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2012年度当初予算編成に対する申し入れ
2011年08月30日

健康福祉局



  1. 福祉総合相談窓口の創設について
    市は、高齢福祉グループ、障害福祉課、厚生課、保健所健康増進グループ、地域保健グループの計4課で福祉連携担当者制度を導入したが市民にはわかりにくい。窓口を1本化した形で「福祉総合相談窓口」を設け、福祉施策に精通した職員を配置すること。

  2. 介護保険について
    施行後10年を経た介護保険制度は、「保険あって介護なし」の言葉に象徴されるように、高すぎる保険料・利用者負担、深刻な施設不足、実態を反映していない介護認定や利用限度額によって、利用できる介護が制限されるなど、多くの問題が噴出している。6月15日に改定された介護保険法は、新たな給付抑制策を盛り込むなど、利用者・家族に重大な影響を与えるものである。今回の法改定では、要支援者について、従来の予防給付をうけるのか、総合事業に移行させるのか、判断することになる。必要なサービスが受けられるようにするために、市として次のような対応を行うこと。
    1. 介護保険料が高額になっている最大の原因は、介護保険の創設時に国の負担を2分の1から4分の1に引き下げたことにある。国庫負担を30%に引き上げるよう求めること。当面、国負担を25%とし、調整交付分の5%は別枠とするよう、引き続き国に求めること。また国の制度として保険料、利用料減免制度の創設を国に求めること。

    2. 新たに提案された総合事業は市町村の判断で設置するかどうか決定できることになっている。要支援者の給付抑制につながる総合事業は市として設置しないこと。

    3. 2012年?2014年度(第5期)の介護保険料の改定になるが、厚労省は次期保険料が、現在の平均月額4160円から5200円程度となるとの試算をしめしている。今回の法改定で、都道府県の財政安定化基金を取り崩す規定を設け、市町村の介護給付費準備金の取り崩しとあわせて、保険料の上昇を平均月額5000円程度に抑えるとしているが、年金生活の高齢者にとっては重い負担となる。介護給付費準備基金を取り崩すとともに一般財源を投入し、現行保険料を引き下げること。また、市独自の保険料減免を行なっているが、対象はわずかである。基準を緩和するなど減免を拡充すること。

    4. 低所得者は負担が重いため十分なサービスを利用できない。高い保険料を払いながら、お金がないため必要な介護がうけられないという事態を根本的に見直すことが求められている。市として利用者に対する利用料減免を考えること。

    5. 介護現場の人員・人材不足は深刻である。介護職員の給与を引きあげる「介護職員処遇改善交付金」は2011年度で終了する。関係者から対策の継続・強化が強く求められている。市として国が責任をもって労働条件の改善をおこなうよう要望すること。

    6. 特別養護老人ホームの待機者は2011年3月末時点で2059人となっている。さらに療養病床削減の国の方針により、施設不足がいっそう深刻化する事態が起きてくる。新たな建設があるが待機者解消には程遠い。特別養護老人ホームや地域密着型施設等の増設は前倒しでさらに増設すること。上大市に建設予定の特養については市として責任を持って進めること。

    7. 「地域包括支援センター」は、介護・医療・福祉の連携で地域の全高齢者の生活を総合的に支える拠点である。地域や高齢者には名称がわかりにくいという声がある。わかりやすい「呼称」をつけること。また、地域の全高齢者を掌握、支援できていないのが現状である。市独自で一般財源を投入し、全高齢者に責任を負える体制をつくること。

    8. 不正請求など不適正な運営を行う事業者が少なからず存在している。県とともに十分に、指導監督すること。

  3. 高齢者施策について
    西宮市の特徴としてひとり暮らしや高齢者だけの世帯が増えている。また、介護を必要としない元気な高齢者がたくさんいる。この人たちの社会参加を応援する施策が求められている。次のことに取り組むこと。
    1. 「老人いこいの家」は地域で管理する形で開設されているが、必ずしも有効に活用されていない。あり方について市として検討すること。

    2. 高齢者が外出する時にトイレの有無は大きな問題である。地域で配布するマップ等をつくる際には、コンビニ等のトイレを掲載し情報を広く知らせること。

    3. 高齢者交通助成制度は高齢者の外出を支援し、社会参加の促進と生きがいの向上を図ることを目的として実施しているが、半額助成となっているため高齢者からは使いづらいと言われている。実質全額助成制度に改善すること。

  4. 「地域主権改革」第1次一括法では、障害者自立支援法の国が定めた基準が「従うべき」基準となり、市が改めて条例で決めることになる。障害のある人もない人も、ともに安心して暮らせるまちづくりをすすめるために、市として次のことに取り組むこと。
    1. 施設の設備や面積基準、職員の配置等は現状を下回らないようにすること。

    2. 改正障害者自立支援法は、原則1割の応益負担による利用者負担、報酬の激減による施設運営への圧迫、労働者の条件悪化など基本的な部分はなにも改善されていない。応益負担から応能負担制度としての「総合福祉法」を制定するよう国に求めること。

    3. 市として「障害者権利条例」を制定し、実効あるものとすること。その際には、障害者団体の連合会や協議会など、各障害者団体等の意見も聴きながら取り組みをすすめること。

  5. 総合福祉センターは市の福祉活動において重要な役割を果たしている。施設整備(トイレの温水便座設置、駐車場、駐輪場)の面では一定改善されているが、引き続き、利用者の声をきいて設備改善にとりくむこと。

  6. 福祉タクシー制度は障害のある人や高齢者の外出支援策として有効な施策であり、ますます充実が図られるべきものである。助成額の増額や行き先の拡大など、制度の改善をはかること。

  7. わかば園は施設の老朽化対策と併せ、多様化する障害児の療育ニーズに対応するため、診療所や肢体不自由児、発達障害児等の通園施設、相談窓口機能を併設する「総合療育センター」として整備することになった。センターにふさわしい施設内容となるよう専門家や利用者の声を聞き充実させること。

  8. 生活保護について
    政府は、憲法がかかげる根幹の人権を支える最後のセーフティーネット(安全網)、生活保護制度の重大な改悪をねらっている。今年5月から、厚生労働大臣、同副大臣、同政務官、石川県知事、高知市長、大阪市長、広島県坂町長と限られたメンバーで「生活保護制度に関する国と地方の協議」を行い、8月中に結論を出そうとしている。国民の生きる権利を左右する重大問題なのに、当事者は関与せず、議事録さえ公開しない密室の協議に批判が高まっている。国民の権利として、必要な人が生活保護を利用できるという健全な社会のあり方に逆行している。市として次のことに取り組むこと。
    1. とりわけ重大なのは、働くことができる人は、3年から5年ごとに保護を廃止する事実上の有期性を導入しようとしていること、また、医療費の一部自己負担の導入を検討していることである。国民の権利として、必要な人が生活保護を利用できるという健全な社会のあり方に逆行している。国に対して改悪の撤回を求めること。

    2. 国庫負担額の削減や給付削減攻撃を許さず、老齢加算の復活、生活扶助費、住宅扶助費など保護基準(最低生活費)の引き上げを国に求めること。

    3. 生活保護法では生活に困っている人は誰でも生活保護を申請でき、条件にあっていれば、平等に受けることができることを明記している。この規定や憲法25条の具体化として、より適正な事務を行うこと。

    4. 最近は猛暑が続いており、熱中症で亡くなる人が増えていてエアコンは必需品となっているが、新たに生活保護を受けた人たちはエアコンを買うこともできない。エアコンについては必需品として支給し、夏の冷房や冬の暖房分経費として夏季冬季見舞金を復活すること。また、水道料金の基本料金を免除すること。

    5. 生活保護相談や申請、適用が急増しているが面接相談員やケースワーカーの数が足りない。人員を大幅に増やし相談者の立場にたった親身な相談にのること。また、面接室のスペースが狭すぎるとともに、部屋の数も足りない。市役所全体の配置を見直し、スペースや部屋数を確保すること。

  9. 生活困窮者対策について
    1. 市民が困窮状態に陥った時に活用できる市の制度は、援護資金貸付しかない。この間、厳しくなっている貸付条件を見直すこと。また、生活実態と見合うよう貸付額を増額し、保証人、民生委員の証明は求めないこと。また、自営業者などについては審査が複雑になっており時間がかかるケースが多い。審査を簡素化すること。

    2. 県社協の生活福祉貸付金の貸付についても、条件緩和、手続きの簡素化、貸付までの期間短縮を求めること。

  10. 一人親家庭支援について
    1. 国は、母子寡婦福祉法の改正によって、児童扶養手当を5年間以上受給してきた世帯は、08年からは最大半額を減額されることを定めた。減額対象を「障害や疾病などで就業が困難な事情がないにもかかわらず、就業意欲がみられない者」に限るとしているが事実上減額が凍結されている。「削減対象」を割り出すために証明書の提出や市町村での相談等を求めている。これらについては柔軟に対応すること。あわせて国に「凍結」でなく中止を求めること。

    2. 専門技術取得を支援する母子家庭自立支援給付金事業がある。高等技能訓練促進費については金額等が改善されたが、依然その利用は少ない。周知を図り利用を促進すること。

    3. 母子生活支援施設は、老朽化している。早急に建てかえること。また、母子生活支援施設からの自立を促進するため、市営住宅への優先入居など、何らかの支援策を講じること。

  11. 虐待が全国でも市でも増えている。市は「子育てするなら西宮」を標榜しているが、それにふさわしい施策や施設整備を行うことが求められている。市として以下の点に取り組むこと。
    1. 子どもを取り巻く社会環境が悪化するもとで、子どもたちを市民みんなで育てていくことを目指した「子ども条例」が金沢市などで制定されている。西宮市も「子育てするなら西宮」をキャッチフレーズにしており、早急に「子ども条例」制定を検討すること。

    2. 中核市として市立児童相談所を設置すること。また、適切に即応できるよう子どもセンター(児童相談所)の増設や専門職員の増員を国、県に求めること。

    3. 市では児童・母子支援グループが虐待の窓口になっている。家庭相談員が対応しているが人数が少ない。増員すること。

    4. 「子育て支援の拠点」として児童館、児童センターを位置づけるのなら当然「直営化」すべきであると考える。あわせて、休日開館、偏在の解消、増館についても検討すること。

    5. 学校、保育所、幼稚園などの子どもが通う施設については、施設側との連携を強め虐待等の早期発見をおこなうよう対策を強めること。

    6. 地域での子育て支援を進めるため展開されている子育て総合センターの各種事業が好評である。全市に1ヶ所では不足しているので増やすこと。

  12. 民主党政権は2010年6月、「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を決定し、営利企業を積極的に参入させる方向を打ち出した。入園希望者は自治体ではなく園(事業者)に直接契約し、利用料についても収入による応能負担ではなく、保育時間に応じた応益負担になる。現行制度の市町村が保育を保障する責任を解体し、親の自己責任に変えるものである。社会保障としての公的保育を解体する「子ども・子育て新システム」については国に撤回を求めること。

  13. 保育所の充実と待機児童解消について
    西宮市の8月1日現在の保育所待機児童数は485人になっている。全国的に見ても待機児童は異常ともいえる事態になっており、その解消について民間保育所の新設、分園設置等の対策は講じられているが、待機児童解消に追いついていない。政府は一括法によって、2012年4月から3年間、一部自治体が独自に認可保育所の面積基準を設定することを認める方針を出した。2012年度35市区が対象となりその中に西宮市も含まれている。面積基準を自治体の判断で引き下げれば、乳幼児のつめこみが進んで保育環境が悪化することにつながり、到底認めることはできない。保育に対する公的責任を果たすよう国に求めるとともに、市として以下の項目について実施すること。
    1. 西宮市も面積を緩和する対象市に入っている。すでに定員の弾力運用で市内の保育所はどこもすし詰め状態になっており、子どもたちの保育環境が悪化している。面積基準をさらに引き下げれば、子どもたちの環境がさらに劣悪なことになっていく。市では12月か3月に条例制定が行われるが、少なくとも現状を確保するとともに、むしろ面積基準を引き上げること。

    2. 保育所待機児童解消に向け、民間保育所の新増設や分園の設置等で定員を増やしているが追いついていない。民間任せにせず公立保育所を増やすこと。

    3. 西宮浜には現在、私立保育所が1ヶ所ある。埋立地と言う特殊な事情があることから、西宮浜に早急に認可保育所を新設すること。

    4. 待機児童が解消すれば公立保育所を民間移管する計画になっているが、きっぱりと撤回すること。

    5. 東日本大震災の教訓から、災害時に子どもの命を守ることを最優先にしなければならない。すべての保育所の耐震補強を急ぐこと。

    6. 公立保育所の1歳児クラスの保育士配置基準は、今までどおり5対1を守ること。また、私立保育所についても、現在の6対1から5対1に改善すること。

    7. 虐待や生活荒廃の影響を受けている子どもや、親自身も問題を抱えたケースが増えている。保育士の研修を強め適切に対応できるようにすること。

    8. 自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で、給食調理員の過重負担がある。給食内容をいっそう充実させるために調理員の増員をはかること。また、放射能汚染の対策をとること。

    9. 障害児保育や一時保育をすべての公立保育所で実施すること。

    10. この間、民間保育所への助成金が削減されている。安定した運営ができるように人件費等の助成金を増やすとともに、交付の際の運用については、各保育所の実情に合わせ、柔軟に対応すること。

    11. 株式会社の保育所は、子どもや保護者のことを考えず突然閉園するなど無責任な実態がある。西宮市では株式会社の参入は認めないこと。

    12. 認可保育所を希望しても入所することができず、やむなく無認可保育所を利用せざるを得ない事態となっている。各地でずさんな経営による犠牲者が出ているが、市として適切な指導監督を行なうこと。

    13. 負担能力を超える高い保育料で、滞納も増えている。保育料の引き下げと減免制度の拡充を進めること。

    14. 保育所建設時に、市の対応のまずさで開園が遅れる事例が出ている。地域への説明、地元との合意形成をすみやかにしていくためにも体制を拡充すること。

  14. 家庭保育所や保育ルームについて
    家庭保育所や保育ルームは、産休明け保育を担い、市の保育行政や待機児童対策としても大きな役割を担っている。次のことに取り組むこと。
    1. 多くの家庭保育所は施設を賃貸し、保育士を雇用して運営しているが、市の運営・助成要綱は自宅において家族による保育を前提としたものとなっており実態に合わない。家庭保育所の運営を改善するために要綱を抜本的に見直し、市の責任をはたすこと。

    2. 運営助成費や保育補助費は月ごとの入所人数によって支給されているが、特に4月は入所人数が少なく運営に支障をきたしている。年間を通じて定員分の運営助成費を満額支給すること。

    3. 調理士には補助が出るようになったが、保護者負担になっている食材・ミルクにも助成を行うこと。

    4. 公立保育所の延長保育料は6時?6時半までは月額1500円、6時?7時までは月額3000円となっているが、家庭保育所の時間外保育料は5時半以降30分ごとに350円になり、月額2万1000円にもなる。全額保護者負担になっているので市として助成すること。

    5. 家庭保育所や保育ルームの卒園児を、希望する認可保育所に入所させること。

  15. 学童保育(留守家庭児童育成センター)について
    学童保育所は、異年齢集団の中で遊びと生活を通して子どもの成長発達を保障する、
    放課後の子どもの居場所である。また、指導員には子どもの安全を守り、適切な指導で発達を保証する専門職としての重要な役割がある。
    1. 市は、学童保育所の運営に指定管理者制度を導入し、これまで長きにわたって委託してきた社会福祉協議会を、非公募で指定管理者としてきたが、2008年度から指定管理者を公募している。学童保育所の運営に指定管理者制度や公募はなじまず、少なくとも非公募とすること。

    2. 開所時間の延長と長期休み時の朝の30分延長が行なわれているが、シフト勤務では十分な打合せが出来ないなど、子どもの安全確保に責任がもてなくなっている。人員体制などの拡充をすること。また、延長料金は通常の利用料と比較して高い。保育料と同様に所得に応じた減免措置を講じること。

    3. この間教室不足の学校で待機児童が目立つ。希望する子どもをすべて受け入れられるよう対処すること。

    4. 定員の弾力運用で、子どもたちは施設の中ですし詰め状態である。特に、雨の日は居場所さえない。早急に改善すること。

    5. 2011年3月議会で小松学童父母の会より「小松児童育成センターへの入所を
      希望される児童の柔軟な受け入れの対応と、施設老朽化に伴う施設の建替えに対する陳情書」が出され賛成多数で採択されている。早急に建替えること。

  16. 名塩・生瀬地域に総合的な病院の設置を具体化すること。

  17. 内科、小児科の第1次救急医療をになう応急診療所は、順次診療時間も拡大され、市民の命を守っている。子どもが急増している中、ますますその役割は重要であり、さらに充実を図ること。

  18. 子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンは無料にしている市もある。国の定期接種になるまでは、西宮市でも無料にすること。

  19. 高齢者の死亡原因の比率で高い肺炎の中でも、特に肺炎球菌によるものが多いといわれている。現在、肺炎球菌ワクチンの接種は任意で、費用が6000円?8000円となっている。神戸市では70歳以上、三田市では75歳以上に4000円の助成をしている。国に対して定期接種を求めるとともに、市として当面公費助成制度を創設すること。

  20. 保健所について
    1. 放射能汚染が全国に広がりつつあり、牛肉から放射線セシウムが検出される等市民に不安が出ている。食の安全にかかわる検査体制を強化すること。また、正しい情報を的確に市民に提供すること。

    2. 妊婦健診への公的助成は、市でも14回7万円の助成を実施しているが、なお自己負担が大きい。費用は全額公費負担にすること。

    3. 保健所については、耐震性の観点からも早急な建て替えが求められている。市民の利便性も考慮した場所で早急に建て替えを進めること。

  21. 災害援護資金貸付金の県への償還期限は延長されたが、少額償還も多く、最終償還までには相当期間がかかるものと思われる。国への償還免除要件は「死亡か重度障害で、保証人も返済能力がない場合」となっている。東日本大震災では「10年たっても支払い見込みがない場合」もと償還免除要件が拡大された。国に対し、償還期間の延長と償還免除の適用範囲の拡大等を求めること。