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杉山たかのりの一般質問
2012年09月06日

UR借り上げ市営住宅について


わが党議員団として、3月議会、6月議会に続いて、3議会連続して取り上げることとなりました。それほど、人の命に関わる重大な問題だと考えています。
 災害復興住宅として、UR(独立行政法人都市再生機構)から20年間の期限で借り上げた、市営住宅は、市内5棟447戸で、借り上げ期限まであと3年、ないし5年に迫っています。これに対して、西宮市は、借り上げの継続、住宅の買い上げはせず、期間満了と同時にURに返還する方針を決めました。そのため入居者に対して、他の市営住宅への住み替え、もしくは個人で住宅を確保すること求めています。他の市営住宅への住み替えについては、募集のあっせんを行い、抽選により当選した住宅への転居を方針として示し、最も期間満了の早いシティハイツ西宮北口の入居者を対象に、今年9月、第1回目の募集が実施されます。
 この問題の重要な点は、
第1に、地震で住み慣れた住宅を失った被災入居者が、今度は、行政によって、コミュニティを含めた住み慣れた家を再度失う事態になりかねないこと。
第2に、入居者の高齢化が進み、身体的にも精神的にも、転居が困難な入居者が多数いること。
第3に、西宮市を含む兵庫県の借り上げ住宅への対応が、東日本大震災を含む、今後の災害公営住宅の確保に多大な影響を及ぼすこと。
第4に、これにより、新たな市営住宅への入居が減少する
第5に、市の方針だと、入居者は「追い出される」との不安で、夜も眠れない事態がずっと続くということ。
です。
 6月議会、まつお正秀議員の一般質問で、問題点が明確になったと思います。
住み替え募集では、入居者の希望する転居先を確保できないこと。今あるコミュニティを転居先に持っていくことはできない。市の方針が既に破綻しているといことです。
また、借り上げ住宅の制度は、国の制度であり、国に援助を求めることが大事という点です。
 ところが、西宮市は、返還、転居の方針に固執し、事態を深刻化させています。
 ただちに、方針を再検討するべきであり、3つのことを述べたいと思います。
 第1に、西宮市が説明会で入居者に対して行なったアンケートです。
 有効回答328人のうち、88人26.83%が住み替えは困難と回答しています。その主な理由は、高齢であること、環境の変化、病気・体調不良をあげています。
 4分の1以上の方が住み替えはできないと答えている人を無理やり転居させることはできません。入居者の実態を無視した住み替え方針は、すでに破たんしています。
 第2に、5団地のうち、4つの団地から、URへの返還をやめて、継続入居できるよう要望書が提出されています。7月25日には、3団地の約30人の方が、継続入居を求めて、約2時間の交渉をされました。
 その時に読みあげられた市長への手紙を紹介したいと思います。

現在77歳です。六年前に突然脳梗塞で倒れ、以後右半身不随となりなした。
家事は、ヘルパーさんに来ていただき、通院、リハビリ等は、電動カートを利用して、辛うじて生活しております。
今回の住み替え問題は、全く寝耳に水でした。何故なら、私の入居は平成14年9月でしたが、その折そのような話は聞いておりません。
ですから、ここが終の棲家とおもっていました。
そこで何か書類でもあるかと、入居時の書類を全部調べてみましたが、何もそれらしいものは、みあたりませんでした。
この手紙も左手で書いており、読みづらいとは存じますが、あと何年も生きられないと思います。何卒お願いです。もう少し、ここに住み続けさせて下さい。

 この方は、震災時の混乱した時期ではなく、途中で入居された方ですが、入居申し込み案内書に「借り上げ契約終了時には移転が必要になることがあります」と記載されているものの、入居決定以降の書類には、返還、転居の可能性について記載されていません。
 多くの方が同じような気持ちで、市の対応に不安と苦しみをもって毎日を送っているのです。
 現在、5つ全ての団地の入居者が協力して、継続入居ができるよう取り組んでいくということをお聞きしています。
 第3に、国は市の方針を?よし?としていないことです。
 6月20日の参議院災害対策特別委員会で、「高齢化の進んでいる入居者の希望、要望などを十分に踏まえることが必要」と国土交通省大臣官房審議官が答弁し、中川防災担当大臣は、「住み慣れた地域で引き続き暮らしたいという被災者の方々の思いは十分理解できる」「それぞれ現在の状況を踏まえた選択ができるように、・・・入居者に複数の選択肢を示していくということも一方で大事だ」「それぞれ入居者の意向を十分確認していくという作業が大切だ」と答弁されています。
また、7月30日に、神戸市借り上げ住宅入居者連絡会が中川防災担当大臣と面会した際、中川大臣は、「国の制度としては、いろいろな形で地方自治体を支援していける。」「それを県や市が整理して、継続かどうか考えてもらう、市や県が、そのつもりになってもらわないと」と発言されています。
現方針の住み替え一辺倒ではなく、入居者の意見を聞いて、もっと選択肢を示すべきだという趣旨を国も言っているのです。
以上のことからも、継続入居を求める入居者の願いにこたえるよう、方針の再検討を求めます。


質問
@まず、市長にうかがいます。さきほど紹介しました、「市長への手紙」について、率直な感想をお聞きします。
A西宮市がURへの返還の方針は示して以来、入居者に対して多大な不安と苦しみをあたえる、大変な問題となっています。市の方針通りいかない事態となっています。市として、すべての入居者に対して、この問題が解決するまで、責任をもって対処するつもりはあるのか。
B国会では「高齢化の進んでいる入居者の希望、要望などを十分に踏まえることが必要」と国土交通省大臣官房審議官が答弁し、中川防災担当大臣は、「住み慣れた地域で引き続き暮らしたいという被災者の方々の思いは十分理解できる」「それぞれ現在の状況を踏まえた選択ができるように、・・・入居者に複数の選択肢を示していくということも一方で大事だ」「それぞれ入居者の意向を十分確認していくという作業が大切だ」と、入居者に述べています。この事実を知っていますか。この大臣や官僚の言葉は、重く受け止めるべきだと思いますが、どうですか。
C西宮市が実施した住み替えについてのアンケートでは、26%を超える方が、「住み替えは困難」と答えています。この結果をどう受け止めているのか。また、この結果を受けて、どんな対策を検討しているのか。
D移転が困難な入居者が多数いる中で、返還以外の方策を検討すべきです。棟ごとに買い上げる、1棟全部を借り上げ延長する。部屋別に借り上げの延長をする。近くに市営住宅を新設してコミュニティごと移転する。などの方法があります。入居者の現状に即した方法を検討すべきではないですか。