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野口あけみの代表質問
2011年02月23日

財政問題について


 西宮市2011年度予算案は、一般、特別会計合わせて、前年比7.9%増の2976億2408万円、3000億にも届こうという大型予算となっています。うち一般会計は、1740億7067万円と、前年比8.1%、130億円の増。前年比増の主な内容として、東部総合処理センターの本格建設(約71億、前年比60億増)、あとで質問する、土地開発公社健全化計画による土地買い戻しなどの投資的事業と、子ども手当の通年実施と単価アップで前年比31億増の118億7000万、生活保護費が114億から134億円へと20億円増など扶助費の増が説明されています。

 歳出では、わが党が求めていた国民健康保険料引き下げのための一般会計からの繰り入れは2億5千万円、中学3年生までのこども医療費無料化の継続実施、待機児童解消のための保育所新増設で、4月時点で定員240人増、新年度の取り組みで529人増、幼稚園保護者負担の公私間格差を3年間で2.4倍から2倍以内に段階的に是正する予算措置、わかば園を移転建て替えし、総合療育センターとして整備、特別養護老人ホーム土地確保と建設費補助、甲子園口JR地下道改修の本格実施、高松町交差点踏み切り信号設置、阪神甲子園駅バリアフリー化と周辺整備など、評価できるものです。

 歳入では、市税は給与所得減による個人市民税の減少分を、金融保険業などの企業収益改善による法人市民税増と、家屋増による固定資産税、都市計画税増で補い、前年並みを確保しています。その上で、地方交付税と臨時財政対策債の合計は前年比31億増で174億円。土地開発公社健全化計画による甲子園浜用地買収の貸付元金収入の皆増50億などがあり、結果、基金とりくずしを前年予算より大きく減らしても、一般財源総額は前年比58億円増加の1136億となっています。余裕の予算案といえるのではないでしょうか。

 また、新年度予算案は、これまでの「失政」のツケを市民に背負わせるものとなっていることも大きな特徴です。市が実施した再開発事業によるJR西宮駅南のフレンテビルでは、一昨年キーテナントのコープこうべが撤退。その際、2・3階部分を8億円で市が購入しました。今回は、その管理をおこなう西宮都市管理株式会社への9億9千万円の短期貸付を35年返済の長期貸付へと変更してやろうというのです。さらに、土地開発公社には、バブルの時期に使い道もなく買いあさり、「塩漬け土地」となっていた長期保有地などを、現在の価値より3倍以上の高値で買い取るのです。市は新聞取材に対し「市民に負担を強いることになるが、財政を透明化し、問題を先延ばしにしない最善策」などとコメントしていますが、そもそも自治体が民間企業のような事業を展開し起こした「失敗、誤り」についてきちんと反省すべきです。厳しく指摘しておきます。

 さて、市民の多くは、「国の借金残高970兆円。地方も200兆円。」などという情報から、西宮市も大変な借金に苦しむ、財政危機だと思い込まされています。市当局も市民や議会に対し、口癖のように「金がない」といい、切実なくらしの要求を抑え込もうとしますが、西宮市の財政状況はけして「財政危機」などではありません。

 危機的なのは市内中小零細業者の経営であり、給料が減り続けている勤労者のくらし、年金の目減りが続く高齢者のくらしです。しかし、市長の行政方針にはそのことへの言及がほとんどありません。「地域経済の回復の動きは弱く、若者などの厳しい雇用環境が続いている」と述べるのみです。しかし、生活保護費が約17.5%も前年比で伸びている背景には、深刻な生活の状態があるということに思いをいたし、もっと直接的緊急の生活支援策をとるべきだということを申し上げたいと思います。


<質問>


  1. 私は新年度予算案を「余裕」の予算案と表現しましたが、市の考える新年度予算案の特徴はどういうものでしょうか。

  2. 市債(借金)と公債費(毎年の借金返済)についてです。
    「借金残高マルマル億。子孫への負の遺産だ」と借金をすべて悪者扱いする声も聞こえてきます。しかし、市債や公債費がどれだけあるかは自治体の財政状況を示す重要な指標の一つではありますが、中身がどんなものであるかが重要です。無駄な公共事業にあてられる借金はすべきではありません。しかし、必要な福祉や教育の施設整備などのために借金をし、後々利用する世代と分かち合って負担することは当然です。また、国による地方交付税の不足額を補填する臨時財政対策債や、減税補填債は、その返済費用がのちに交付税措置されるものであり、これらは他の市債と区別すべきです。
     質問です。普通会計での市債残高のピーク時はH10年度末で3133億円でしたが、22年度末の残高見込みは1747億円となり、1386億円減っています。一方、普通会計の公債費(毎年の借金返し)は、ピーク時のH16年度で、一般財源ベースで270億円でしたが、新年度は222億円です。市債残高と公債費の今後の見通しはどうでしょうか。

  3. 通常、決算剰余金=年度の歳入から歳出を差し引いたものが30億?40億出てきます。かりに40億円とした場合、22年度の決算見込みを含めた今後の財政収支見込はどうか。