2012年度当初予算編成に対する申し入れ/* --項目挿入-- */?>
2011年08月30日
教育委員会
- 憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもの成長・発達を中心にすえた教育を教育は、すべての子どもの持っている成長・発達する権利を保障するための社会の営みである。とりわけ学校教育は、すべての子どもに基礎的な学力を保障し、子どもたちが社会の主人公として行動できる能力を基本的に身につけることを助ける責任を負っている。
ところが、改悪された教育基本法にそって、「競争と管理」を強め、「君が代・日の丸」の強制、侵略戦争の美化の公教育への持ち込みなどがすすめられようとしている。いまこそ、憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもの成長・発達を中心にすえた教育をすすめるため、以下のことを求める。
- 「教育振興基本計画」は、政府の行うべき条件整備に限定し、教育内容・方法に介入し、教育の自主性を侵してはならないと考える。教育の自主性を侵す「教育振興基本計画」の撤回を国に求めること。
- 内心の自由を守り、「日の丸・君が代」を教育現場で、決して強制しないこと。
- 侵略戦争への反省は日本社会が国際社会に復帰する際の条件であり、日本社会に民主主義を定着させ、日本への誇りを培う上で不可欠のものである。平和教育を重視し、今後も「つくる会」系教科書を採用せず、公教育が侵略戦争の美化・肯定を行うようなことは一切許さないこと。
- 全国いっせい学力テストは全国的に「点を上げるために先生が正解を教える」など問題が噴出し、真の学力向上には役立っていない。今年度は東日本大震災により、実施が見送られたが、抽出になっても基本的に実態は変わっていない。
国に対し廃止を求めるとともに、市として参加しないこと。
市が実施しているリサーチプラン学力テストも同様に問題点が指摘されている。中止すること。
- 文部科学省は、8年間で小中学校を35人以下学級、小学1、2年は30人学級にする『少人数学級推進計画』をたてながら、35人以下学級の小学1年実施にとどまっている。国際的には20人台に向かっており、日本は大きく遅れている。国立教育政策研究所の調査報告でも少人数規模学級の効果は認めており、少人数学級の推進が求められる。
よって、市教委として30人学級の早期実現のため、以下に取り組むこと。
- 市教委として、『少人数学級推進計画』の着実な実施を国に求めること。その上で、義務教育全期間にわたる30人学級の実施を国に要求すること。
- そのための必要な教育条件の整備=必要な正規教職員の確保、学校教室をはじめとする施設整備に対して、国の必要十分な対応を併せて求めること。
- 少人数学級が近い将来実現するとなれば、いよいよこれまでの市の開発政策は転換を迫られる。市長部局との協議を進め、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を抜本的に強化し、これ以上のゆきすぎたマンション開発を全市域で許さないこと。
- 学校配分予算は、長期的に大幅に削減されてきたことから、机やイスなど基本的な備品の老朽化や、教材の不足などに対応できず、学校現場で支障が生じ、問題化した。この間、削減は止まったものの、一人あたりの予算は横ばいとなっている。学校現場の要求に応えられるよう、学校配分予算を大幅に増やすこと。
また、備品など、これまで学校配分予算で手当していたものについては、教育委員会で扱うなど、学校配分予算の裁量を広げること。
- 行き届いた教育のための人的配置等について
- 定員の正規教員が県教委で確保されず、小学校で約7%,中学校で約15%の教員が臨時講師である。定員については、少なくとも正規教員で確保するよう、県に強力に求めること。非常勤講師の加配分についても、定員増を国に求めること。
- 非正規教員、特に臨時教員については、いわゆる「官製ワーキング・プア」と言われるような実態がある。非正規教員の処遇を大幅に引き上げるよう、国・県に強く求めること。
- 中学校においてのクラブ活動指導は心身ともに大変な負担となっている。それに見合った対策をとること。
- 年休や出張時には県教育委員会の要領に基づき、代替教員等の配置を行っているが、実態としては短期対応などで不十分な状況となっている。さらにきめ細かな補助員配置を要求するとともに、市独自でプール指導時の補助員や中学校の理科・技術家庭科の実習助手など現場の声を聞き確保すること。また事務職員の増員もすすめること。
- 更衣室、休養室が設けられていない学校が多いが、早急に改善すること。
- 教員免許更新制度は、教員の身分を不安定にし、「物言わぬ教師」づくりをすすめることである。同時に「講習」中の代替要員もない。国に教員免許更新制度をただちに廃止するよう求めること。あわせて「教員評価」「不適格教員」制度や「教員給与の格差付け」についても廃止を求めること。
- 教育費の家計負担の軽減について
- 今年度、公立高校授業料の無償化が実現したが、政府は、早くも見直そうとしている。無償化の継続を国に求めること。私立高校についても無償化・負担軽減を求めること。
- 義務教育無償の原則にも関わらず、その対象は授業料や教科書などに限られている。制服代、ドリル代、修学旅行積み立て、クラブ活動経費など保護者負担の無償化を国に求めること。
- 就学奨励金については、所得制限を緩和し、受けられる世帯を増やすこと。また保護者が給食代や修学旅行積立金等を立替払いしなくてもいいように、支給方法を改善すること。申請手続きについては、保護者が希望する場合、直接教育委員会でも行なえるようにすること。めがね購入費の補助(上限5000円)を復活させること。
国に対して、国庫補助の復活・拡充を求めること。
- 奨学金制度については給付制奨学金の創設を、国や県に早期実現を要求するとともに、市独自の制度についても創設、拡充すること。
- 世界一高い大学、専門学校などの学費についても、負担軽減を国に求めること。
- 登校拒否、いじめ等、心のケアを必要としている子どもも増えている。教育現場の安全配慮義務を徹底すること。相談体制の充実を図るために、養護教諭の複数配置やスクールカウンセラーを小・中学校全校に配置するよう、国・県に求めること。また、市独自でも行うこと。学校外の相談・支援の場などについても情報を提供すること。
- 虐待を受けている子どもが増え、社会問題にもなっている。教育現場はその兆候をいち早くつかめるところである。教職員への研修を強めること。健康福祉局や県子どもセンターなどとも引き続き連携を強め、早期発見に努めるとともに、なにより子どもの命を守ること。
- 学校園施設等の整備、改善について
- 学校耐震化計画(2013年度完了)とともに、夙川小学校に続き、南甲子園小学校建て替え計画(2014年度完了)が取り組まれる。着実に実施すること。長期的な学校施設改築計画を立て、とりくむこと。その際、LL教室や視聴覚教室なども時代に即した改修をおこない、活用すること。各学校からの改修要望にはただちにこたえること。
- 学校園へのエアコン設置を早期にすすめること。小・中学校の普通教室へのエアコンについては、PFI手法による一括整備ではなく、耐震化の実情をふまえて、順次設置すること。また、災害時の避難所となっている体育館へのエアコン整備もすすめること。
- 学校のトイレは、引き続き、現代の生活様式に見合った改修・改善をすすめること。また、委託業者による清掃は、全体として回数を増やすこと。危険を伴うガラス清掃についても、少なくとも各校年1回は実施すること。
- エレベーター設置は年に2?3校しか行っていないが、早期全校設置に向け、予算を増やすこと。
- 温水シャワーは障害児学級の一部と教職員用には中学校全校と小学校の一部に設置しているが、全校に設置すること。
- 個人情報の学校園からの持ち出し、紛失事故が相次いでいる。個人情報保護を徹底すること。学校園においては校長、園長が管理監督をすること。
- 学校図書教育を充実させるために、早期に専任の司書教諭を市費で全校に配置すること。
- 幼稚園教育について
- 市立幼稚園を6園統廃合し、15園に縮小するとした「西宮市幼稚園教育振興プラン」は市民の反対の声によりいったん凍結され、幼児教育全般についてあり方を探る「西宮市幼児期の教育・保育審議会」で再検討されることになり、2012年度に結論が出される。しかし、市民の意思は、「公立幼稚園を残してほしい」ということであり、統廃合はしないこと。
- 市教委は「公私共存」といいながら、実際には、私立幼稚園の園児確保を前提に、公立幼稚園を調整弁にしている。市民の要望に沿って、公立幼稚園2年保育の募集定員を増やし、入園希望者を全員受け入れること。浜脇、門戸幼稚園については、募集定員を増やすこと。
- 要望の強い「3年保育、延長保育、子育て支援事業」等々を公立幼稚園で充実させ、地域に開かれた幼稚園運営を基本にすえること。
- 若い世代ほど貧困がひろがり生活が困窮している。公立幼稚園保育料の減免制度については、市民税所得割が基準額以下の世帯はすべて免除となっていたが、生活保護・市民税非課税で母子家庭・父子家庭の場合以外は除外された。元の制度に戻すこと。
- 私立幼稚園就園奨励助成制度における所得制限は撤廃し、奨励金も抜本的に増額すること。
- 公立幼稚園全園で、障害児の受け入れを行うこと。そのために必要な教員の研修やマンパワーの充実を行うこと。また、私立幼稚園での障害児受入れについても実施できるよう、課題を整理し支援策も含め検討すること。
- 障害のある子供たちの教育条件を改善するために、以下のことを取り組むこと。
- 障害児教育においてはとりわけ専門家も含めたマンパワーが必要である。特別支援学級は子どもたちの障害の複雑化に対応するため、教員増員を進めること。西宮養護学校についてはセンター的機能の強化のためにも、教員を増員すること。
- 特別支援教育支援員が全学校に配置されたが、実態に応じて複数配置すること。特に、専任のコーディネーターや医療職員を配置すること。また、学校協力員については、ボランティアから職員にすること。
- 障害認定はなくても配慮を要する子どもも増えている。教員加配など必要な手立てをとること。
- 高校教育について、
今年6月30日、県教委は「兵庫県高等学校通学区域検討委員会報告(素案)」を発表し、10月には最終報告が示される。これは、全日制普通科の通学区域を現行16学区から5学区へ統合・拡大するものであり、西宮市は阪神・丹波学区に統合されることになる。
しかし、学区拡大は、競争を激化し、遠距離通学による経済的、身体的負担の増大をまねくとともに、「地域の高校」という特徴がなくなるなど、問題は多い。
このような、大幅な通学区域の拡大には反対し、西宮学区を堅持すること。
- 西宮市の小・中学校での学校給食は、“直営自校方式”で実施され、食育の観点からも、子どもたちの健康と成長をまもる上でも大きな役割を果たしている。
引き続き、次のことを実施すること。
- 将来的にも「直営自校方式」を堅持すること。
- 正規調理員を基本とした人員を確保すること。また、同じ職務にありながら新嘱託の賃金は劣悪になっている。勤務時間も違う。早急に改善すること。
- 食物アレルギーを持つ子どもが増加していることを踏まえて、アレルギー除去食を実施すること。
- 「米飯給食」を自校炊飯できるよう施設整備をすすめること。米粉パンについても実施すること。
- 「統一献立」「食材一括購入」については、学校ごとの献立、野菜等地域の生産者から可能な限り購入するよう、可能なところから工夫して取り組むこと。
- 食育の観点からも栄養教諭を全校に配置するよう県に求めること。
- 原発事故をはじめ、食の安全がおびやかされており、食材使用の中止・再開は、的確に実施すること。
- 相生市では、学校給食の無償化がはじまった。西宮市でも早期に取り組むこと。
- 市教育委員会は、人権教育といいながら同和問題一色の“西宮市人権同和教育協議会”を続けているが、これは廃止すること。
- 公民館について
公民館は1中学校区地域に1公民館を基準として設置しているが、設置場所によっては使いにくい地域もある。また、地域集会施設とは違い、社会教育の拠点である公民館の充実のため、次のことを実施すること。
- 人口増も考慮し、新増設すること。交通の便が悪く、起伏のある、上ヶ原・甲陽園・広田の各地域に公民館を新設すること。
- 要望の強いトイレのベビーシート、ベビーベッド、授乳室の設置を早急にすすめること。
- 高須公民館の空調設備は、音が大きく、温度調節もできない。早急に改善すること。
- 図書館について、以下のことに取り組むこと。
- 正規司書職員を増員し、適正な配置を行うこと。
- 拠点図書館については毎日開館すること。また開館時間についても、改善の方向は示されているが、北口図書館は勤労者が利用できるよう午後9時までとすること。そのために必要な人員を確保すること。
- ひきつづき要望のある津門・今津、甲陽園地域に地域図書館を設置すること。たとえば、教育会館等に分室を検討すること。
- 蔵書数を大幅に増やすこと。
- 分室については、民間委託から直営に戻すこと。
- 今年、スポーツ振興法を全面改正し、スポーツ基本法が制定された。国民のスポー
ツする権利をうたい、国の基本計画の策定が急がれる。市民のスポーツ要求に応える
よう以下のことに取り組むこと。
- スポーツ施設を抜本的に増やすこと。
- 市民要望の強い温水プールを再建整備すること。また、厚生年金プール跡地に市民プールをつくること。
- 廃校となった高須東小学校、船坂小学校については、市民の要望も聞き、当面の暫定的活用をしながら、全市全庁的な視野で有効活用が図れるよう十分検討すること。
- 教育委員会庁舎についてはエレベーターの設置を含めた大規模改修を検討すること。