ただ今上程中の予算案のうち、議案第83号2012年度西宮市一般会計予算、議案第85号2012年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第90号2012年度西宮市介護保険特別会計予算、および議案第91号2012年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、以上4件について、日本共産党西宮市会議員団は反対をします。
以下、理由を申し上げます
1997年の消費税5%への増税と、小泉構造改革に代表される国民生活切り捨て、大企業、大資産家優遇の政治が長期に続けられてきたもとで、国民の暮らし、日本の経済、国・地方の財政は、悪化の一途をたどっています。古い自民党政治に決別をした国民は民主党政権を選択したものの、政権交代からわずか2年余りで、当の民主党は、自民党政治へもどり、いまや民・自・公の3党合意を国会の上に置き、消費税の10%への増税、社会保障の切り下げがすすめられようとしています。いっそうの悪政がおしすすめられ、国民との矛盾は広がるばかりです。東日本大震災、原発事故から1年を経験し、国民本位の政治を求める声は強まっています。
国が一層の悪政を行うとき、その防波堤になるのが、地方自治体であり、その役割は重大です。一緒になって悪政を強いるのか、それとも地方自治の本旨に立って、市民のいのちとくらしをまもるのか、地方政治に強く問われるものです。
その観点からみて、行政方針、並びに新年度予算案をみると、耐震化をはじめ、津波避難施設の設置、小学校の建て替えなど、防災の取り組み、国民健康保険料の引き下げに10億円の繰り入れをはじめ、福祉施策の拡充、住宅リフォーム助成の創設など、市民生活を支える施策がとりくまれるなど、一定の評価をするものです。
しかし、1000億円を超える一般財源と160億円を超える基金を有する西宮市として、新年度の予算案は、市民の願いに応えるものとなっていません。
具体的に、反対箇所、問題点を指摘します。
1、 子育て世代を中心とする負担増についてです。
「子育てするなら西宮」と標榜する西宮市は、子育て支援という点では年々、施策の充実が図られており、その努力は一定、私どもも、評価するものです。
しかし、新年度は、子ども手当の縮減、年少扶養控除廃止による増税と、子育て世帯への給付の削減、負担増が押し付けられます。
そのような状況で、保育所保育料は、所得の最高階層のみとはいえ、新年度も値上げとなっています。また、医療費助成では、乳幼児・こども、障害者医療で所得制限を強化し、約4000人を対象から外す措置を取りました。議案第66号の討論で述べたとおりです。
2、開発に対する姿勢についてです。
代表質問で、阪神大震災の際の過大な開発により財政危機を引き起こした教訓を肝に銘じるべきだと申し上げました。財政規模を超えるような開発には踏み出すべきではありません。
ところが、アサヒビール工場跡地の公共施設整備構想で、開発優先の姿勢が、また表れ始めています。特に、南北道路整備については、「将来のまちづくりに禍根を残す」とまで言って、なにがなんでもやるという姿勢です。将来を含め、めどのたたない事業といえます。
その他、阪急武庫川駅整備や防災センターなど、不要、あるいは不急など、実施については見極めるべき事業が、目白押しとなってきました。市としての、自制を求めるものです。
3、教育施設に係る問題です。
学校の空調施設、いわゆるエアコン整備について、3月議会当初、中学校のみの整備として、小学校は先送りとされました。耐震化の終わったところから整備するという点は、評価することはできますが、小学校の先送りについては、「公平性のため一斉導入」という教育委員会の方針からは、きわめて大きな後退だと言わなければなりません。
代表質問の中で、小学校の整備先送りに、財政状況も含めて、全く根拠がないことが明らかとなり、後日、中学校に続いて小学校も2015年度から整備するよう最大限努力する旨の発言がありました。しかし、それができるのであれば、少なくとも当初にその方針を提起すべきです。ここに、市長と教育委員会の政治姿勢の問題点が明確に表れています。
小学校についても、中学校と同時整備を含め、早期整備を求めるものです。
市立幼稚園の統廃合については、13ブロック毎に1園などという方針が突然出てきました。幼稚園の存廃は、地域にとって重大な問題です。現在、審議会が継続している最中であり、その答申を受けて、検討に入るべきです。拙速に結論を出すべきではありません。
4、市営住宅についてです。
管理戸数を約8,600戸にまで減少させる計画となっており、現在大幅な統廃合が進められています。加えて、URからの借り上げ復興住宅については、返還を基本とする方針で、入居者に移転を求めています。数年間に、多くの市営住宅を失うこととなります。
つまり、高齢者を中心とする入居者の移転を優先せざるをえなくなり、入居者には大きな負担を強いると共に、市民には募集戸数減により、市営住宅への入居を事実上制限することとなります。結局、市民に重い負担を負わせることとなります。
市営住宅の現管理戸数を確保すべきです。また、URからの借り上げ住宅については、適正な金額での購入ができるよう、最大限、国にも支援を求めるべきです。
5、国政に対する市長の政治姿勢についてです。
代表質問でも取り上げましたが、国政の課題で市長が市民のくらしや命を守る立場に立てるのかという点です。
消費税を社会保障の財源に切り替えていくことを目的とする、「社会保障と税の一体改革」は、結局、社会保障を改革しながら、消費税を10数%へ引き上げていくだけのものであり、国民のくらしを押しつぶすことになります。加えて、長期間続く景気低迷の時期に消費税を上げれば、日本経済をどん底に落とし、税収減は国家財政、および地方財政も悪化させることになります。
また、国民生活と相いれない危険な原発は、国民の多くがなくすべきだと主張しています。しかし、市長は、消費税増税についても、原発についても、市民生活をまもるという立場から、「消費税増税ストップ」「原発ゼロ」と、言うことができません。情けない限りです。
以上のことから、日本共産党西宮市会議員団は、2012年度西宮市一般会計予算に反対をいたします。
特別会計予算についてです。
食肉センター特別会計予算は、毎年、多額の一般会計からの繰入れを行いながら、市民にはなんらメリットのない事業です。
食肉センターは、設置から約4半世紀経過しが、老朽化が進んでいます。当然、冷蔵庫などの施設更新とともに、センターそのものの改築も日程に上り、今後の市財政に大きくのしかかってくることは、質疑の中でも明らかになったところです。一日も早く検討委員会の「提言」通り、完全民営化を強く求め、食肉センター特別会計反対します。
介護保険特別会計予算は、基準額で21%もの保険料引き上げの予算となっています。介護保険特別会計予算に反対です。理由については、議案第70号で述べたとおりです。
後期高齢者医療事業特別会計予算は、先の総選挙でも「廃止」が民意であるにもかかわらず、いまだ存続され、新年度は保険料が平均6%の値上げとなっており、政府は保険料抑制の財政措置をとっていません。検討されている新制度も、ほとんど枠組みをかえず、高齢者のみを切り離して際限ない負担を押し付けるものとなっています。廃止すべき制度の予算について反対です。
最後に5点、要望をします。
地方自治の本旨である福祉の増進という点からも、「構造改革路線」と決別し、民営化、民間委託など、行政がやるべき仕事を民間に丸投げする「市場原理」にゆだねる流れから、「住民福祉の機関」としての本来の自治体の姿、「福祉の心」を取り戻すことを求めます。
現在、プロジェクトチームが研究している「公契約条例」については、早期に条例制定するよう要望します。
第4次西宮市総合計画の見直しについては、代表質問でも申し上げましたが、策定時の教訓をふまえ、正確な財政状況をふまえ、「住民本位」に進めるよう要望します。
中央病院については、経営改善はもちろん不可欠ですが、なによりも全市的観点から、救急医療を重視した、役立つ、「公立病院」として再建できるよう、努力を求めます。
西宮北有料道路の早期無料化について、知事は徴収期間を3年間短縮するという検討結果を示しましたが、納得できるものではありません。1年でも早く無料化が実施されるよう、市として断固たる決意をもとめるものです。
以上、4つの議案に対する、日本共産党西宮市会議員団の反対討論といたします。