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野口あけみの一般質問
2012年03月05日

環境局の事務分掌に「エネルギー政策」を加えることについて


 東日本大震災と福島原発事故から11日で丸1年になります。この短時日で原発からの撤退は国民多数の声となっています。わが党杉山議員の代表質問で西宮内外の「原発ゼロ」への動きを紹介し、市長に「原発をなくして自然エネルギーへ転換する」という意思表示を求めましたが、市長は、「将来的に条件があれば原発ゼロは可能であるが、現段階では困難」というにとどまりました。 
しかし、「原発ゼロ」に踏み込めないまでも、自然エネルギー(再生可能エネルギー)の導入を進めていくことには異論はないところだと思います。その上に立っての判断だと思われますが、市長は12月議会に環境局の事務分掌に「エネルギー政策」を加えることを提案、議会は全会一致で採択しました。
さて、市では今から5年前の2007年2月に「西宮市地域新エネルギービジョン」を策定しています。これは、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料を使用することによって排出される温室効果ガスが、地球温暖化を引き起こす原因になっているとして、「省エネルギー」のとりくみとともに、化石燃料に替わる「新エネルギー」導入の必要性が高まっているとしたうえで、地域産業の活性化も併せてめざし、市内に存在する利用可能な新エネルギーの調査と、導入方策を検討した結果をまとめたものです。
 専門家の力も借りての試算では、市内の新エネルギーの利用可能量は年間約123万ギガジュール、聞きなれない単位ですが、これは市内約7分の1、14%の世帯21000世帯が年間で使用するエネルギー量相当とのこと。この可能性の半分は太陽エネルギー(太陽光発電)、約4割は廃棄物エネルギー(ゴミの焼却処分の際のエネルギー)が占めるとしています。この可能量の算定条件は、太陽エネルギーにおいては、当時の市内1戸建て世帯、約59,000世帯の約10%に3キロワットのシステムを導入し、なおかつ、市内の学校園(公立私立幼稚園から大学まで)180か所すべてに20キロワットのシステムを導入するというものです。これは目標値ではなく、あくまでも「可能性」であり、大変大きな規模、数値となっています。
 太陽光発電は市民の認知度も高く、導入可能性は高いと評価され、太陽光発電設置への補助制度をもうけ、促進に力を入れているところですが、このビジョンが策定されてから現在までで、戸建て住宅で太陽光発電を取り入れている世帯は、推計で約1500世帯、学校園では夙川小学校に40キロワット規模のものが2011年に導入されているものの、5小学校に3キロワットが、その他6公共施設に0.3?10キロワットのものが導入されているのみです。可能性と比較しても、まだまだ緒に就いたともいえないのが実態ですし、ビジョンの中で定めた目標も本当にささやかな志の低いものとなっています。
 また、このビジョンでは長期的なエネルギー供給の見通しを示していますが、原子力については「安全確保を大前提に原子力発電所10?13基の増設により2030年度には大幅な伸びが見込める」と記述しています。この前提、見通しが、かつてない最悪の原発事故の発生により、崩れているのです。
この5年間で新エネルギーをめぐる状況は大きく変化、発展しています。新しい技術の開発や、自治体ごとの希望ある取り組みが広がっています。西宮でも引き続き省エネルギーの取り組みとともに、新エネルギービジョンの見直し、または新たな計画や目標の策定と実行、エコプランのすみやかな実行などのとりくみが、新しく設置される仮称「エネルギー政策課」を中心に進められることが強く求められています。
 
そこで質問です。
4月から、環境局の事務分掌に第9次エネルギー政策が加わることになりました。先ほども申し上げたように原発事故を受けての判断と受け止めており、また「課」を創設してとりくむものと思われますが、ここにいたった市長の決意と、この課が目指すもの、所管内容、特に新エネルギービジョンやエコプランの位置づけと、体制などについてお答えください。