HOMEへ
まつお正秀の一般質問
2011年12月13日

公契約条例制定について


ちょうど5年前の2006年、NHKでワーキングプアという特集番組が連続して放映されました。シリーズの第二弾でキャスターが、いままでにない大反響だったことから第二回目を製作したと語っていました。その後、これもNHKですが2008年4月7日放映のクローズアップ現代では「官から民へ 揺れる委託の現場」と題して、自治体の仕事場で官製ワーキングプアが広がっていることも取り上げられました。この時にアメリカで取り組まれている「リビングウェイジ」運動、いわゆる生活できる賃金条例運動のことを私自身初めて知りましたが、アメリカではこの条例を制定している自治体がいまでは150を超えているそうです。

一連のテレビ報道の中で取り上げられた貧困に陥っていくケースは、病気、家族の介護、離婚、無年金などワーキングプアになっていく要因としては様々でしたが、共通しているのは自助努力では解決できない問題だということでした。派遣労働の拡大と民営化、民間委託などによる不安定雇用や低賃金で働く人たちが増える中で、特に税金で公共事業を行う地方自治体が自らワーキングプアを作ることがあってはならないと、尼崎市で公契約条例を制定しようという運動が高まりました。残念ながら議会では僅差で否決されましたが、一昨年に千葉県野田市で、昨年からは神奈川県川崎市で条例が制定され、すでに両市で施行されています。野田市の市長は本来国がやるべきことだがそれができていないからやるんだといって先んじて制定し、全国の自治体にその資料まで送付してみんなやりましょうと呼びかけられました。日本共産党市会議員団も自治体は最低賃金さえ守っていれば何も言いませんよということでなく、まず最低賃金を上回る金額で仕事をしてもらうことが地域おこしになり、地元の業者の受注が増え、地域の活性化になる公契約条例を西宮市でも制定すべきだと、両市と同じ立場から本会議での一般質問や代表質問、委員会などでほぼ毎議会ごとに取り上げてきているところです。今では他の会派の人たちも取り上げられていますし、11月に行われた総務常任委員会の視察では川崎市の公契約条例を学んできたと聞いているところです。

また、西宮市でも2005年に指定管理者制度が導入され、様々な分野で指定管理者の導入が拡大されてきました。かねてからわが党は「安かろう悪かろうになりかねない」と繰り返しその問題点も指摘をしてきたところですが、昨年12月には指定管理者制度における総務省通知がだされ、指定管理者の労働法令の遵守はもとより、指定管理者の選定にあたっても労働法令の遵守や雇用・労働条件の適切な配慮がされているかを考慮するよう求めています。これは指定管理者制度において、西宮市のみならず、全国で官製ワーキングプアが生み出されていることの証明にほかなりません。

先日、西宮市の自転車駐輪場管理の指定管理者であるサイカパーキングで働いている人たちで構成される労働組合が、議会の各会派に懇談の申し入れがされ、11月4日に日本共産党議員団からは私と野口議員が対応いたしました。西宮市の駐輪場管理業務については、指定管理者変更によって株式会社ミディからサイカパーキングに変わりました。雇用は市の働きかけもあってそのまま守られたものの、時給は下がり、雇用時間や日数が減らされたために収入が激減すると共に、社会保険から国民健康保険に変わった為にその負担が重くのしかかっている。まさに官製ワーキングプアがつくられているので何とか改善できないかということが申し入れの中心点でした。

<質問>
賃金のピンハネを許さず、地元業者を育成して地域の活性化のためにも公契約条例を早急に制定すべきと思います。プロジェクトチームの任期も来年3月と迫った中で、西宮市は公契約条例を制定すると、この場ではっきりと明言すべきと思いますがいかがでしょうか。

また、指定管理者制度などにおいて、賃金をはじめ労働条件の切り下げによって、結果的に働く人たちの生活水準の低下を招くことにつながっている現状があります。市としてこうしたことへの取組みと、今後の改善の方向性についてお聞かせ下さい。