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2012年度当初予算編成に対する申し入れ
2011年08月30日

環境局


  1. 脱原発をめざす取り組みについて
    本年3月11日に発生した東日本大震災は、国難ともいえる未曾有の被害をもたらした。さらに、東京電力福島第1原子力発電所の事故は、被爆国である我が国にとって、取り返しのつかない深刻な事態を広げている。原発事故は「空間的」「時間的」「社会的」に、他のどんな災害にも見られない異質の危険性をもっており、国民は日々、そのことを実感しているところである。一刻も早く事故収束を確実に行い、同時に世界でも有数の地震国、津波国である日本に、もはや原発は共存できないことを認識し、脱原発の立場にたった再生可能なエネルギー政策への転換を進める決断を行うべきである。

    1. 再生可能エネルギーへの転換を促進するために、特に太陽光発電システムを市として学校施設をはじめ、公共施設への大幅な設置計画を策定し実行すること。
      また、民間企業にも積極的導入を働きかけること。その前提として、公共と民間をあわせた発電能力の実態と可能性を調査すること。

    2. 個人住宅用太陽光発電システム設置補助制度の利用が促進されているが、さらに設置を増やすため補助金の増額や、マンションなどにも設置助成を行い、合わせて設置住宅等への固定資産税の減免をはかること。

    3. これまでの電力の使用の見直しが求められる。市としても節電対策に取り組んでいるが、民間事業者や市民にもアピールして、一層の節電取り組みを強化すること。

  2. 地球温暖化抑止の取り組みについて
    人類共通の課題として緊急に取り組むべき地球温暖化で、先進国である日本が国内外で責任を果たしていくためにはIPCC「気候変動に関する政府間パネル」の科学的な要請にこたえた中期削減目標を設定し、確実に実現する総合的な施策実施が強く求められている。2009年12月のCOP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)での「コペンハーゲン合意」にも明記されたように、地球温暖化の被害が取り返しのつかないレベルになるのを避けるには、産業革命前にくらべて2度以内の気温上昇にとどめることがカギであり、温暖化抑制に有効なルールを設定し、それにもとづいて中長期的な取り組みをすすめることが必要である。いまこそ、温室効果ガスの排出量を減らしながら発展する経済社会への転換が求められており、市としてもできることは全て取り組むべきである。
    1. 日本が積極的役割を果たすよう、国に対して、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で30%削減することを中期目標とするよう求めること。

    2. 地球温暖化抑止について本市は、「持続可能な地域づくりECOプラン?西宮市地球温暖化対策地方公共団体実行計画」や「第2次西宮市地球温暖化対策実行計画」等に基づいて取り組んでいるが、脱原発を踏まえた目標や計画に抜本的に改めること。また市内最大の事業者として市が実施状況を公表し、温暖化対策をアピールすることによって、市内の事業者にも計画の策定と実行を求めること。

    3. CO2排出量について、近隣の大規模排出事業所の情報開示は各企業の自主性に委ねられている。この義務付けなど国・県に求めること。

    4. この間取り組まれている庁舎の屋上緑化や緑のカーテンも室温を下げるなどの一定の効果があることから、他の公共施設についても実施すること。また、施設によっては「すだれ」や「よしず」などの設置の効果がある。これらについても、積極的に取り組み、民間企業にも協力を求めること。

    5. 公共交通の利用を促進し、自動車利用を抑制すること。そのために関係部局と協議し、市内のバス路線の改善をはかること。毎月20日のノーマイカーデーについては、実効性を引き上げるために、毎回推進状況を広く職員や市民にもアピールすること。

    6. 店舗の看板や店内照明については、過剰な電光の使用を抑制するよう指導すること。また、市内の自動販売機は基本的に電気照明を消すよう市独自の節電指導を行うこと。

  3. ごみ問題については、大型焼却炉による「何でも燃やす」“焼却中心主義”から脱却し、資源循環型社会へ本格的に移行していかなければならない。分別、リサイクル、ごみを出さないなど、ごみの減量化推進のために、以下のことに取り組むこと。
    1. ごみの発生を設計・生産段階から削減するためには、自治体と住民に負担を押しつける現行制度を、OECDも勧告している「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直すことが必要であり、ひきつづき国に求めること。

    2. 粗大ごみや家電4製品の不法投棄が多い。特に、家電4製品の不法投棄を誘発する「家電リサイクル法」についてリサイクル料金等の製品価格への内部化を義務づけるよう国に求めること。引き続き不法投棄のパトロールを強めること。

    3. 家庭用ゴミ収集について、ゴミ減量化を名目にした市民に負担を強いる有料化は絶対におこなわないこと。

    4. 事業系などのゴミ処理手数料等が有料化され、零細な事業者にとって負担となっている。中小零細業者への軽減措置をとること。また、営利を目的としない介護・老人福祉など通所・通園の施設についても、入所施設と同様、福祉的観点から処理手数料の減免を行うこと。

    5. ゴミ収集の業者委託は、国道2号線以北の地域まで行われており、その業者選定は、指名競争入札になっている。委託を受注したい業者は、少しでも入札価格を安くするために、労働者の人件費を切り下げるダンピング合戦ともなり、結果として、ワーキングプアを生み出している。業務委託契約書で労働関係法令の順守の義務付けがあっても、労働者の労働条件切り下げがないとはいえない。賃金・労働条件を保障する「評価基準」を設けた総合評価型入札制度にすること。

    6. その他プラスチック製容器包装の分別収集については2012年度から試行実施され、2013年度から全市で本格実施の方向である。市民の協力をえて、スムースに早期におこなうこと。また、ビン類の分別収集も早期に実施するとともに、ビンなどのリターナブル化等も促進すること。

    7. にこやか収集について、条件を緩和し、対象を拡大すること。

    8. 燃やさないゴミ等の収集に利用しているコンテナの軽量化をさらに進めること。

    9. スーパーのレジ袋減量化に取り組んでいるが、引き続き、参加事業者を増やすこと。また参加事業者の中には、これまで同様にレジ袋を配布しており、効果が期待できない状況もある。市がリーダーシップを発揮し、本来の目的に沿った指導を強化すること。さらに「マイバック運動」も促進すること。

    10. ごみの焼却、埋め立て処分をしないという点で、コンポスト化の推進も必要である。現在実施している、生ごみ処理機への購入補助を引き続き推進すること。

  4. 4、有害物質対策について
    1. アスベストについては、対策法の認定基準を緩和するなど、全ての被害者・家族により充実した補償と救済を行うよう、国に要望すること。また、阪神甲子園駅舎整備が本格的に進められる。乗降客が多い駅のため、解体の場合には調査のうえ、必要があれば飛散防止策をより強化すること。

    2. PCB、ダイオキシンなど有害性化学物質に加え、放射能汚染による健康被害と環境汚染、植物汚染が懸念される。西宮でもマンションに使用されていたPCB廃棄物の処理事故、化学物質による土壌汚染、放射性セシウム汚染の肉牛などの問題が起きている。環境被害調査や健康調査、情報公開、被害補償など、具体的な対策をとること。また、民間マンションのPCB廃棄物については、国に処理費用助成策を求めること。それができるまでは、市として助成すること。

  5. 大阪空港について、西宮市は、「航空機騒音防止対策、環境整備の促進等をはかること」を目的としていた11市協(大阪国際空港周辺都市対策協議会)に属し環境・安全対策を求めてきた。しかし、関西空港との経営統合により、国内長距離便の大阪空港への復帰など、11市協は利用者利便の確保や空港周辺地域の活性化等を強調する中で、ジェット機の増便を求めるなど実態としても変質している。11市協を脱退し、航空の安全、騒音問題、環境整備等について、引き続き国に求めること。また、現在大阪府や兵庫県が環境対策や空港の維持管理費用の一部を負担しているが、市に求められた場合は拒否すること。基本的に、大阪空港は「欠陥空港」であり。安全面からも早期の撤去を求めること。

  6. 国道176号線は、依然として交通量が多く、渋滞に伴う環境悪化も懸念されている。ただちに環境対策をとること。また、全市的に測定局を増やし、観測態勢も一層強化すること。

  7. 7、快適な市民生活を確保するために、以下のことを実施すること。
    1. 24時間営業の店舗や焼肉店など、臭気、騒音、光などの苦情に応え、指導できるように「快適な市民生活の確保に関する条例」を抜本的に改正し、環境面での市民の要望、相談にこたえられるようにすること。

    2. 花火などの騒音や生活騒音におけるトラブルが増えている。特に花火については、条例に基づき、パトロールを実施しているが、なお市民からの苦情が後を絶たない。特に香櫨園浜や甲子園浜などでの、夜間の花火禁止を条例に盛り込むこと。

  8. 依然として産業廃棄物の不法投棄があとを絶たない。引き続き監視カメラの設置や徹底した立ち入り調査が必要であり、直ちに取り組むこと。不法投棄のルートと関与者を解明し、違反者はもちろん、排出者の責任で撤去させること。

  9. 今回のセシウム汚染肉牛問題でも明らかになった通り、食肉センターで解体された牛肉は、そのほとんどが市外に流通していた。市民にとって何のメリットもない。ところが市は2011年度から引き続き同じ事業者を指定管理者に選定し、これからも際限なく市民の税金を投入する道を進めている。2004年の「食肉センター検討委員会の提言」どおり、完全民営化を行うこと。できなければ、直ちに施設を閉鎖すること。

  10. 阪神間で唯一残された自然海浜である甲子園浜、香櫨園浜の浜辺は、鳥獣特別保護区もあり、野鳥や水生生物の観察、市民の貴重な憩いの場ともなっている。県と共に、干潟、自然浜、海の再生をはかること。

  11. 公園整備について
    1. この間、公園整備はほとんど進んでいない。街なかに公園を新たに確保すること。また、公園を整備あるいは改修するときは、利用者の意見を取り入れること。

    2. 西宮浜北護岸と香櫨園浜を総合公園として一体整備する計画は、2015年度以降の予定である。地域住民の声も反映させ、早急にすすめること。暫定開設されたスケートボード場は本格整備し、ナイター設備も設置すること。

    3. 地域住民の要望にこたえ、早急に堀切町市営住宅跡地全体を公園整備すること。

  12. 公園の維持管理について
    1. 緑の確保、環境保全、市民の憩いの場、また緊急避難所として公園は重要な役割を果たしている。市民参加を大切にしながらも、公園の維持管理についての予算を大幅に増額し、最終的には管理者である市が責任を持って管理すること。

    2. 全市的に公園の傷みがすすんでいる。老朽化した遊具やベンチ等でのケガを防止するため、おもいきって予算を増やし、一斉改修を行うなど、公園の再整備をすすめること。特に、撤去した遊具の更新を早急に行うこと。また、停止したままの公園の時計が見受けられるので、点検整備のこと。

    3. トイレについても順次改修し、要望のあるところは設置すること。その際、身障者用のトイレも整備すること。また、清掃回数を増やすなど「きれいなトイレ」をめざすこと。特に瓦林公園など「汚くて、怖い」と、利用をためらう人が多い。安心して使えるようにすること。

    4. 滑り台やブランコについては、雨で水溜りができないよう定期的に対応すること。また、子どもが増えていることから、安全で衛生的な砂場が確保すること。