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2014年度当初予算編成に対する申し入れ
2013年08月30日

防災危機管理局


  1. 東京電力福島第一原発事故によって、今なお15万人を超える人たちが故郷を追われて避難生活を送り、除染の見通しもたっていない。原発事故の原因すらいまだに明らかになっておらず、原子炉建屋には毎日400トンの地下水が流れ込み、それと同じ量の汚染水がたまり続けると同時に海への流出も食い止められていない。さらに、高濃度汚染水貯留タンクからも、漏れた水が外洋に流出している可能性も濃厚になった。
    原発事故後におきた様々な問題に対しても、東京電力はこれまでの事故の隠ぺいや情報の小出しなど、国民の非難を浴びてきたが、電力会社の経営優先の対応では問題が解決しないことが明らかになっている。このような現状は、一昨年に政府がおこなった「原発事故収束宣言」とはほど遠いものであり、国が本気になって事故の収束を図ることが求められている。それにもかかわらず政府は、休止している原発の再稼働を拡大し、海外に輸出することまで後押ししようとしており、もってのほかというほかない。市として次のことに取り組むこと。

    1. 政府に対し「原発事故収束宣言」を撤回するよう求め、原発の再稼働の中止とともに原発からの撤退を求めること。また、汚染水対策などにもきちっと取り組むことも求めること。

    2. 福井県の原発が事故を起こせば兵庫県にも多大な影響が出ることが明らかになった。また、琵琶湖が放射能で汚染をされると市民飲み水にも大きな影響が出る。9月15日には大飯原発の定期点検ですべての原発が止まるが、この際、関西電力等に原発再稼動の中止、原発撤退を求めること。

    3. 「脱原発をめざす首長会議」に加入し、脱原発の世論を広げる役割を果たすとともに脱原発の運動の先頭に立つこと。

  2. 東日本大震災と原発事故の教訓を踏まえた地域防災計画の見直しは、国や県の防災計画との整合が必要であり、予想される東南海地震に対応した国の想定が見直されたことから、それに沿って見直しを行うこと。また、見直しにあたって次の点に留意すること。

    1. 今年兵庫県が発表した福井県での原発事故による放射性物質による影響について、100キロ以上離れた神戸市でも放射性ヨウ素の影響が出ることが明らかになった。こうした調査を踏まえて住民避難計画を作成すること。

    2. 被災地から発信されている課題は、たとえば、災害時要支援者対策や福祉避難所の整備、避難所における更衣室や授乳室など生活目線での整備、帰宅困難者対策等々、多数存在している。これらの具体的な課題を整理し、地域防災計画の見直しにいかすこと。

    3. 民間マンション等の協力による津波避難ビルは徐々に増えつつあるが、まだ偏在が見られる。さらに増やし偏在の解消をめざすこと。その際、特に分譲マンションの場合は管理組合などの合意が必要となるが、年に一度の総会待ちということではなかなか進まない。「津波避難ビル」指定の重要性を説明したうえで、迅速に対応していただけるよう誠意をもって働きかけること。

    4. 「避難所はたどり着くまでが困難」などの住民の意見がある。現在の避難所の配置や箇所数が適切か検討し、増やす方向で取り組むこと。

  3. 2013年1月に行われた市の津波避難訓練は、東海・東南海・南海地震による津波を想定してJR神戸線以南の約21万人を対象に行われ、46,000人近くが参加した。
    今回の訓練の教訓を生かすとともに、今後も訓練を適宜行なうこと。

  4. 従来の地震・津波想定(M8.4、3m高)では問題なしとされている防潮堤だが、新たな国の推計による最大津波高は5メートルと想定されており、高さも構造も根本的な見直しが必要になる。県は国の指針をもとに順次見直すとしているが、県による整備の優先順位待ちではいつ来るかわからない地震や津波に対応できない。市として早急に整備する必要が生じた防潮堤については、市費の投入も含めた整備を県と相談して迅速に行うこと。

  5. 津波対策では樋門管理が重要である。民間まかせにせず、県と連携し市が全ての樋門を管理すること。電源喪失や施設損傷に対する対応も十分考慮すること。

  6. 市役所本庁舎周辺に、災害時の対策本部機能と防災体験学習施設を併せ持つ総合防災センターを整備する構想があるが、経費の点でも大きな課題である。防災センター整備については必要性と緊急性について十分精査し、市民の理解を前提とすること。