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杉山たかのりの一般質問
2013年03月05日

暮らしと経済の立て直しについて


クリックで大きな写真を表示(1)賃金を引き上げる
 市長は、行政方針で「日本経済の立て直しが喫緊の課題である」として、安倍内閣の緊急経済対策、いわゆる「アベノミクス」についてふれられています。「2%の物価上昇率を目標とした大胆な金融緩和策」「財政出動を起爆剤とする強い経済の回復」「成否は成長戦略の実行にかかっている」と、肯定的に見ているのでしょうか。
 テレビや新聞など、マスメディアには、株価の上昇、円安など、景気回復に向かっているかのような報道が多数見られます。しかし、一方で、経済の専門家からは冷静な評価も見られます。
 週間エコノミスト、編集長は「安倍首相のデフレ脱却策を聞いていると、この人は国民の家計や雇用にどれだけ関心があるだろうか、気になる。インフレ期待の醸成というが多くの国民の期待は賃金の上昇だ」「デフレが深刻化したのは、企業が内部留保や株主配当に偏重し、人件費を圧縮したからだ。この認識なくして、金融緩和や公共事業で大盤振る舞いしても、お金は回らない。」
 富士通総研・研究員は「安倍新総理は賃上げに動くべきだ」「いくら金融政策を緩和しても賃金が上昇しなければ、デフレ脱却はできない」と指摘しています。
 いわゆる「3本の矢」は、これまでも自公政権、民主党政権も取り組んできたが、効果がなく、格差と貧困をひろげ、借金の山をつくり、デフレ不況を悪化させてきたものでしかありません。
賃金が上がらず、物価だけが上がれば、国民の生活は、いっそう厳しくなり、より深刻な事態を招くことになるのではないでしょうか。
現に、11月ごろからはじまった急激な円高の影響で、ガソリンや、小麦など輸入に依存する生活必需品が値上がりし、国民生活を圧迫しはじめています。電気やガスも高い水準で推移しています。ここに消費税を引き上げようという愚策が追い打ちをかけるのですから、アベノミクスとは、経済と暮らしを破綻させるものです。
 本気で経済を立て直そうというのであれば、まず原因を明らかにして、対策を講じるべきです。
 資料をご覧ください。
 1997年を100として、各国の雇用者報酬、各国の国内総生産、日本の法人企業の経常利益と雇用者報酬の推移を示した3つのグラフがあります。
 日本の働く人の所得・雇用者報酬は、2011年までの14年間に、87.8にまで落ち込んでいます。同じ時期にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツの欧米諸国は1.3倍から1.9倍程度増えており、日本の賃金が下がっている事態が異常なものとなっています。これと連動して、日本の国内総生産も、14年間に90にまで落ち込み、欧米諸国は1.4倍から1.8倍に増えています。
 国内総生産も雇用者報酬を14年間落ち込んでいるのですから、さぞ企業の収益も落ち込んでいるだろうと思いますが、法人企業の経常利益は、14年間で163に増えています。その原因は、週刊エコノミスト編集長が指摘しているように、人件費の圧縮、賃下げと首切り、非正規雇用の急増などで、収益増をはかったことによるものです。
つまり、企業が収益を増やすために生じた、働く人の収入減が日本経済を大きく落ち込ませています。
 賃金があがらず、物価だけが上昇すれば、国民の暮らしは打撃を受け、そこに消費税増税が襲いかかることになります。
デフレ不況打開には、賃金を上げることがなによりも必要です。大企業の内部留保260兆円の1%を取り崩すだけで、8割の大企業の従業員の賃金を月1万円ひきあげることができます。
 日本共産党は、それとあわせて、消費税増税や社会保障削減計画など、国民の所得を奪う政策を中止すること、最低賃金を1000円以上に引き上げることや、正社員が当たり前の雇用にするなど、人間らしい雇用と暮らしを保障するルールづくりにふみだすことを政府に求めています。

質問@
デフレ不況の打開の決めては、働く人の所得を増やす、つまり賃金を引き上げることではありませんか。市長の見解をお聞きします。安倍首相は、日本共産党の提案を受け2月12日経済3団体に「報酬引き上げ」を要請しました。新年度予算案では法人市民税が前年に比べて増額しており、「企業収益の改善」を理由にあげています。市長も、市内事業者に、賃上げを要請するべきではないでしょうか。


(2)市としてワーキングプアを生み出さない
私どもも、指定管理者制度、公契約条例の問題で何度か取り上げていますが、駐輪場の管理をされている方々の現状の問題です。
資料をご覧ください。2010年度から駐輪場の指定管理者となっているサイカパーキングの募集要項です。
「急募!西宮市内の駅前の駐輪場でのお仕事です。高齢者・近隣の方、活躍中です。5名募集。
仕事の内容の記載があり、その下に
給与 時給755円、交通費別
時間 @6:00または6:30〜13:15A13:15〜20:00 2交代ローデーション制、
   週3日勤務、休日はシフトによる
待遇 社保・雇保、なし  雇用保険
時給755円というのは、最低賃金が749円ですから、わずか6円上回っているだけ。
週3日、労働時間では20時間以内になります。1ヶ月で6万円、年収で約70万円程度です。
駐輪場の指定管理者は、過去、日駐管理、ミディ、そして現在のサイカパーキングと替わってきたのですが、前2社では、時給は低いものの、フルタイムということで、協会けんぽ、厚生年金など待遇は一定程度、保証されていました。ところが、サイカパーキングになって、労働日数と労働時間を少なくして、国民健康保険、国民年金と、社会保障制度の事業者負担をなくしています。
2交代ローテーションと休日シフトという勤務のため、ダブルワークも困難な事態となっています。西宮市の仕事をしているにもかかわらず、生活が成り立たないような働き方です。
本来であれば、公契約条例を制定し、直ちに改めさせるべきです。

質問A
サイカパーキングが指定管理者となって3年となるが、そこで働く労働者のひどい待遇が続いている。こんな実態をいつまでも放置しておくのですか。お答えください。また、市の事業で働く労働者がせめて年収が200万円以上になるようにすべきではないですか。


(3)住宅リフォーム助成制度の本格実施を
最後に、宅リフォーム助成制度について質問します。経済の立て直しという点では、中小零細事業への仕事づくりも、自治体として重要な取り組みとなります。
今年度モデル事業として625万円の予算でスタートし、新年度は100万円増額し、引き続きモデル事業として実施することとなります。昨年、私は代表質問で、住宅リフォーム助成制度は、「小さく産んでしまったけど、大きく育てて欲しい」と述べましたが、残念ながら、まだ、小さいままです。
今年度の実績は、私が考えていたような、応募が殺到するという事態にはなりませんでした。リフォーム需要は潜在的にあるのですから、どう引き出すのかということで言えば、毎年決まった時期に募集があることがわかれば、それに合わせてリフォームの計画がたてられるようにすることだと思います。つまり、モデル事業ではなく、毎年の事業として取り組むことです。

質問B
まず、今年度、モデル事業として実施した評価をお聞きします。現時点では、新年度も引き続きモデル事業として提案されていますが、1年限りの制度では市民がリフォームの時期とあわせるのは非常に難しいと思います。利用しやすくするには、モデル事業ではなく、まず、本格実施して、制度を定着させることだと思いますがどうですか。そのためにも、新年度も、多く利用していただくということから、利用者が増えれば、増額補正で対応するつもりはあるのか。