2014年度当初予算編成に対する申し入れ/* --項目挿入-- */?>
2013年08月30日
教育委員会
- 憲法と子どもの権利条約を生かした教育を
教育は、すべての子どもの持っている成長・発達する権利を保障するための社会の営みである。とりわけ学校教育は、「命を守る教育」「人間を大事にする教育」を大前提に、すべての子どもに基礎的な学力を保障するとともに、子どもたちが社会の主人公として行動できる能力を身につけることを助ける責任を負っている。
- いじめによるとみられる自殺が全国で後を絶たない。事例の検証の中で、学校現場や教育委員会の真相究明に対する真摯な姿勢の欠如も浮き彫りになっている。西宮市においても「人間を大切にする教育」「いじめを許さない教育」の取り組みを強化し、不幸な事件を起こさないこと。
- 不登校やいじめ等、心のケアを必要としている子どもに対処するためマンパワーの充実は不可欠である。教育現場の安全配慮義務を徹底するとともに、養護教諭の複数配置やスクールカウンセラーを小・中学校全校に配置するよう、国・県に強く求めること。
- 児童虐待を早期に発見し、適切な対応をとることが求められている。教職員への研修を強め、健康福祉局や県子どもセンターなどとも一層連携を図り、子どもの命を守ること。
- いかなる理由があろうとも、学校現場での「体罰」は許さないこと。
- 憲法と教育基本法を生かし、歴史の真実に沿った教育の実践を進めること
- 子どもや教職員、保護者等の内心の自由を守り、「日の丸・君が代」を教育現場で、決して強制しないこと。
- 日本維新の会共同代表の橋下氏による「従軍慰安婦は必要だった」発言や、「日本はナチスの手口から学べ」との麻生財務大臣の発言等、侵略戦争を肯定し、歴史を歪曲する事態が相次いでいる。これに対し国内のみならず国際的にも大きな批判の声が沸き起こっているのは当然である。
侵略戦争への反省は、日本社会が国際社会に復帰する際の条件であり、日本社会に民主主義を定着させ、日本への誇りを培う上で不可欠のものである。平和教育を重視し、歴史の真実を児童・生徒に伝えること。さらに、今後も「つくる会」系教科書を採用せず、公教育が侵略戦争の美化・肯定を行うようなことは一切許さないこと。
- 市が実施しているリサーチプラン学力テストはムダである。一人一人の児童生徒の学力動向については、現場の教員が十分把握できていることから、直ちに中止すること。
- 2012年秋、文科省は2013年度から順次35人学級を導入するとしていたが、安倍政権になった途端、その方針が棚上げされた。一人一人の子どもに行き届いた教育を保障する「少人数学級」を進めるため、市教委として「少人数学級推進計画」の着実な実施を国に求めること。その上で、義務教育全期間にわたる30人学級の実施に向け、必要な正規教職員の確保や施設整備に対しても、国に必要な対応を求めること。
- この間「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」により規制をはかるとしてきたが、児童生徒数の推計の甘さとともに「要綱」での指導の限界により、特に高木小学校区では深刻な教室不足をきたし、新設校の整備を余儀なくされた。教室不足対策だけでなく、保育所なども含めより良い市民生活を保障する、実効性ある規制をはかるため、都市局と連携し「要綱」を「条例化」すること。
- 学校配分予算はこの間、長期に削減されてきたことから十分回復していない。思い切って大幅増額すること。
- 学校現場において、事務職員による多額の準公金使い込み事件があった。この背景には、特定の事務職員に全権を任せ、また監査については多忙を極める教員を充てていたことも指摘されている。今回の事件を教訓に、金銭管理担当者の複数配置や外部監査の実施など、再発防止に全力を挙げること。
- 行き届いた教育のための人的配置等について
- 児童生徒数や学級数に見合う正規教員が県教委で確保されていない。定員についてはすべて正規教員で確保するよう、県に強力に求めること。また、非常勤講師の加配分についても、適性に行われるよう要望すること。
- 臨時教員や非常勤講師については、有期雇用で「官製ワーキング・プア」と言われるような実態がある。このような非正規教員の処遇を大幅に引き上げるよう、国・県に強く求めること。
- 中学校における教員のクラブ活動へのかかわり方は、その献身性に大きく依存しており、心身ともに大変な負担となっている。早急な改善を図ること。
- 市独自でプール指導時の補助員や中学校の理科・技術家庭科の実習助手など現場の声を聞き確保すること。
- 労働安全衛生基準に基づいて、教員の更衣室、休養室の設置を進めること。
- 「教員評価」「不適格教員」制度や「教員給与の格差付け」については、国に廃止を求めること。
- 教育費の家計負担の軽減について
- 公立高校授業料の無償について、所得制限を持ち込むなど「見直し」の動きが強まっている。引き続き無償を堅持するよう強く国に求めること。私立高校についても無償化・負担軽減を求めること。
- 義務教育無償の原則にも関わらず、その対象は授業料や教科書などに限られている。給食費の無料化を開始した自治体もあり、制服代、ドリル代、修学旅行積み立て、クラブ活動経費など保護者負担の無償化を国に求めること。
- 不況が深刻化しているにもかかわらず、生活保護基準の切り下げが強行されている。就学奨励金については連動して対象者を狭めないこと。また、就学奨励金の一層の所得制限緩和を行い、利用しやすくすること。申請手続きについては保護者が希望する場合、直接教育委員会でも行なえるようにすること。
- 奨学金制度については給付制奨学金の創設を、国や県に早期実現を要求するとともに、市独自の制度についても創設、拡充すること。
- 世界一高い大学、専門学校などの学費についても、負担軽減を国に求めること。
- 学校園施設等の整備、改善について
- 長期的な学校施設改築計画を立てとりくむこと。また、各学校からの改修要望にはただちにこたえること。
- 今年度から2か年で中学校普通教室にエアコンが設置されるのに続き、小学校でも次年度から順次設置されることになった。小学校への設置については、できるだけ前倒しに事業を進め、さらに幼稚園についても早急に設置すること。
また、災害時の避難所となっている体育館へのエアコン整備もすすめること。
- 道路や鉄道、航空機などの騒音対策で設置されたエアコンの老朽化が進んでいる。早期に改修計画を立て、順次更新すること。
- 学校のトイレは、現代の生活様式に見合った洋便器への改修・改善をすすめること。また、委託業者による清掃は効果も大きいことから、全体として回数を増やすこと。危険を伴うガラス清掃についても、少なくとも各校年1回は実施すること。
- エレベーター設置は、財政状況を理由に全校設置が進んでいない。予算を大幅に増やし、一気に整備すること。
- 温水シャワーを全校に設置すること。
- 学校図書教育を充実させるためには、「いつ行っても図書の先生がいる」という状況が必要である。学校図書館指導員の配置を行っているが、限定的である。先進市に学び、早期に専任の司書教諭を市費で全校に配置すること。
- 幼稚園教育について
- 「西宮市幼児期の教育・保育審議会」の中間報告では、市内を13の小ブロックに分け、現在21園ある公立幼稚園を8園廃止し、原則1ブロック1公立幼稚園を配置するという内容になっている。またこの間「休級休園規定」を見直し、定員に満たない年次が続く場合には廃園にするとしている。これは、市教委が「公私共存」といいながら、実際には、私立幼稚園の園児確保を前提に、公立幼稚園を調整弁にしている結果である。公立幼稚園の存続意義は、これまでの歴史からも明確である。希望する市民の声を尊重し、希望者全員の受け入れを行うこと。
- 要望の強い「3年保育、延長保育、子育て支援事業」等々を公立幼稚園で実施すること。
- 私立幼稚園就園奨励助成制度における所得制限は撤廃し、奨励金もさらに増額すること。
- 障害のある子どもたちの教育条件を改善するために、以下のことを取り組むこと
- 肢体不自由児通園施設「総合療育センター」の整備に合わせ、「西宮スクーリングサポートセンター」が合築される。他市の先進例を参考にするとともに、特別支援教育の拠点施設として、現場の先生方の意見を十分反映させること。
- 特別支援教育においては、専門家も含めたマンパワーが必要である。子どもたちの障害の複雑化に対応するため、市費による教員もさらに増員すること。
- 特別支援教育支援員が全学校に配置されているが、2011年度から県教委の補助金が打ち切りとなり、全額市費により継続している。県に対し、補助金の復活と実態に応じて複数配置を求めること。さらに、専任のコーディネーターや医療職員を配置すること。
- 配慮の必要な児童・生徒を介助するなど補佐する役割を持つ学校協力員については、ボランティア的存在におかれている。教育委員会として、身分を明確にした対応策をとること。
- 障害認定がなくても、配慮を要する子どもが増えている。一人一人の障害種別や程度が複雑多様化していることに、教育環境が現時点で十分とは言えない。引き続き教員加配など必要な手立てをとること。
- 西宮市立養護学校への児童生徒が近年増加している。設置基準がないことから、一人一人に見合う教育環境の確保が疑問視される。また施設も老朽化しており、今後のハード整備やソフト面での課題を検討し、方向性を明らかにすること。
- 養護学校の送迎バスは2013年度から3台が民間委託となった。重度の障害のある児童・生徒の送迎については、2014年度以降は直営に戻すこと。
- 高校教育について
県教委は、全日制普通科の通学区域を現行16学区から5学区に統合・拡大することを強行した。これにより西宮市は阪神・丹波学区に統合されることになった。さらに市教委も強く要望していた「その他校」存続についても退けられた。学区拡大は競争を激化し、遠距離通学による経済的、身体的負担の増大を招くとともに、「地域の高校」という特徴がなくなるなど多くの問題点が指摘されている。このような通学区の広域化は中止するよう県に強く要望すること。
- 西宮市の小・中学校での学校給食は、"直営自校方式"で実施され、食育の観点からも、子どもたちの健康と成長を守る上でも大きな役割を果たしている。次のことを実施すること。
- 将来的にも「直営自校方式」を堅持すること。
- 正規調理員を基本とした人員を確保すること。また、同じ職務にありながら嘱託、新嘱託、臨時等で勤務時間の差とともに賃金格差がある。早急に関係団体と協議し、整理改善すること。
- 「米飯給食」を自校炊飯できるよう施設整備をすすめること。米粉パンについても実施すること。
- 食物アレルギーのある子どもが増加している。アレルギー除去食の完全実施を行うこと。
- 現在、児童生徒数550人以上の学校に1名の栄養教諭が配置されているが、食育の観点からも栄養教諭を全校に配置するよう県に求めること。
- 給食費の無料化について、検討すること。
- "西宮市人権・同和教育協議会"は、あらゆる人権問題の早期解決をめざすとしているが、同和教育に大きく偏っている。廃止すること。
- 核家族や社会環境の悪化などのもと、子どもたちが心豊かに健やかに育つためには、「遊び場」や「居場所」の確保は大変重要であるが、十分とは言えない現状がある。遊び場や居場所の増設をすすめること。
- 図書館について、以下のことに取り組むこと。
- 正規司書職員を増員することで、開館日の増や時間延長等を実施すること。
- 拠点図書館については毎日開館すること。また開館時間についても、一定改善されているが、特に北口図書館は勤労者が利用できるよう午後9時までとし、必要な人員を確保すること。
- 引き続き地域図書館の整備を進めること。要望のある津門・今津地域には、教育会館等も視野に入れ検討し、甲陽園地域にも地域図書館を設置すること。
- 分室については、市民に最も身近な図書館であることから民間委託から直営に戻すこと。
- 人気の図書は予約しても、1年以上待たなくてはならないなど市民からの苦情がある。蔵書予算を増額し、市民の「読みたいとき」に対応できるようにすること。
- 公民館については、社会教育施設としての重要な役割がある。現在、公共施設マネジメントの見直しとして、多くの地域集会施設と同列視した統廃合が検討されているが、公民館の歴史的役割、経過も踏まえ、安易な施設の切り捨てを行わないこと。
- 市民のスポーツ要求に応えるため、以下のことに取り組むこと。
- 民間スポーツ施設が市内に増えているが、料金も高く利用できない市民も多い。サンアビリティーズのような、低料金で手軽に利用できる公的スポーツ施設を抜本的に増やすこと。
- 市民要望の強い温水プールを整備すること。