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上田さち子の一般質問
2011年12月09日

国民健康保険の一部負担金(窓口支払い)減免制度の活用について


2010年度の西宮市国民健康保険事業報告によりますと、加入世帯数は6万5025世帯、被保険者数は10万8762人で、その所得別構成は、所得なし27.7%を含め、200万円以下の世帯数は81.1%、昨年比では1.2%の増となり、貧困層の増加が気がかりな事態となっています。8月に開催された国保運営協議会においても当局から「長引く景気の低迷等により、被保険者の所得は伸び悩み、保険料負担能力が低下している」と説明がありました。

私は2年前の9月議会一般質問で、病気やけがで医療機関にかかった際、窓口で支払う医療費の3割に及ぶ「一部負担金」が払えず、治療をやめてしまう事態が増えていることから、この減免制度の積極的な活用策を求めました。

西宮市は昭和58年7月より、同制度の実施を要綱で規定し、平成14年度からの9年間で99件、減免額は363万8000円の活用実績にとどまり、今年度は11月末現在ではゼロ件と、残念ながら、同制度を必要とする市民のみなさんに活用されていない状況であります。

日本共産党市議団は先日広島市を視察し、同制度が年間2000件以上も活用されている実態を学んできました。法律に基づく同じ制度にもかかわらず、申請要件で西宮と相違する点がありました。 (1)「資産・資金などすべて活用しても医療費の支払いが困難である場合」とする西宮市に対し、広島市は持ち家でも、さらに生活保護基準額の6倍までの預貯金は収入認定せず申請が可能であること (2)3ヶ月以内に傷病が完治・治癒見込みが条件である西宮市に対し、広島市は完治・治癒見込みは全く問わないということなどでした。具体的に西宮の実態を紹介しますと、保険料決定通知とともに送付されるパンフレット、保険証の切り替え時に送付される小冊子、市政ニュースの国保特集号等に、共通して次の通りの記述があります。「災害などの特別な事情で、一時的に生活が困窮し、医療機関への一部負担金の支払いが困難な方について、3ヶ月以内に治療・完治できる傷病であれば、一部負担金の減免・猶予が受けられます」。あくまでも「3ヶ月以内の治療完治」が条件になっていることが浮き彫りです。あらためて西宮市の要綱を見てみますと、「療養見込期間が3ヶ月以内である場合」という記述で、決して治療完治が申請要件にはなっていないのです。どこで運用基準が変わってしまったのかと疑問をもちました。

そもそも国保を運営する市町村は、医療機関窓口での3割の支払いが困難な被保険者に対し、その費用を減免できることは、国民健康保険法第44条によって定められています。厚労省は、日本共産党の小池参院議員(当時)の質問を受け、2010年度より同制度を実施する市町村への財政支援を行うとし、「特別調整交付金」を使って、減免分の半分程度を国が手当てすることにもなりました。このことを機に、これまで制度がなかった自治体も、制度の創設へと動きはじめています。

<質問>
  1. 2009年9月議会の一般質問以降、医療機関と市民への周知徹底の取り組みはどうか
  2. せっかくある一部負担金減免制度が活用されていない理由についてです。年間2000件という広島市と比べると、西宮市では資産等をすべて活用してから、しかも3ヶ月以内に治療・完治できる傷病であることなどが条件となっていることが、活用されない原因ではないかと思うのですが、広島市との比較で市はどのように分析しているか
  3. 西宮市の要綱では「療養見込み期間が3か月以内である場合」としており、パンフレット等で市民に知らせるときに用いている「完治・治癒」の言葉がありません。いつからこういう運用や取扱いになったのでしょうか。要綱に反するのではないでしょうか。