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まつお正秀の一般質問
2010年12月10日

ひとり暮らしの高齢者施策について


 二つ目の質問は、一人暮らしの高齢者など対策についてで、特にこうした人たちの見守りを行なう民生・児童委員のあり方についてと、地域活動の中での名簿のあり方について質問させていただきます。以下、民生・児童委員については民生委員と呼ばせていただきます。
今年は全国であいついだ行方不明の高齢者問題、猛暑や生活苦で亡くなるお年寄りなどについての報道がたくさんありました。そうした中で先の9月議会でも数名の議員さんがこのことに関連した質問も行なっておられますが、特に一人暮らしの高齢者が誰にも看取られずに亡くなるということは本当に悲しいことではないでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所が今後の予測を発表していますが、その中で2005年に386万世帯だった65歳以上の一人暮らし世帯は2025年には680万世帯の二倍近くになるとしています。今年の初めからNHKが「無縁社会」というテーマで報道した特集番組は、多くの方に他人事ではないという共感を与えました。会社や地域、そして家族間でもお互いのことに関心を持たない風潮がますます広がっています。また、個人情報保護法の施行によって、個人のプライバシーに踏む込むことを躊躇する傾向も広がっています。そうしたことから自治会の役員をやっても情報がない中で責任だけが問われるようになって、それだけが原因ではないと思いますが自治会長などの役員のなり手もいなくなり、一年あるいは半年交代の輪番制にするところが多くな
っているという現実があります。民生委員さんについても、行方知れずの高齢者問題が報道されたこともあって、問題が起きた時に民生委員の責任ではないかと言われかねないということや、以前と比べて実際の年間活動日数がこの間増えてきていることなどが影響して、民生委員さんへのなり手が減っており、特に都市部でその傾向が顕著であるという報道もありました。個人情報への過剰な反応と共に情報が少ない中で責任を果たしてもらうことは難しいということから、大阪市では生活保護者についての市の支援状況などの個人情報を今後民生委員さんに教えていくということも報道されていました。個人情報保護法の正しい理解がされないまま、個人情報保護という言葉が一人歩きしている現実がある中で、特に民生委員の活動がやりにくくなっているように思われますし、高齢者の数がさらに増えていく中で民生委員だけでは限界があり、いかに民生・児童協力委員の方たちの力を引き出していくのかと言うことが問われてくるのではないでしょうか。
また、国勢調査での具体的な事例で言いますと、オートロックのマンションが増え、インターホンで入って用紙を渡して同じマンションの方を訪問すると管理人さんから怒られる。いったん出て別の方のインタホンを押さないといけないとか、調査員が該当者のところに伺って、4人しか書けない調査票なので5人だと2枚渡さないといけませんから、渡すときにご家族は何人ですかと聞くと、一人ですと答えることで女性や老人が被害にあうようなことも考えられることから、そうした尋ね方はおかしいと苦情が来たとので、4人かけますが用紙は何枚いりますかと聞くように徹底したと言うことでした。こうした配慮は当然行なわれるべきことですが、以前であれば当然行なわれていたことが聞いてはならない、あるいは教えてはいけないと言うことで、地域ではいろんな意味で苦労されているという話も聞きました。
日本共産党は現在、全国的に住民の皆さんと膝を交えて語り合う「つどい」という小集会を開催していますが、地域の方々の関心に合わせて様々なテーマで行なっています。先日甲東公民館で開催した「高齢化問題を考える」と題したテーマのつどいでは、近隣の自治会長さんたちが関心あるテーマではないかと事前に参加の呼びかけに回りました。そのときに多くの自治会長さんから個人情報保護法が出来て活動がやりにくくなったと言う声を何人もの方から聞きました。民生委員さんには高齢者の名簿は渡るが、自治会長や民生児童協力委員には名簿はもらえない、「いったいどうしろというのか」と、そんな声も聞こえてきます。
そこで、このようなことの問題意識をもって取り組んでいる自治体はないかと調べていくと、大阪の箕面市が「安心ふれあい名簿条例」を作成して施行しているということから、私は箕面市役所に直接出向いて話を伺いにいってきました。箕面市では市が保有する名簿や情報を市民にどう提供するかと言うことではなく、地域などで作成される名簿を個人情報保護に配慮して作成されたものであるということを市が確認して認証すると言うやり方の制度で、今年の4月から施行されており、そのことが地域で名簿を作成する時に「どのように作ったらよいのか」と認証は受けないけれども担当部署の総務部総務課に相談によくこられるようになったそうです。そして今ではすべての公立の小中学校で名簿が作成されたとのことで、大変参考になりました。

<質問>


  1. 今年は3年に一度の民生委員・児童委員の改選と聞いておりますが、民生委員の役割とともに、今回の改選状況についてお聞かせ下さい。

  2. 民生委員には民生・児童協力委員が配置されていると聞いているが、その役割と活動状況についてお答えください。

  3. 9月議会では、年々増加していく民生委員・児童委員さんの業務について、「民生委員・児童委員との協働や連携のあり方について検討するとともに、活動における個人情報の取扱いなどの課題整理を行ってまいります」と答弁されています。その後の検討状況と民生委員・児童委員さんの現在の課題と、今後どのように改善しようと考えているか、お聞かせ下さい。

  4. 民生委員・児童委員さんだけでなく、自治会やPTAなどが名簿を作成しようとした際に、人に知られたくない個人の情報は保護されるべきという相手の意識があまりに強くなって、個人情報保護法が本来めざすべき趣旨・目的からはずれ、過剰な反応を引き起こしているように現状では見受けられます。そこで改めて個人情報保護法の趣旨や特徴、そしてその運用についての当局の考えを伺います。

    さらに、自治会などが自主的に名簿を作成しようとした際に、市としての対応や関与のあり方についての考えをお聞かせ下さい。