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2014年度当初予算編成に対する申し入れ
2013年08月30日

都市局


  1. 今年、西宮市は、文教住宅都市宣言から50年、環境学習都市宣言から10年を迎えた。50年間の市民と行政のまちづくりの取り組みが評価もされている。この蓄積をふまえ、豊かな自然環境や住環境を保全し、文教住宅都市にふさわしいまちづくりを行うこと。同時に、阪神淡路大震災を経験した市として、東日本大震災の教訓をいかし、安全で安心な災害に強いまちづくり、環境にやさしいまちづくりを実践すること。

  2. この間、西宮市は児童急増対策として、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとってきたとしているが、効果がなく後退している地域すらある。これは、教室不足にとどまらず、保育所や特養ホームなどの施設の不足もまねいている。開発抑制のための抜本的対策をはかるために以下のことに取り組むこと。

    1. 早急に教育委員会と連携し、義務教育全期間の30人から35人学級に対応できるよう、マンション開発などの規制をするために、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を条例化すること。また、教室不足だけに着目せずに、保育所や福祉施設なども視野に入れたまちづくりという視点に立ったものに強化すること。

    2. 建て替えをした小学校区においては、教室不足が解消されたとして要綱の緩和が行われているが、逆に開発を促進することになる。市全域を「準受け入れ困難地区」以上に規制すること。

  3. 開発指導について

    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」に基づく事業者による住民協議については、市として市民の立場に立ち事業者の指導を徹底すること。

    2. 開発区域への進入路が6m未満の場合の開発については、戸数制限を導入したが、不十分である。開発を規制すること。

    3. 500m2未満の開発は近隣協議の対象とはならないことから、同一事業者が開発時期をずらし、結果的に500m2以上の開発を行うなどの「開発のがれ」の事例がある。全体空地(開発区域)を一体のものとして指導対象にするなど、対応策を早急にたてること。

    4. この間、『大規模開発に伴う協力要請に関する指針』を改訂し、対象範囲として、5ha以上を2haに、300戸以上を200戸以上にするなど、一定の規制強化をしている。一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供を求めるとともに、開発によって市に整備が求められる教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。

  4. 生産緑地は都市部での緑地の保全だけでなく、災害時の避難場所等の多面的役割を果たしている。この間、相続税を払えないなどの理由で生産緑地の解除が年々進んでいる。一度こわした農地を元に戻すのは大変であるとともに、緑地の減少にもつながる。生産緑地の保全を営農家だけにまかせるべきではない。
    この間、生産緑地の追加指定等にも取り組んでいるが、国にも働きかけ、生産緑地拡大にむけて、指定にかかる面積要件500m2を縮小するなどの手立てを取ること。

  5. 第4次総合計画の見直し案の中で、「名神湾岸連絡線の計画の具体化などを国に要請する」と明記している。しかし、これは不要不急の公共事業であるとともに環境悪化につながりかねない。直ちに撤回すること。

  6. 第4次総合計画の見直し案で、「阪神西宮駅について民間主導の駅前整備に向けた検討を行う」としているが、不要な事業である。撤回すること。

  7. 阪急神戸線の武庫川部の新駅設置は、多大な市の負担が生じることから、検討については慎重に進めること。

  8. JR甲子園口駅北側は、歩行者、自転車、バスが交錯し、大変危険である。ロータリーの改善など駅前広場の再整備を早期に検討すること。

  9. 阪神甲子園駅のバリアフリー駅舎改築及び駅周辺整備については、2017年度完成予定で、2013年末には西側エレベーターが整備される。安全対策は万全にするとともに、阪神電鉄(株)任せではなく十分地元の意見を聞いて進めるよう、引き続き市として責任をもって関与すること。

  10. JR西宮名塩駅は2013年度、エレベーターが整備される。現在、改札口までの駅外には上りエスカレーターしか設置されていない。下りエスカレーターを設置するよう、引き続き関係機関にはたらきかけること。

  11. 市民生活を支援するための公共交通の充実を図ることが求められているが、遅々として進んでいない。特に、地域交通の柱となるバス交通については、高齢者の社会参加促進とともに、通学区がますます拡大する高校生の通学保障の面からも拡充が急がれる。以下の項目に取り組むこと。

    1. 今秋、臨港線を経由し西宮浜と阪神甲子園駅を結ぶ新規路線が予定されるなど、バス会社との協議で新たなバス路線や運行経路の変更などが行われている。今後も住民要望に基づく路線開拓に努めること。

    2. 北部の住宅開発地区では高齢化がすすんでおり、生活圏が広域で高低差があることから公共交通の整備が不可欠である。生瀬地区では住民によるボランティアバスが運行され、コミュニティ交通導入にむけ、「ぐるっと生瀬運行協議会(準備会)」が設置され、前進している。地域住民まかせではなく市が主体性をもってコミュニティバス運行等を進めること。

    3. 南北バス(さくらやまなみバス)については、基金が底をついたものの、市が財源補填をする形で継続運行することとなった。今後も、効率的な経営につとめ、市が責任をもって運行を継続させること。

    4. 交通不便地域については、それぞれの地域でのニーズや課題を深める努力が不十分である。交通不便地域対策の予算を増額して公共交通政策に生かすこと。

    5. 現在、バスを乗り継がなければ目的地に到達できない場合の「乗り継ぎ」割引制がないため市民や高校生の負担が大きい。同じバス会社の乗り継ぎとともに、阪神バスと阪急バス相互に乗り継ぐ場合も運賃が割引となるよう、市は関係者と協議を行うこと。

  12. 西宮市の南部と北部を結ぶ西宮北有料道路(盤滝トンネル)は、住民の要望や議会の取り組みを経て、兵庫県は3年前倒しで無料化実施の方向を示した。しかし、収益状況からも、もっと早い時期に無料化は可能である。「無料化にあたっては損失補填引当金の活用ができる」という国の見解が明らかになっているにもかかわらず、活用することになっていない。加えて、無料化までに前例のない大規模改修を行うことになっており、無料化を遅らせる阻害要因となっている。
    兵庫県と県道路公社との協議においては、より早期の無料化を求め、あらゆる可能性を追求すること。

  13. UR(都市再生機構)による浜甲子園団地の建て替え事業が行なわれている。長期にわたる事業であり、まちづくりに対する市の主体性が求められる。以下の点に取り組むこと。

    1. さくら街に続き、なぎさ街が完成した。新たに特養ホームが設置され、戸建住宅も計画されている。今後の課題は、残る団地の建て替えとともに、幼稚園・保育所・集会施設、商業施設等の整備である。早期に整備計画が示されるようURと協議をすること。

    2. これまでの建て替えでは、多様な住民の要望、意見が十分に取り入れられなかった。多数の住民の意見が反映されるような場を設けること。

    3. 戻り入居者は高齢者が多く、一定の配慮はされているものの、高くなった家賃負担は深刻である。家賃の引き下げをURに求めること。

    4. 建て替え前の団地街は、道路・通路なども老朽化が進んでいる。この間、一定の道路補修が行われたが、大きな段差などは生活に支障がでないようURと協議の上、全体計画工事前であっても早めに補修などに取り組むこと。

  14. 市営住宅について

    1. 市は現在約9,600戸の市営住宅を1,000戸減らす内容の「西宮市営住宅整備・管理計画」を策定した。貧困と格差が広がり、不況が追い打ちをかけるなか、年々市営住宅への入居希望者は増大している。福祉的観点からも市営住宅削減計画は撤回し、市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。

    2. 市営住宅の管理について、この間指定管理者制度を導入し、今年度より北部、中部、南部管理センターとして地域を分け、指定管理者を選定、募集業務は北部管理センターが行なっている。しかし、市営住宅は福祉的な対応が求められるが、指定管理者では、入居者の様々な要求や相談に、迅速かつ責任ある対応ができない。しかも、2013年度からの指定管理者選定において、北部センターの指定候補に不祥事があることがわかり、議案を取り下げ、前期の指定管理者が1年間のみ継続して指定管理者とする措置をとる不測の事態を招いた。このことも踏まえ、市営住宅の管理は市直営に戻すよう検討すること。

    3. 空き家募集の際、多回数落選者優先制度を復活させること。

    4. 階段型市営住宅のエレベーター未設置住宅には市が責任をもって早急に設置すること。その際、エレベーターの電気代(年間、1機当たり約6万円)については、個々のドアまでは公共空間という観点に立ち、電気代徴収をやめること。

    5. 市営住宅の共益費徴収については住民間のトラブルのもととなっている。改良住宅では、共益費の負担はない。福祉的な観点からも、公平性の観点からも、共益費廃止で統一するよう検討すること。それまでの間は、市が責任を持って徴収すること。

    6. 一般住宅と改良住宅での住宅改修の基準の違いは、一部残されている。同一基準とすること。

    7. 風呂の補修や入れ替えについては、入居時に自ら設置したケースや復興基金を活用して設置した場合は自己負担で行わなければならず、入居者の大きな負担となっている。風呂も標準仕様という観点に立ち、改修や入れ替えについては市の費用で行うなど、早急に改善すること。

    8. 名義の承継について、「配偶者に限るように」との国の通知(指針・ガイドラインとして)があるが、これは低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き、市の現行方針で慎重に対応すること。

    9. 市営住宅団地自治会等の運営費や駐車場管理費の問題をめぐるトラブルが多く発生している。市は適切に指導するなど、責任をもって対応すること。

  15. UR(都市再生機構)借り上げ市営住宅については、兵庫県や他市が一定数の継続入居を認める方針を示す中で、西宮市だけが、URへの全住宅の返還、全員転居を求める方針となっており、入居者に大きな不安を与えている。入居者の高齢化が進み、転居そのものが困難なことと同時に、これまで築いてきたコミュニティに支えられて暮らしてきた入居者が住み慣れた住宅を離れることは、命に関わる問題となっている。直ちに方針を改め、希望者全員が継続入居できるようにすること。その際、第3者検討委員会を設置し、外部や入居者の意見が十分反映できるようにすること。

  16. 特定優良賃貸住宅制度は国が推進した施策であるが、年次的に補助額が減り、家賃が上がるため、空家が増加している。家主の収入減を都市整備公社が補填するため、市の負担も増えている。20年間の期限までは国の補助金を拡充するなど、国が責任を持つよう強く求めること。

  17. 青年や高齢者をはじめとする低所得者層に対して、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。

  18. 東日本大震災などにみられるように全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が求められている。県の耐震診断と耐震補強についての補助制度とともに、市の補助制度が上乗せされたが、個人住宅の耐震化を一層進めるため、さらに制度を拡充すること。

  19. 堀切町市営住宅跡地利用について、全体を公園に整備することが住民要望である。一部売却の方針は撤回し、早期に公園を整備すること。また、堀切川沿い市道の角切り拡幅整備ついては、住宅跡地利用と関係なく早急に整備できるよう、土木局と協議すること。