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まつお正秀の一般質問
2011年06月29日

被災者生活再建支援法と災害援護資金貸付制度について


被災者支援に関して、特に被災者生活再建支援法と災害援護資金貸付制度についてです。この制度は国あるいは県が支出をしたお金を被災者に支給あるいは貸し付けるものではありますが、どちらも市が窓口になっているという点で、言うべきことは国や県に言っていかねばならないという観点から質問を行ないます。


被災者生活再建支援法について


 当時では戦後最大規模といわれた阪神淡路大震災では、死者6434人、家屋の全半壊46万世帯という被害を受けました。住宅ローンが残ったまま家が壊れて建て替えないと住めない、あるいは修繕をして住めるようにしようと思っても莫大な費用がかかることから、地震から8日後に日本共産党は「国の責任で土地、家屋、家財に対する補償制度の創設を真剣に検討すべき」と国会で提起しましたが、当時の村山政権は「日本は私有財産制の国だから、個人の財産は個人の責任のもとに維持するのが建前」と個人補償を拒否しました。しかし、個人補償が必要だということは、被災地だけではなく国民の多くを巻き込んで運動が広がっていきました。日本共産党は復興県民会議にも参加し、一人一人の生活再建こそが復興の土台であるとの立場で被災者の声を取り上げ、公的支援なくしては生活や住宅の再建はできないと、党議員団としても国や県に対しての働きかけを強めるとともに、西宮の市議会でも繰り返し個人補償を求めてきたところです。そうした中でマスコミなどもそのことクローズアップして取り上げざるを得なくなり、コープこうべなども「地震災害等に対する国民的保障制度を求める署名推進運動を行ない、全国で約2400万人の署名も集められました。その後1997年5月超党派によって法案が議員提案されて、翌年の1998年5月に被災者生活再建支援法が成立しました。その内容を少し紹介しておきますが、国と都道府県がそれぞれ半額ずつ支出する基金を設置し、家が全壊や大規模半壊した世帯で、生活必需品や引っ越し費用に限定したうえで上限100万円支給するというもので、年齢制限や所得制限もありました。当初個人補償ができないとした政府の立場から一歩前進したことは評価すべきことですが、住宅はもとより工場、機械、店舗、などの生活基盤を失なった人たちの復興や再建にはほど遠かった現状から、2004年3月の法改正で、がれき撤去や住宅ローン利子などに限定して200万円が上乗せされ、合計300万円に引き上げられました。その後2007年11月の法改正では使途を定めない定額渡し切りで年齢・収入要件も撤廃されました。その背景にはこの間、国内でも国外でも大規模な自然災害が相次いでいる事もあると考えますが、この度の東日本大震災では着のみ着のままで避難した人たちには何も残っていません。こうした人たちの住宅や生活再建をするのにこれまでの300万円では不十分だということは明らかではないかと思います。今回、生活の糧である船や工場などもたくさんの被害を受けるなかで、政府もやっと重い腰を上げて二重ローン対策などの取り組まざるを得ない状況になってきています。

 そこで一点目の質問ですが
現在の被災者生活再建支援法の金額については少なく金額の引き上げ、支給対象についても一部損壊や、工場、店舗、機械、船など、生業の糧となるものも対象にするよう、国に拡充を求めるべきではないか



災害援護資金貸付制度について


これは自然災害によって住居や家財に一定以上の被害を受けた世帯、および世帯主が負傷した場合に当面の生活の立て直しに資するために350万円を限度として貸し付けをするもので、3年間の据え置き期間も含めて10年以内返済という制度で、阪神・淡路大震災では多くの方が利用されましたが、規模が大きいということなどもあり、5年間据え置きにはなったものの、金利が3パーセントと現在の金利水準からみても大変高く、その後の運動によって少額償還が認められるようにはなりましたが、死亡・重度障害により返済能力がなくなった場合などの免除措置はあるものの、いまだに返済をできない方も多くおられ、県は自治体からの返済期限を5年間延長し、さらに3年間延長することになっています。

そこで被災者支援のテーマで二点目の質問になりますが
災害援護資金について、前年度末での貸付件数・額ととともに償還済み件数・額はどのようになっているか、その中で免除件数と額はいくらか
三点目、災害援護資金について支払猶予の制度があるが毎年更新しなければならず、申請書においてはそのたびに保証人の承諾が必要とされている。支払い困難と認めた場合は保証人の承諾を求めることなく免除にすべきと思うがどうか
四点目、現在の災害援護資金の返済免除要件は大変厳しいものとなっているが、東日本大震災の被災者に貸し付ける援護資金については、国が免除要件や貸し付け条件などの緩和をする方向であると聞いています。その内容についてお伺いすると共に、緩和されれば阪神・淡路大震災や台風23号被災者にも適用すべきと思うがどうか。