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2012年度当初予算編成に対する申し入れ
2011年08月30日

総合企画局


  1. 自公政権時代からの「構造改革」路線を、さらに推し進めようとするのが、民主党政権の「地域主権改革」である。
    「地域主権改革」では、「国と地方の役割分担」と称して、国の役割を外交・防衛などに限定し、身近な福祉や教育、社会保障は地方で担うとし、国の社会保障に対する責任を放棄しようしている。また、「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」「国の出先機関の原則廃止」「ひも付き補助金の一括交付金化」など、どれもが「地域主権」の名のもとに、一括して地方に丸投げしようとするものであり、地方自治体に重大な影響を与える。
    市は、国のいいなりに保育所の面積要件の緩和などを行わず、憲法と地方自治法の精神を大切に「住民福祉」を向上させる行政運営を行うこと。

  2. 市はこれまで民営化や、指定管理者制度、PFI、民間委託などの手法を導入するなど、国の言うままに、「構造改革路線」を推し進めてきたが、そこでは様々な弊害が生まれている。地方自治体として「住民福祉の推進」の精神を発揮し、安心して暮らせる住民サービスの充実と生活基盤の整備、地域経済の振興・雇用の確保などが進められるよう、これら制度についても抜本的に見直し、改善すること。
    1. 2011年7月大阪府泉南市で、一般公開されていた小学校プールで、小学1生がおぼれ、死亡するというあってはならない事故が起きた。管理運営を委託されていた業者が規定どおりの監視員を配置していなかったことが原因の第一に挙げられている。同市と同様の事故が起きた埼玉県ふじみ野市では市の担当者が、委託でも行政に責任ありとして、業務上過失致死罪に問われ、執行猶予付きの禁固刑が言い渡されている。市は住民の安全安心の確保のためにも良質な公共サービスが提供されるよう、指定管理者制度や、民間委託などにおいて、しっかり管理監督義務を果たすよう具体的措置をとること。

    2. 業務の民営化や、民間委託、また指定管理者制度は、経費削減が最大の目的となっているため、そこで働く労働者の賃金削減につながり、いわゆる「官製ワーキングプア」を生み出している。これらについて社会的批判も強まりつつある。
      特に指定管理者制度については、2010年12月の総務省通知で、「単なる価格競争による入札とは異なる」こと、「雇用・労働条件への適切な配慮」に留意するよう求められている。また、2010年7月に施行された公共サービス基本法第11条では、「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」と規定されている。これらをふまえ、公契約条例をはじめ「官製ワーキングプア」を生まない仕組みをつくること。

    3. 「市場化テスト法」が成立し全国に広がっていが、公共サービスを切り捨てる「市場化テスト」は導入しないこと。

  3. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざそうとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものである。さらに2011年国会では、利用料金の徴収を行う公共施設について、運営権を民間事業者に委ねることも可能にするようなPFI法拡大改定案が可決された。これは、市民・国民の財産である公共施設を特定の事業者の儲けのために提供するもので、破たんした場合自治体が穴埋めすることになりかねない。
    また、PFI手法を用いなかった場合に比べ総事業費がどれだけ削減できるかを示す指標であるVFMが過大に算定されていることも国会で問題にされ、総務省も「VFMは…客観性及び透明性が確保されているとは認めがたい」と指摘している。
    市では、甲子園9番町市営住宅などでPFIを導入し、1億円以上の工事でPFI導入可能性調査を義務付けているが、これ以上導入しないこと。

  4. 市は、市民及び専門家の目線を加え、透明性を高めた事業点検を行う「西宮方式の事業仕分け」を2011年度はモデル実施した。事業の再構築、職員の意識改革につなげるとしているが、「事業仕分け」についての評価を明らかにすること

  5. 2009年度からスタートしている「第4次総合計画」は、すでに財政計画が破たんし、さらに中央病院の移転建て替えが具体化されようとしているなど、大幅な見直しが必要となってきている。市は2013年度に「4次総」の中間見直しを行うとしているが、その際には基本構想、基本計画についても根本的に見直し、議会の議決に付すこと。

  6. 「西宮市参画と協働の推進に関する条例」が制定されたが、市政全般に生かされていない。条例について市職員に徹底しさらに市民への啓発を行うこと。特に、意見提出手続き(パブリックコメント)に意見が少ない実態から、参画がより進むよう、方法や対象などを検討すること。

  7. 男女共同参画センター(ウェ?ブ)は開館10年をこえ、男女共同参画社会の実現に向けての学習や交流の場として定着しつつあるが、いっそうその運営について次の点について改善すること。
    1. 「ウェ?ブいきいきフェスタ」は登録グループ等で構成する「いきいきフェスタ実行委員会」に委託実施されているが、参加する講座や講演会もふえ、盛況を示している。しかし、その予算は微増しているが、あまりにも少ない。早急に増額すること。

    2. 夜間・休日は外部委託の管理会社職員が対応しているために利用申し込みもできないなど、登録グループ等の活動に支障をきたしている。夜間・休日にも利用申し込みができるよう職員の勤務時間の変更も含めて早急に具体化すること。

    3. 登録グループ、団体が設置目的に沿って使用する場合の使用料は、減免でなく原則無料とすること。

    4. DVや児童虐待が増えている。また、職場での差別、セクシャルハラスメントなど複雑な問題に対応するには、専門職の力量が必要である。昼・夜とも電話相談に対応できる正規職員の配置を行なうこと。

  8. 西宮市の文化行政は文化振興財団に丸投げだ、との批判もある。市民だれもが自由に文化を創造し享受できるよう市が主体性を発揮し、次のことにも取り組むこと。
    1. 文化振興についての予算を大幅に増額すること。

    2. 文化・芸術鑑賞への助成制度の拡充や、フレンテホールやプレラホールの使用料値下げを実施すること。

    3. 市民が気軽に利用できる小規模ホール、器楽練習場など文化施設をつくること。

  9. 2011年の平和祈念式典(広島市主催)では、国連の潘基文事務総長が「核軍縮こそが国際平和と安全保障に大きく貢献するのであり、今すぐ遂行されなくてはならない」とメッセージを寄せ、広島市長は、「2020年までに核兵器廃絶をめざすよう、長崎市とともに平和市長会議の輪を広げる」と表明。また、米国をはじめすべての核保有国に「核兵器廃絶に向けた取り組みを強力に進め」ることを求めた。
    西宮市は、県下で一早く平和非核都市宣言をし、2010年8月には市長が平和市長会議に加盟するなど平和行政を推進している。さらに積極的に平和行政を進めること。
    1. 市役所前六湛寺公園の名称あるいは愛称を、”六湛寺平和公園”とすること。

    2. 平和資料館(川添町)は移転も含めて早期に拡張すること。展示内容については、日本の近現代史についての関心が大きく高まっている現状からも、戦争に至った経過、日本の加害の事実や戦時下での市民の不自由な暮らしなどが小・中学生にわかるよう改善すること。
      また、「核兵器のない世界を」の署名用紙を置き、来館者がいつでも署名できるようにすること。

    3. 原水爆禁止西宮市協議会と連携を強め、補助金を増やして原水禁大会への派遣を大幅に増員すること。

    4. 非核宣言を県に、非核三原則の法制化を国に求めること。市として日本非核宣言自治体協議会に加入すること。

  10. 東日本大震災を契機に、被災者生活再建支援法の抜本拡充が大きな課題となっている。以下の項目を国に要望すること。
    1. 住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。抜本的引き上げをおこなうこと。

    2. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えること。

  11. 2011年7月でアナログ放送が終了し、地上デジタル放送に変わった。「テレビ難民」が100万人ともいわれているが、引き続き、デジタル放送等に関する「相談窓口」を設置し、支援すること。

  12. アサヒビール西宮工場の操業停止は2011年8月の予定が1年延期された。大規模生産業の操業停止・移転は、雇用問題などさまざまな影響が市にもおよぶ。
    なかでも跡地利用について市は、跡地活用提案業務を民間に委託し、現在、その活用案をもとに市としての提案内容や協議方法等を検討中と聞いている。議会にも適時報告し、市民の意見も反映される土地活用となるよう努力すること。