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野口あけみの一般質問
2011年09月09日

原発事故による食品汚染について


 東京電力福島第一原子力発電所は、3月11日の大地震と津波によって冷却機能を失い、水素爆発を起こして、東北・関東地方の広範囲にわたって放射能汚染を引き起こしました。周辺住民は放射線にさらされ、指定区域外に避難した人は、経済産業省が把握しているだけで11万3千人に上ります。自主避難者の方たちは正確にその数さえ把握もされず、これらのみなさんは、いつ自宅に帰れるのか、めども立っていません。
しかも事故は収束しておらず、放射性物質の放出は今後も続く可能性があるといわれています。ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなど、放射性物質の名前にもだんだんと聞き慣れてきているところですが、特に厄介といわれるセシウムは、放射能が半分になる半減期が30年と長く、空気中に降下し雨などとともに地上に落ち、水や土壌を汚染し動植物に取り込まれ、食べ物を通して私たちの体内に蓄積されていきます。
先ごろ大変ショッキングな報道がありました。政府の原子力災害対策本部が福島県の子ども約1150人を対象に、ヨウ素の作用による甲状腺の内部被ばくを調査し、45%で被ばくが確認されたと報告しました。長期間、低線量の放射線を受けた場合の影響については、未解明の部分が多く、今後注意深く長期的に見守る必要があるとされています。福島県では、原発周辺住民15万人以上を対象に、今後30年間、健康調査をすることを決めています。
福島原発事故以来、これまで体験したことのない異常事態に日本は置かれています。時間的、空間的、社会的にこれまでの事故とは全く違う異質な危険にさらされているのです。
さて、放射性物質が農作物を汚染し、農家のみなさんが丹精込めた多くの作物が出荷停止となりました。また、市場に出ていた牛肉から、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された事件は、西宮もその舞台となり、多くの市民に衝撃を与えました。汚染牛肉は沖縄を除く46都道府県に流通しています。原発から80キロも離れたところの稲わらを餌にしていたわけですが、国の放射線測定範囲のあいまいさ、指示の不徹底が問題になりました。また市場への流出は、検査体制の不十分さも指摘されています。
事故後、政府が暫定規制値を決め、官房長官がテレビで「規制値以上のものは流通していないので安心してください」と呼びかけましたが、実際には、規制値を超えたホウレン草やセシウム汚染牛肉が市場に出回ってしまいました。日本中の人が、食に関して、どこまで安全か、何を信じていいのかと言い知れぬ不安をいだいています。
一方で、汚染されていない農水産物に対してまで過敏に反応し、いわゆる風評被害で被災地の復興などを遅らせることがあってはなりません。
放射線防護の知識が必要になる世の中になってしまった、本当に厄介なことですが、国民みずからが正しい情報をつかみ、判断する力を求められています。そのためにも行政が正しい情報を速やかに提供し、安全に対する不安を取り除く具体的な対策をとる必要があります。西宮では食に対する情報、対策が特に求められています。

【質問】

  1. 6月議会でわが党杉山議員が原発問題についてとりあげました。それ以降に、九州電力や安全保安院などによる「やらせ」事件や、セシウム汚染牛肉問題が発覚し、原発事故の重大な危険は、日を追ってますます顕著になってきています。「原発依存はやめよ」、「原発からの撤退を」という国民の声は7割を超えました。6月議会で市長は、「もう原発はだめだ。やめなあかん」と正直に思われませんか」との杉山議員の質問に、「現時点で脱原発の判断は時期尚早」と答弁されました。2か月たった今日の見解をお聞きします。

  2. 原発事故以来、国は、それまで持っていなかった放射性物質の暫定規制値を設定しましたが、その他、食品の安全に係る国の措置について全体像、概略を示してください。その上で、現在流通している食品について、「安全性」は確保されていると考えるのか、お答えください。

  3. 国民は食の安全について大変な不安を感じています。この不安を払しょくしていくために、行政には何が求められると考えますか。

  4. このたび市は補正予算で簡易検査機器を購入するが、機器はどのようなものか、どのように活用していくか。足りなければ専門職員を増やすなど、体制の充実も必要だと考えるがどうか。

  5. とりわけ細胞が未分化で、細胞分裂が盛んな子どもは大人より放射線の影響を受けやすいとされています。子どもたちの学校給食、保育所給食等の食品の安全確保はどうなっているか。