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野口あけみの代表質問
2011年02月23日

高齢者施策について


2000年に始まり10年を迎えた介護保険制度は、2012年度からスタートする第五期介護保険事業計画の改定にむけ、現在、政府内において法改正案の議論がおこなわれています。審議内容は部分的に報道されていますが、刻々変わり、まだ現時点では定かではありません。たとえば、要支援、軽度者について利用料負担を1割から2割に引き上げる、いまは自己負担のないケアプラン作成を有料にするなどについては、国民の強い反対世論により、とり下げられたと聞いていますが、要支援者に対するホームヘルパーによる生活援助などの保険サービスを、市町村の判断で保険サービスからはずし、ボランティアによるものとする仕組みを導入するなども報道されています。これらはどれも給付を削る内容ばかりで、介護保険制度発足の目的とされた「介護の社会化」や「老老介護の解消」は一向に進まず、「保険あって介護なし」の実態がますますひどくなりかねません。改定に際して「介護保険の改悪は許さない」との声と運動を広げていかねばならないと思います。

 さて、介護保険制度だけでは高齢者をめぐる問題は解決されません。高齢者福祉施策全体の底上げが必要です。つい最近見聞きした2つの事例を挙げ、質問をします。

 事例1は、90歳を超える男性です。近くに住む弟さんと妹さんが様子を見ながら、なんとか一人暮らしを続けていましたが、とうとう足腰が立たなくなって2?3ヶ月が過ぎ、どうしたものか、と弟さんより2月1日に私に相談がありました。
介護保険の認定を受けていなかったので、私から介護保険課に連絡をとったところ、その日のうちに、弟さんに地域包括支援センターから連絡が入ったとのことです。その後の様子を聞きますと、包括センターに代理申請をしてもらったが、認定調査は込み合っていて、家族の都合もあり、24日に調査だ、とのことでした。相談を受けて3週間が過ぎていますが、状況自体は変わっていません。
しかし、弟さんは「包括センターの存在ははじめて知ったが、対応は大変ていねいで気持ちよかった。認定がでても費用負担のこともあり、出来るだけ自分たちでやれることはやるつもりだが、最後には何とかなりそうだ」と、少しホッとされていました。
 事例2、「老老介護です」と少しやつれた顔でおっしゃる60代女性。こちらも90歳を超える要支援2のお母様を引き取り、仕事をしながら面倒を見ておられます。「デイサービスを月1回利用しているだけ。もう1回行けるけれども本人が行きたがらない。自分がもっとケアマネージャーさんに聞くなど積極的に動けばいいのだろうけど、介護やその他福祉の情報がなかなか入ってこない。配食サービスは家族同居では受けられないので、昼ごはんにお菓子を食べさせている」と語っておられました。

 現行の市高齢者福祉計画は、「支援を必要とする高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れる」ことを目標としており、これは今後も変わらぬ命題ですが、その際の中核となるべきなのが、「地域包括支援センター」です。これも計画でうたっています。

<質問>
  1. 「地域包括支援センター」は身近な相談機関という位置づけにもかかわらず市民の認知度は低いです。私はネーミングも悪いと思います。何をするところか名前からはちっともわからない。以前厚生常任委員会に所属している時には愛称をつけたらどうかと提案してきました。当局は認知度の低い原因をどう考えますか。

  2. 「地域包括支援センター」は関係機関へ情報交換・調整し、高齢者に必要なサービスをつなぐ総合相談機能とともに、要支援1,2のケアプラン作成など多くの業務をになっています。「情報が入ってこない」という高齢者家族の声がありますが、ケアプランの作成だけでも大変多く、多忙すぎる状況が影響しているのでないでしょうか。市当局は「センター」の現状と課題をどう把握しておられるか。

  3. 市では、H18年より毎年9月?11月にかけて民生委員による65才以上の高齢者の実態調査を行っており、21年度は約9万人について実態把握がされたとしています。資料によれば、高齢者から民生委員へ生活相談された方は1割強の9469件、生活相談のうち専門性が必要との判断で地域包括支援センターへつないだ件数はそのまた1割の929件となっています。質問ですが、相談内容などから現行サービスでは対応しきれない事例もあると思います。ニーズに対応するサービスの構築は考えていないか。
    また、配食サービスは対象を広げるべきではないか。