HOMEへ
野口あけみ議員、議会場の国旗掲揚について討論
2013年06月14日

 本日、第9回定例会の初日を迎えました。議長の後方壁面に、国旗・市旗が初めて設置されていますが、日本共産党西宮市会議員団は、このことに一貫して反対してまいりました。本会議の場で、改めて意見を申し上げたいと思います。 
 今回の国旗掲揚は、昨年の12月議会で、「西宮市議会議場に国旗・市旗を掲揚することを求める請願」が賛成多数で採択されたことから端を発しました。中川議長は、2月の初め、「今後、議会運営委員会で扱い、6月議会までにていねいに議論をし、できれば全会一致で結論を出したい。ついては、2月14日の議会運営委員会で提案したい」旨、各会派幹事長に通知されました。日本共産党議員団は、その後ただちに文書で、「過去においては議会運営に関わることは全会一致で進めてきた西宮市議会も、最近は多数を持って決することも多々行われてきた。しかし、すべての議員が参集する議場に関わることだけに、多数決で進めるべきでない。よって、いかに議論しても全会一致にはなりえない議場への国旗掲揚については、この際、議題としないこと」と申し入れも行いました。
 しかし、議長は、「自分の任期中に結論を出したい」との強い意向を示され、2月14 月以降6回、議会運営委員会が開催されることになり、議論を行ったところであります。
 日本の国旗は1999年、国旗・国歌法で「日章旗=日の丸」と定められましたが、第2次世界大戦などの戦争において「日の丸」が侵略の旗印として使われたため、いまだ拒否感を持つ国民は少なくないことは客観的事実です。国旗・国歌法制定において、政府からくりかえし、「国旗の掲揚等に関し義務付けをおこなうことは考えていない」「内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨ではない」との見解が示されたのも、こうした背景があるからです。
 そのような国旗を、なぜ議場に掲揚しなければならないのか。この私の疑問、問題提起に対し、議会運営委員会では、「日本人だから当然だ」「請願が採択されたから」などの議論がありましたが、結局、法的根拠は一切ないことが明らかになりました。当然です。先に申しあげたとおり、政府は国旗掲揚に関し、なんら義務付けを行っていません。
 また私は、議場への掲揚が、憲法第19条で保障された、思想や良心、内心の自由を侵し、強制に当たると主張しました。なぜなら、議場は、市民の代表である議員が、これも市民の代表である市長及び市当局と、傍聴する市民の前で議論を交わす厳粛な場であり、当然敬意をもって臨むべき場であるから、その場に日の丸が持ち込まれると、それも含めて敬意を強制されることにつながりかねないからです。
 しかし、この主張に対しても、憲法違反には当たらないとする明確な根拠や見解はえられませんでした。
 さらに、議会運営委員会には無所属議員が参加していません。むの会、市民クラブ改革の所属議員のなかでも意見・立場はそれぞれ違うという両幹事長さんの表明もあり、私は、何らかの形で本会議ではかるべき、意見表明の機会を作るべきとの主張も致しました。
 しかし、この提案もふくめて、わたくしどもの、国旗掲揚で、思想・内心の自由を侵害されるとする側の意見や立場を尊重してもらいたい、理解を得たいとする努力は報われることなく、平行線をたどったまま議論は打ち切られました。
 そして、採決では、議場への国旗掲揚そのものについては採決せず、議長一任についてはかられ、市民クラブ改革が退場、日本共産党が反対し、議長が「議場へ国旗・市旗を掲揚したい」旨を宣言し、決定されたものです。
 なお、今、過去の戦争をめぐって「侵略戦争ではなかった」とする見解が現首相からも言われるような由々しき事態です。
 しかし、1995年8月15日の「戦後50周年の終戦記念日にあたって」の当時の村山内閣総理大臣の談話にはこうあります。部分を紹介します。「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明しいたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」この談話の立場は、少しでも日本とアジア、世界をめぐる歴史を学んだ者にとっては当然のものです。
さらに侵略された側の立場に立って少し想像力を発揮すれば、植民地支配と侵略の旗印とされた日の丸が国旗にふさわしくないということも容易に見いだせるのではないでしょうか。

 以上、この間の経過や議論の内容、私どもの見解などを申し上げたわけですが、日本共産党西宮市会議員団は、議場への国旗掲揚には反対であることを、改めて申しあげ、発言を終わります。