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2011年度西宮市一般会計及び特別会計決算認定の反対討論
2012年09月28日

まつお正秀が反対討論


只今上程中の決算認定のうち、認定第10号2011年度西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について、日本共産党市会議員団は反対いたします。
以下、理由を述べます。
 3年前の衆議院選挙で、今までの自民党政治を変えて欲しいと期待した国民は民主党政権を誕生させました。しかし、3代に渡る政権は、普天間基地移設問題では自・公の辺野古沖案に舞い戻り、TPP協議に前のめり姿勢、オスプレイの配備強硬にも見られるように、日米同盟を国民の上に置く政治がますます顕著となっています。また、後期高齢者医療制度廃止や企業団体献金禁止などは具体化もされないまま、マニフェストは次々と撤回され、財界が求める社会保障の切り捨てと国民負担増が進んできました。そして今度は消費税の10%への増税法案も民主・自民・公明党の3党合意を国会に押し付けるという形で決められてしまいました。また、福島第一原発事故では、ひとたび原発事故が起きれば取り返しのつかないことが明らかになりましたが、野田首相は大飯原発の再稼働を行いました。それだけでなく2030年代の原発撤退も閣議決定できないまま、建設中も含めれば2050年代まで原発稼働を続ける方向を示し、まさに、財界や大企業のいうがままの政治が、民主党以前の自民・公明政治に輪をかけるという形でおし進められています。
 今議会中に民主党代表選が行われ野田首相が再選されましたが、消費税増税反対や原発からの撤退を求める多くの国民の声に背を向けた政治を今後も続けるならば、ますます政治が行き詰まり、日本経済も国民生活も立ち行かなくなることは明白です
2011年度は年度開始の直前に、東日本大震災とそれに続く福島原発事故が起き、西宮市としていち早く救援本部を立ち上げ被災地支援に取り組み、今も引き続いて支援活動を行われていることには敬意を表明するものです。そして、この度の震災は西宮市にとっても改めて地震や津波に対する防災・減災対策の重要性を突きつけるものとなり、避難ビル指定などに着手されているところです。しかし、原発について河野市長は原発からの撤退という明確な立場をとるに至っていません。処理技術が未確立で使用済み核燃料もたまり続け、ひとたび事故が起きれば取り返しがつかないだけでなく、将来の長期にわたって放射能が人体や環境に影響を及ぼしつづけることが明らかになっており、国民の過半数が原発からの即時撤退を求めています。改めて市長は原発からの撤退の立場に立つこと、さらに先ほど述べた国の悪政から市民の暮らしを守る防波堤の役割を果たしていくことを求めておきたいと思います。
 さて西宮市の2011年度決算は、一般会計・特別会計合わせると歳入で、2455億131万円、歳出で2409億9500万円となって、翌年度に繰り越すべき財源3億3000万円を差し引いた実質収支額は42億6000万円の黒字、一般会計35億7000万円の黒字となっています。実に33年連続での黒字決算です。さらに財政・減債基金を合わせた積立も、前年度の138億9000万円に22億8000万円の上積みとなり、161億7000万円となっています。また、市債残高も前年度から38億円減少した1711億円となっており、今後毎年の借金払い、公債費も着実に減少していくことになっています。このことはわが党議員団がこれまで指摘をしてきたように、無駄遣いさえしなければ、くらしや福祉などの市民の願いを実現する財政力があることを示しています。
 歳入では市民税が減収の一方で、法人税の微増やたばこ税の増税の影響もあってほぼ前年度並みとなり、交付税や臨時対策債は微減となりました。歳出では土地開発公社健全化計画の具体化による64億円余りの土地購入、東部処理センターの本格工事、子ども手当や生活保護などの扶助費の増等(とう)を特徴としながら、保育所の整備や保育ルームの増加によって全国的にみて高かった待機児童の解消が一定すすみました。その他の施策としては、権利擁護支援センターの開設、わかば園移転建て替えの具体化、新産業振興計画にあらたにモデル事業として住宅リフォーム助成制度が盛り込まれるなどの前進面がありました。住宅リフォーム助成制度についてはこの際、来年度は本格実施として予算規模を増やしていただきますよう強く要望しておきます。また、国民健康保険会計に引き続き2億5000万円の繰入が行われました。国民健康保険料では医療費の増大等で、結果的に2012年度は10億円の繰入を見込んでもなお残念ながら保険料が上がったことは、これまで国の補助が大幅に減らされる中で、我が党議員団が指摘してきたように一般会計からの繰入をしなければ市民負担が耐えられないものになっていることを示しています。
 一定市民要求の前進はあるものの、住民が主人公という姿勢には程遠く、以下具体的な反対箇所を述べます。
まず、保育料を国基準に引き上げるとして前年度に続いて値上げを行いました。不況の中で働く若い世代にとって保育料の値上げは家計に重くのしかかり、認めることはできません。二つ目は、市民にとってほとんどメリットのない食肉センターに多額の税金を投入し続けている点です。昨年放射性セシウムに汚染された牛肉が食肉センターで多数解体され、その追跡調査の中でほとんど市内に流通していなかったことが明らかになりました。これは「市民にとってメリットや経済効果がある」という主張の根拠がないことを示しています。そういった施設に今後も多額の指定管理委託料や施設整備などで市民の税金を投入し続ける食肉センター特別会計に反対するものです。
 ついで問題点を指摘しておきます。
 一つはこれまでの国いいなり政治のツケを払うことになっている点です。2011年度は土地開発公社健全化を名目に塩漬け土地を時価の3倍で購入し、JR西宮北東のヘタ地などの分割購入費を一括償還するなど、これまでの土地開発公社の負の遺産を一気に清算しました。そもそも土地開発公社の役割は市の事業に必要な用地の先行取得ですが、1980年代には国の旗振りのもとで、公社の自主事業という名目で事業見通しのない土地を次々と買収し、大きな負債を抱えることになっていたものです。また、フレンテ西宮を管理する西宮都市管理株式会社に対する9億9000万円の短期貸付金を35年の長期貸付金に切り替えました。このことにわが党議員団は反対しませんでしたが、これは、第3セクター方式での身の丈に合わない開発の破綻、国いいなり行政の結果起きたことです。そのことに明確に反省の立場を表明すべきです。
 二つ目の問題点は住民の願いに対してどうだったかという点です。
 市は西宮市営住宅整備・管理計画で、市営住宅の大幅削減とUR借り上げ市営住宅を住民の願いに反して「期限で返還」という方針をきめました。リーマンショック後の派遣村にみられたように、若い人たちの住宅困窮者が増える傾向にあり、低廉で良質な住宅を供給するという地方自治体の役割を縮小しようとしていることは見逃すわけにはゆきません。また、UR借り上げ住宅問題では、すでに3年後と期限が最も早い青木町のシティハイツで第一回目の住み替え募集が行われました。審査の中では募集した住戸の31%にしか応募がなく、利便性の高い住宅に希望が集中する傾向があること、グループでの移転は希望も相談もないなど、コミュニティの確保に配慮するという方針は早くも破綻していることが明らかになりました。阪神大震災の被災者がまたしても不安におののくようなやり方をやめ、引き続き住み続けられるようあらゆる努力をすべきです。
 次に要望を申し上げます。
 一つ目はアサヒビール跡地活用についてです。中央病院の移転建て替えなどの跡地活用に関しては、市民の声を十分に聞くとともに、それを反映させる形ですすめ、跡地の民間開発については市が積極的に関与し、西宮市にふさわしいまちづくりとなるよう規制することを求めておきます。
 二つ目は、公契約条例についてです。特に小泉内閣で進められてきた構造改革の中で、不安定雇用が増大し、公(おおやけ)の現場においてもワーキングプアが生み出されていることから公契約条例を制定する自治体が増えつつあります。西宮市もプロジェクトチームを立ち上げ研究してきましたが、現状の問題点は認めながら、条例制定はせずとも現状の枠の中で公契約法、公契約条例の理念を実現できるとして公契約条例の制定を見送りました。しかし、この条例制定はワーキングプアを防止する、民間も含めた地域への波及効果など、その意義は計り知れないものがあります。公契約条例制定を改めて求めるものです。
 三つ目は盤滝トンネル無料化の前倒しについてです。
 昨年の9月議会において西宮北有料道路の早期無料化を求める意見書が全会一致で可決され、その後三年前倒しでの無料化が決まりました。利用者の市民とともに西宮市にとっても貸付金が予定よりも早く返ってくることになり喜ばしいことであります。ところが、それまでに大規模改修を行う計画や、損失補てん引当金について、「国は償還に使える」と言っているにもかかわらず県道路公社は活用しないという方針です。改修工事内容の精査を行うことと、損失補てん引当金の活用を県及び道路公社に強く求め、無料化のさらなる前倒しができるよう進めていただきたいと思います。
 四つ目は水道料金の引き下げと料金体系の見直しについてです。
 水道料金については水道利用量の減少や阪水からの受水費増などから、今後の経営の厳しさを強調されていますが、決算で26億円の資金余裕があることが明らかになっています。今後は水道施設の統廃合による人件費を含めた経費の減少、鯨池浄水場跡地の売却による増収も見込まれます。近隣他市と比べても高い水道料金の引き下げを求めます。また、今議会中に宝塚市が基本料金体系の見直しを行うことが明らかになりました。基本料金を見直し、従量料金体系を強める自治体が増えており、近隣市でも見直しを行っていないのは神戸市、三田市、芦屋市だけとなっています。合わせて料金体系の見直しも求めておきます。
 五つ目は公立幼稚園の適正配置のありかたについてです。4年前には公立幼稚園を21園から15園にする「西宮市立幼稚園教育振興プラン」がうちだされ、20,000人を超える市民から存続を求めるパブリックコメントが寄せられ、その後いったん白紙となった経過があります。今議会中に西宮市(いち)立幼稚園の適正配置計画「当面のあり方」について、「西宮市幼児期の教育・保育審議会」の中間報告を踏まえた所管事務報告が行われました。これは市内を13ブロックに分け、公立幼稚園を原則1ブロックに1園とするもので、公私間格差の是正を口実に、私(わたくし)立幼稚園の経営を守るために公立幼稚園を統廃合するものであり、認めることができません。地域の開発状況、子どもの状況などを十分に検討し、公立でも3歳児保育や延長保育の実施も視野に父母のニーズにこたえるよう求めておきます。
 最後になりますが、市長をはじめ職員の皆さんは新年度の予算編成に向けての作業をされていることと思いますが、この決算審査での意見や要望を真摯に受け止めていただき、的確に予算に反映していただくことを求めまして討論を終わります。