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野口あけみの代表質問
2011年02月23日

土地開発公社健全化計画について


予算案の顕著な特徴のひとつが、土地開発公社健全化計画の具体化です。
1972年制定の「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいてつくられた土地開発公社は、自治体の100%出資による特別法人で、金融機関から自治体の債務保証つきで融資を受け、将来自治体が必要とする土地を先行して手に入れます。自治体は事業決定段階で公社から土地を買い取り活用します。
創設期には必要な公共用地の先行取得に一定の役割を果たした一方、80年代「民間活力導入」の時期には、民間金融機関のだぶついた金の貸付先とされ、自治体の土地買いあさりをあおる役割を担わされてきました。政府の政策誘導の結果とはいえ、全国の土地開発公社は使い道のない大量の、いわゆる塩漬け土地を抱え、膨大な金利負担で身動きできずにきたものです。

日本共産党はこうした土地開発公社の問題を当時から繰り返し指摘し、本来の事業展開をと求めてきました。1991年12月議会西村義男議員の質問を少し紹介します。「土地開発公社は、御承知のように、市の事業に必要な用地を先行取得する、必要な時期に市が買い戻しを図る、つまり土地取得というところに限定をして、市の行政の補完的な役割を果たしているというのが公社であります。ところが、最近の公社の事業活動を見ると、事業内容が従来と大きく変わってきております。必要な時期に市が買い取るということですが、これは、事業の認可、あるいは事業の決定がなされた時期、つまり国庫補助だとか起債等の見通しのある、そういう事業の用地のみ、これまで買収を行ってきました。ところが、最近は、そうではなく、公社の自主買収事業という名目で、いわゆる事業の見通しのない土地まで次々に買収をしている、その利子払いも、これは銀行からの借り入れですから、莫大な額に上っていると思うのであります。本来の土地開発公社の性格を逸脱しているということを指摘したいのであります。」
時代が移り、バブルの崩壊や阪神淡路大震災などを経て、土地を次々買いあさることはしなくなったものの、土地保有の長期化による金利負担の増加などで西宮市の公社の経営は全国の公社同様厳しいものでした。

そこに2009年(H21年)8月、総務省自治行政局地域振興室長通知が出ました。通知ではすべての土地開発公社が、公社を通じた土地取得を実施する必要性を整理し、保有する土地の処分計画を作成した上で、存続か、解散かを決めよというものです。

市は、以下の健全化計画を立て、存続することとしました。1、公社は甲子園浜下水道用地取得費として市から無利子で借り入れている約50億9千万円を金融機関より借り入れ、市へ一括償還する。2、市は、公社が5年以上保有している5件の土地を49億2000万円で買い戻す、3、すでに市が買い戻し、分割償還している残額15億1200万円を一括繰り上げ償還する、4、公社は長期保有地等のための金融機関からの借入金を返済するなどです。2と3の市の支払額は総額64億3200万円ですが、特別養護老人ホーム整備用地および総合療育センター整備用地として活用が決まっている土地については起債(借金)が認められ、買取に必要な一般財源は39億円。公社が市に返済するのが50億9000万円ですから、市には約11億円のお釣りがある勘定です。

 長期保有地の一部は福祉施設に活用され、一見市の収支にも悪影響を与えていないようにも見えますが、「めでたしめでたし」というわけにはいきません。

<質問>


  1. 健全化計画で市が買い戻す長期保有地は、取得当時の価格に加え、金融機関に払い続けた利子分も含め支払うことになります。現在の評価額いわゆる時価との差は総額いくらか。

  2. 公社が長期保有地を抱えることになった原因をどう考えるか。そこからどんな教訓を引き出しているか。

  3. 塩漬け土地の持ち主が公社から市に移っただけでは市民にとっては意味がありません。市が買い取る土地のうち、活用が決まっていない塩瀬町當田などの今後の活用見通しは。また既に市から買い戻し、代金について分割払い中だったJR西宮駅北東用地などについては一括繰り上げ償還するが、この土地の活用は決まっているのか。