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野口あけみの反対討論
2013年03月25日

2013年度西宮市一般会計予算および2013年度西宮市食肉センター特別会計予算の2件について


 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第249号 2013年度西宮市一般会計予算および、議案第251号 2013年度西宮市食肉センター特別会計予算の2件について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。以下、討論をおこないます。

 安倍政権は、3月15日、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加を表明しました。首相は「守るべきは守る」「交渉で国益追求する」などと言っていますが、TPPは例外なき関税撤廃が前提であり、また、新規参入国には対等な交渉権もなく、首相の言動は、「国民を欺く偽り」と指摘せざるを得ません。TPPに参加すれば、これまで聖域とされてきたコメ、小麦などの農林水産品を含む940品目も関税撤廃を求められることになり、政府試算で農業生産額が3兆円も減るなど甚大な被害が生まれます。国民皆保険制度や食の安全・安心などの非関税分野でも「アメリカのルールがそのまま押し付けられる」ことになります。このTPP交渉参加には、44道府県議会、2,144市町村議会で反対、慎重にとの意見書・決議が可決されています。この声を全く無視した安倍首相のTPP交渉参加表明です。
 また、安倍内閣は22日、アメリカ海兵隊普天間基地の移設先としている名護市辺野古沿岸部の埋め立て申請を強行しました。これも、沖縄県内41全市町村の首長・議長らはじめ、オール沖縄の反対を踏みにじった暴挙です。
 さらに政府は、国家公務員の平均7・8%賃下げに準じて、地方公務員の賃下げを要請する閣議決定をおこない、賃金削減相当分を地方交付税で削減することを含む新年度予算案を、国会に提出しています。ここには労働者全体の賃金抑制が狙われているなど問題点がいくつもありますが、特に言わなければならないのは、地方自治の原則を踏みにじるものであるということです。地方公務員の賃金・労働条件は自治体での労使交渉を踏まえ、議会の議決を経て決めることが法律にも明記されています。政府が賃下げすることを前提に、相当額を地方交付税から削減することは、事実上の「強要」となり、明らかな地方自治への介入です。またこれは、国の地方に対する財源確保の責任を投げ出すものでもあります。知事会や市長会など地方6団体も「地方交付税を国の政策目的を達成するための手段として用いることは、地方の固有財源という性格を否定するものであり、断じて行うべきではない」と批判しています。
 このように国民や地方の声、地方自治の精神をも踏みにじる国の言動に対しては、唯々諾々と屈するのではなく、市としていうべきことははっきりと言っていただいて、地方自治の本旨に立った、市民の命とくらしを守る姿勢を貫いていただきたいと思います。
 さて、新年度予算案ですが、3月10日付市政ニュース1面の見出しにこうあります。「平成25年度行政方針 河野市長が表明 将来見据え踏み出す年」なかなか意味深長なうまい見出しです。代表質問でも指摘したとおり、新年度予算にこそまだ本格的には登場していませんが、将来、それも多くが、4次総内、この5〜6年の間に踏み出そうとする大型公共事業の足掛かりが目白押しだというのが、本予算案の大きな特徴のひとつです。
 アサヒビール工場跡地での公共施設整備、教育委員会庁舎を候補地とする総合防災センター整備、これに付随しての教育委員会庁舎建て替え、さらにはJR西宮駅北旧国鉄用地と旧食肉センター跡地、芦原小学校跡地の有効活用を検討するとしていますが、検討結果次第ではこれも大きな事業となる可能性を秘めています。
 過大な公共事業がもたらす「つけ」については、市は1度ならず経験しています。土地開発公社による事業予定のないままの土地買収=いわゆる塩漬け土地問題、JR西宮駅前再開発のいわゆるフレンテ問題、阪神淡路大震災の際の大型事業による財政危機、いずれも、破たんの「つけ」は、結局、市民に回され、負担増、サービス切り捨てとなりました。ここからの教訓に学び、今後の公共事業=ハード建設については、身の丈に合った事業とし、慎重に時間をかけてとり組むよう求めたところですが、市当局にその姿勢は見られず、予算案に反対するものです。また、公共の仕事は、ハード整備で終わるのではなく、そこで提供される内容、質=ソフトが問われます。ここに必要な財源がきちんと配分されるよう、求めます。
 まちづくりの問題です。文教住宅都市宣言50周年の今年は、この宣言にふさわしいまちづくりというものを、市あげて考える、いい機会にすべきと考えます。文教住宅都市宣言には、「ここに、西宮市は30万市民のひとしく望むところにしたがい、風光の維持、環境の保全・浄化、文教の振興を図り、当市にふさわしい都市開発を行い、もって市民の福祉を増進するため」とあります。50年たって、人口は49万人へと膨れ上がりましたが、今、当市にふさわしい都市開発とは、風光や環境を守るための有効な「開発規制」であると考えます。現在の「教育環境保全の要綱」などの抜本見直し、強化を求めてきたところですが、これにも市当局は消極的であり、その政治姿勢に反対をするものです。新年度は、アサヒビール跡地全体のまちづくりについて検討作業に入ることになります。地区計画の「再開発等促進区」で、緩和と規制をきめ細かく行うとのことですが、西宮の中心地にふさわしいものとなるよう、市が主導することを求めておきます。

以下、具体的に、反対か所、問題点、要望を述べます。

 1点目、URから借り上げた市営住宅への対応についてです。
 宝塚、伊丹両市が継続入居の方針を示し、兵庫県や神戸市が移転困難者への対応を検討している中で、西宮市は唯一、全員の転居を求める方針に固執しています。新年度予算案には、50世帯分の移転補償費を計上しています。
 この背景には、市営住宅の管理戸数を10年間で9600戸から8600戸に、1000戸削減する計画があります。新年度、南部地域の市営住宅統廃合が準備され、甲子園九番町住宅への移転168世帯分には、南甲子園3丁目、津門大塚町など廃止予定の市営住宅から移転するものが含まれています。
 利便性の高い南部市営住宅を廃止し、また、URへ返還すれば、いまでも「市営住宅になかなか当たらない」住宅に困窮する市民から、市営住宅入居の希望を奪うことになります。
 日本共産党西宮市会議員団は、市営住宅の統廃合や借り上げ住宅の返還はただちに撤回することを求めるものです。

 2点目、両度町の市有地売却についてです。日本共産党は、昨年12月議会での討論に続き、代表質問でも不明朗な経過に懸念を表明してきたものです。予算分科会での質疑を通じても、その懸念はぬぐえませんでした。
 高木小学校区での新設校整備のための土地取得の代替地として、一等地である両度町の市有地を、通常の入札ではなく随意契約で三井住友銀行に売却するものですが、随意契約にすることをどこで決めたかは、管財課でもなく、両副市長や局長らで構成する公共用地対策協議会でもなく、教育委員会と副市長が協議決定したという答弁でした。市有地を管理する管財課があずかり知らぬというのもおかしな話です。ちなみに、北口周辺の市有地は通常の入札であれば最低売却価格の1〜2割増し、倍率も多いところでは10倍を超えるとのことでした。また、この間の教育委員会、総務局の説明は、新設校用地の取得を決めたのちに、相手から代替地の提供を求められたというものでしたが、一般的には、土地取得とその代替地の話は同時進行、セットで行われるべきでしょう。ここにも不自然さを感じるものです。今後、市有地売買などに関して今回のような不明朗さが残るようなことがないよう強く要望しておきます。   
 なお、この際関連して、新設校の校区については周辺校の過密解消なども十分視野に入れ検討すること、市内に多数存在する他の過大規模校の諸課題解決も求めておきます。

 3点目は、指定管理者モニタリング制度の運用についてです。官から民への流れが加速されてきた結果、市事業の多くが、委託や指定管理者制度に委ねられている実態があります。しかし、どこまでいってもサービス提供の最終責任は市にあり、委託事業者や指定管理者の業務について、募集要項や業務仕様書、協定書、事業計画書などの実施基準通りサービスが提供されているか、市が検証し、評価・公表することは当然のことです。新年度からの指定管理者モニタリング制度が厳正厳格に実施されることを求めます。また、このモニタリング制度の運用で、従事する労働者の労働条件の確保を図っていくともされていますが、最低賃金ぎりぎりの賃金などはこの制度では改善できず、業務委託の従事者の労働条件改善と合わせて、公契約条例制定に踏み出すべきということを申し上げます。

 4点目、保育ルームについてです。 保育ルームは、児童の保育に熱意のある人が、自宅を開放し、保育に欠ける児童を家庭的な雰囲気の中で保育する児童福祉法第24条に基づいた施設です。市では、待機児童対策のために2001年度より設置され、家庭的保育事業の運営・助成要綱の規定に基づいて運営されています。
 市長は今年4月、保育所待機児童ゼロを目指し、24か所の保育ルームを新設しますが、自宅開放は1件もなく、市有地や民間施設を借り上げ、定員15人〜30人の保育ルームを設置するなど大規模化しています。
 現在の助成額は定員5人で月額427,300円ですが、保育者も保育補助者にも労災加入や交通費支給はありません。保育ルーム代表者は、運営基本助成費248,800円から教材費、事務費、通信費、消耗品費をまかなったうえに、支給されている保育補助助成費、施設整備費、施設維持費では足りない分を支払います。その残りが給与となりますが、月額10万円未満という低賃金です。このような保育士の犠牲の上に成り立っている運営については直ちに改善すべきです。
 4月には保育ルームは全市で50か所になり250人の子どもたちを保育することになります。助成金増額を含め、要綱を実態に合ったものに改めるとともに、保育ルームから認可保育所に優先的に入所できる制度についても早急に検討するよう要望します。

 5点目、公立幼稚園については、市内を13の小ブロックに分け、原則として1ブロックに1公立幼稚園にするという「中間報告」が出されていますが、13ブロックとする根拠、わけ方は人口規模や開発状況などからも、まったく不明確です。いま必要なことは、幼児教育の拠点としての公立幼稚園の存在意義を発揮することです。私立幼稚園と同じように、3歳児保育や預かり保育を公立幼稚園でも実施してほしいという市民の声は強く、包括外部監査でも「幼稚園全体の運営の見直しが必要」との指摘もあり、ただちに取り組むべきです。

 6点目は、市立西宮養護学校についてです。
 新年度は市立西宮養護学校に15名が新たに入学し、今年度に比べ9名増の70名となります。そのほとんどの子どもたちは自力歩行が困難で、3分の1の児童生徒は医療ケアを必要としています。 
 安定したマンパワーが最も求められるなかで、必要な介助員増を臨時職員で対応したり、送迎バスを新たに2台も業務委託するなど、安上がりな対応となっていることは問題です。介助については正規職員の増をはかり、送迎バスの民間委託を直営に戻すなど、見直しを求めます。

 7点目、市立中央病院の移転について。
 市立中央病院の移転新築に際しては、公立病院として市民の期待が最も大きい救急医療の充実、とりわけ小児救急について365日24時間・2次救急を実施する構えが求められます。また、池田町にある応急診療所については、新設する病院に移転することも含め、西宮市医師会と協議を行うことも求めておきます。

 最後に、食肉センター特別会計予算です。食肉センターは、毎年、多額の一般会計からの繰り入れを行いながら、市民には何らメリットのない事業であります。新年度は使用料収入1億2250万円に対し、支出は3億4600万円で、その差額はすべて一般財源でまかなわなくてはなりません。設置から四半世紀経過した食肉センターは、老朽化が進み、新年度は冷蔵設備改修や外壁改修などの費用は、8300万円もの多額にのぼっています。今後はセンターそのものの改築も想定され、市財政への負担が大きくのしかかってくることは、質疑の中でも明らかになったところであります。1日も早く検討委員会の提言どおり、完全民営化するよう強く求めます。

 以上、日本共産党西宮市会議員団の反対討論とします。