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2014年度当初予算編成に対する申し入れ
2013年08月30日

政策局


  1. 昨年末に復活した自・公政権は、この7月の参議院選挙で多数を占めたことから、憲法9条の改悪やさらなる国民負担増路線を進もうとしている。特に民主党政権時代に民主、自民、公明の3党合意で決めた消費税の増税を条件に設置された「社会保障制度国民会議」は、すでに給付額が引下げられた生活保護のさらなる改悪や、年金、介護、医療、保育分野などのあらゆる社会保障の切り下げをもくろんでいる。こうした国の施策が進められれば、市民のくらしにとって多大な影響を及ぼすことになる。
    また、昨年4月に発表された自民党の憲法改正草案では、地方自治体の役割から行政執行の文言が消え、国からの事務を処理するだけの国の追認機関にされることも危惧されている。
    市として大切にすべきは、憲法と地方自治法の精神である「住民福祉」の増進である。時の政権の施策の変更に右往左往することなく、地方自治の立場での行政運営を行うこと。

  2. 現在国において道州制や、維新の会などがすすめようとする「大阪都構想」など、現在の地方自治のあり方を大きく変えようとする動きがある。もともと道州制は、国の役割を外交、国家安全保障、司法などに限定し、教育や社会保障などの国民生活に関する責任は都道府県を廃止したさらなる広域の道州と自治体に対応させるという発想から生まれている。その中身はグローバル化の名のもとに、空港、高速道路、港湾などの整備をさらに行いやすい仕組みにし、基本とされる自治体規模も人口30万人以上とするなど、さらなる市町村合併を進めるものとなっている。これはこれまで経済界が求めてきた方向であり、国民には道州制の内容すらはっきり知らされておらず、国民的議論にもなっていない。これまで進められてきた「平成の大合併」の検証もしないまま、国が本来果たすべき社会保障や教育などについて財源の保証もないまま地方に丸投げするような道州制や「大阪都構想」には反対すること。

  3. 市は「限られた経営資源を最大限に活用し、市民満足度の高い行政経営をおこなう」という理念に基づくとして民営化や、指定管理者制度、PFI、民間委託などの手法を導入してきたが、様々な弊害が生まれている。

    1. これ以上民営化等を進めず、市の責任を果たすこと。

    2. この間、指定管理者制度のもとで、利益を上げるために経費や人件費削減が行われるなかで、プールでの死亡事故にみられる重大事故や市民サービスが後景にやられる事例が後を絶たない。西宮市でも、市営住宅の指定管理者選定過程において、不祥事をおこした業者を選定する議案の撤回という事態もうまれた。指定管理者選定には市の責任が厳しく問われている。また、市が選定した指定管理者についてはその業務についてチェック機能を高めたモニタリングをおこなうとしているが、民間委託も含め、良質な公共サービスが提供されるよう、しっかり管理監督義務を果たすこと。

    3. その際にはいわゆる「官製ワーキングプア」を生み出さないという観点も必要である。公契約条例をはじめ「官製ワーキングプア」を生まない仕組みをつくること。

    4. 「市場化テスト法」が成立し全国に広がっているが、公共サービスを切り捨てる「市場化テスト」は今後とも導入しないこと。

  4. 民間事業者のノウハウや技術的能力を活用し、事業コストの削減をめざそうとするPFI手法は、そもそもゼネコンや金融機関などの財界が、公共分野を市場にしようとするねらいをもって導入されたものである。
    市では、甲子園9番町市営住宅建て替えに見られるように、PFI事業において地元業者を参入させることになっているが、実際には地元業者にはほとんど仕事が回っていないという声が聞かれる。また、これまで10億円以上の工事でPFI導入可能性調査を義務付けてきたが、これには市職員の膨大な時間と事務量がかかる。このほどPFI事業とする金額を20億円以上に修正するなど見直されたが、この際、PFIの導入はやめること。

  5. 2009年3月に策定された10年間の「第4次西宮市総合計画」は、中間年見直しが行われ12月議会に提案される予定となっている。人口フレーム、財政フレームについて実績値をもとに見直しこれらを反映させる一方、新たなまちづくりの課題として、(1)東日本大震災を踏まえた新たな防災・減災対策の策定やエネルギー政策の見直し、(2)アサヒビール西宮工場閉鎖後の跡地と周辺のまちづくり、(3)公共施設マネジメントへの対応を盛り込むとしている。
    見直しにあたっては市民に対してすでにパブリックコメントが行われているが、過大な投資を行うことにならないようにすること。また、議会に対してもその都度報告を行い、議会の意見も反映させること。

  6. アサヒビール西宮工場が2012年8月操業停止し、現在解体作業がすすめられているが、市はその約半分の土地を一括購入し、中央病院など公共施設に活用、残りの民有地については市にふさわしいまちづくりに活用するとしている。
    公共施設整備のうち、中央病院移転については先行し、他の西宮消防署、中央体育館の移転新築等は財政状況も見ながら計画するとのことだが、議会や市民の間でも賛否を含め様々な意見が交わされている。
    2013年度中には土地購入について具体化するとのことだが、議会や市民の意見要望も反映させた上で、不要な土地は購入しないこと。
    また、市が購入しない土地の利用については市がしっかり関与し、地区計画の作成などで市が街づくりのリーダーシップを発揮すること。

  7. 多くの市施設が建築から相当年が経過し、計画的な維持補修工事や建て替えなどが必要になる一方で、事業費の抑制も求められており、施設の長寿命化、機能再編、利用の効率化をはかり、改修等での財政負担も平準化しようとする全庁的な「公共施設全体の最適化」―公共施設マネジメントにとりくまれている。
    2012年9月には基本方針で延べ床面積を20年間1割50年間2割縮減、維持管理費は5年間で1割以上縮減の方針を示したが、その具体化の中では、各所管局や住民・利用者の意見を十分聞くこと。特に、公民館や市民館は設置された歴史的背景や住民の要望の中で現在の配置となっており、それを無視した機械的な統廃合は強行しないこと。

  8. 東日本大震災を契機に、被災者生活再建支援法の抜本拡充が大きな課題となっている。以下の項目を国に要望すること。

    1. 住宅本体の建築費や補修費などの支給額は最大でも300万円であり、再建には程遠い。抜本的引き上げをおこなうこと。

    2. 生活再建支援の対象に、一部損壊住宅、その事業を生活の基盤としている中小の店舗や工場等の事業所、液状化による被害なども加えること。

  9. 高須東小学校跡地については一部暫定的利用が行われているが、全市全庁的な視野で有効活用が図れるよう早期に検討すること。

  10. 水道局所有の鯨池浄水場跡地については、政策局が中心になって活用方法をすでに検討しているとのことだが、必要な土地については市が水道局から買い取るなどの検討を早急に行い、有効活用に結び付けること。