもたちの豊かな教育を保証する学校配分予算の思い切った増額を新年度に向け、強く要望するものです。

 第7に、市立幼稚園の園児募集定員についてです。
 市立浜脇、門戸幼稚園については、応募が前年を上回る見込みにもかかわらず、4歳児の定員を臨時的措置の60人から30人に戻し、事実上減員、しかも10月募集のわずか20日前の市政ニュースで知らせるという、無責任なものでした。直ちに追加募集を行い、60人定員とするよう求めます。

 第8に、中央病院についてですが、来年3月に、移転建て替えも含めて、将来の中央病院のあり方の新たな方針を提起することになっていますが、このような短期間の検討ではなく、議会の意見、市民の声にもしっかり耳を傾けて、時間もかけて十分な検討をするよう求めるものです。

 最後に、アサヒビール西宮工場の閉鎖について、申し上げます。
 これは市の財政への影響もさることながら、雇用を含め地域経済にとっても大変な影響を及ぼします。さらに、跡地利用によっても、住環境を含む影響が考えられることからも、西宮市として、大企業の社会的責任をふまえて、しっかりと協議をするよう求めます。

 市民生活が非常に厳しいもとで、地方自治体として、国の悪政から市民の生活をまもるという役割は、ますます大きくなっており、西宮市がその役割を発揮するよう、日本共産党西宮市会議員団は地川を尽くしたいと思います。
 以上、日本共産党西宮市会議員団の反対討論とします。