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杉山たかのりの一般質問
2013年03月05日

UR借り上げ市営住宅問題について


クリックで大きな写真を表示 この問題は、本質的には、生存権の問題です。
 阪神淡路大震災から18年が経過し、高齢化した被災者を、行政の都合で、住み慣れた市営住宅から、半強制的に転居をさせていいのか、これまでの生活を奪っていいのか、命を危険にさらしていいのか、そんなことが許されるのか、という問題です。
 同時に、西宮市が市営住宅の管理戸数を減らして市営住宅から市民を締め出す、具体的には約1400戸の削減という、経費削減、財源確保という、市の方針から生まれています。
 日本共産党は、この問題の解決は、西宮市が借り上げ住宅をUR(都市再生機構)から買い上げるか、借り上げ期間を延長するかによって、引き続き市営住宅として確保し、継続入居できるようにすること、だと主張し、市にそのことを求めてきました。
 1月17日を前後して、借り上げ住宅問題を、テレビや新聞など、マスメディアも大きく取り上げ始めています。
その理由は、借り上げ住宅入居者の「住み続けたい」という運動が、大きく広がってきていることです。西宮市内5つの団地の入居者が連絡会を結成し、市との交渉や市役所前行動、署名活動などに取り組み、2月28日には県下の借り上げ住宅入居者が決起集会を開催、150人を超える参加となっています。
そして、兵庫県をはじめ自治体から新たな方針が示され始めてきたことだと思います。
 この間、宝塚市に続いて伊丹市が、希望する入居者に継続入居を認める方針を発表しました。兵庫県は一部ではありますが、高齢者や障害者など、住み替え困難者には継続入居を認めるという方針を示しました。神戸市でも懇談会による検討がすすめられています。
 西宮市ですが、2月20日、市長は記者会見を行い「UR借上げ住宅の今後の対応について」を発表しました。これは、1月23日、借り上げ住宅入居者連絡会のみなさんが市長と直接会い、3251筆の署名を提出した際に、市長自身が「2月中旬に、市長として方針を発表する」と約束されたことによるものです。
 その内容は、これまでの借り上げ住宅の「返還の基本方針」は全く変更せず、入居者の一部、要介護3〜5の認定を受けたもの、重度の障害者のいる世帯を「住みかえ要配慮世帯」として、事前予約制度、市が案内する市営住宅の中から希望する市営住宅を複数選んで事前に住みかえ予約をし、期限までに住みかえ住宅が確保できなければ5年間まで入居期間を延長するというものです。
 しかし、結局、誰一人継続入居は認めず、転居が困難だという入居者を、丁寧に追い出すというものでしかありません。この間、各自治体が示してきた内容から比べて、最悪の内容となっています。
 入居者の「住み続けたい」という願いを踏みにじるものです。
 法的な問題についてです。
12月議会に松尾議員が明らかにしましたが、公営住宅法「第25条第2項、事業主体の長は、借上げに係る公営住宅の入居者を決定したときは、当該入居者に対し、当該公営住宅の借上げ期間の満了時に当該公営住宅を明け渡さければならない旨を通知しなければならない。」とされていますが、都市局長は「入居時の西宮市と入居者との契約書には盛り込んでおりません」と答弁されています。建設常任員会では、住宅部長は「市としましては、公営住宅法の25条2項、事前通知するという、告知については出来ていないというふうには承知しております」と答弁されています。西宮市は、公営住宅法の入居時の通知を怠ったことは明確です。
西宮市は、明け渡し請求をする根拠を失っているのです。

質問
@まず、市長にうかがいます。1月23日に、入居者のみなさんに、市長の責任で、方針を検討する約束をされました。ところが、今回発表された方針は、なんの解決策にもなっていません。この1ヶ月間、何を調査され、どう検討したのか、お聞きします。その際、兵庫県や伊丹市などの方針について、なぜ参考にしなかったのか。入居者のみなさんが一生懸命、集めた3251筆の署名を市長はどのように受け止めたのかもお答えください。
A多くの入居者は、長い年月をかけて作ったコミュニティの中で支えあって、この十数年間暮らしてこられました。そこへ降って湧いたように行政の都合勝手で転居を余儀なくされようとしています。年をとって、はじめての住み慣れない地域に転居して、暮らすというのは、想像以上に大きな負担となります。いのちにかかわる問題です。この問題で、最も重要なのはコミュニティをこわしてはならないということだと思います。ところが、市の方針は5つのコミュニティをすべてこわすものです。借り上げ市営住宅問題におけるコミュニティの大切さについての認識を聞きます。
B借り上げ住宅のURへの返還に伴う明け渡し・転居について、入居者は「寝耳に水」「知らなかった」というのが実態です。西宮市が、契約書に記載するなど、入居決定時に借上げ期間について通知をしなかったことが原因です。公営住宅法第25条第2項で事前通知を、なぜ義務付けているのか、あらためて、法の趣旨を聞きます。その上で、なぜ、西宮市は、入居時に借り上げ期間の通知をしなかったのか。法改正前に入居しているシティハイツ西宮北口の入居者には、改正後すぐに通知しなかったのか。お答えください。