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野口あけみ議員、2012年度決算の反対討論行う
2013年09月30日

 ただ今上程中の決算認定のうち、認定第15号 2012年度(H24年度)西宮市一般会計及び特別会計歳入歳出決算認定の件について、日本共産党西宮市会議員団は反対します。
以下、討論を行います。

 2012年度は12月の総選挙で、3年4か月ぶりに民主党政権から自民党政権へと転換した年です。今年7月参院選の結果、自民公明両党で過半数を確保した安倍政権は、衆参でのいわゆるねじれを解消したとして、あらゆる分野で暴走を始めています。
来年4月からの消費税増税やTPPのゴリ押し、明文改憲は時期尚早と見たのか、集団的自衛権行使への解釈改憲、生活保護制度改悪を皮切りに、年金や医療、介護、保育と社会保障の改悪等々です。
そして、特に見過ごすことができないのが、福島第一原発事故現場でのとどまるところを知らない汚染水漏れをしり目に、原発の輸出や再稼働をねらっていることです。今議会では議員多数のご賛同をえて、わが党議員団が提案した福島第1原発の放射能汚染水対策で政府が責任を果たすよう求める意見書が採択されましたが、汚染水問題はまさに非常事態、緊急事態です。再稼働や輸出どころではありません。
 安倍政権の進もうとする方向と、国民多数の願いや声は明らかにねじれており、矛盾は深まるばかりです。日本共産党はこのねじれと矛盾を解決し、国民・住民の声が通る政治を実現させるために、国会内外、西宮市議会でも奮闘する決意をまず申しあげます。

 さて、2012年度決算は、一般会計、特別会計あわせて、歳入で2393億7800万円、歳出で2332億4900万円、翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は、57億490万円の黒字となりました。一般会計の黒字額は38億2000万円です。連続黒字記録は、34年となりました。

歳入の根幹である市税では、年少扶養控除廃止による個人市民税の増額が、16億7200万円、固定資産税・都市計画税は評価替えの影響で14億9900万円の減などで、3億8400万円の増。地方交付税は公債費の減に伴って7億4600万円の減額です。その他、歳入で前年との比較で大きいものは、土地開発公社からの貸付償還金57億7800万円の皆減、市債で東部総合処理センターの減額16億1900万円と、臨時財政対策債の発行抑制で16億2200万円の減、などです。
歳出では、土地開発公社健全化計画による用地買収費の皆減など投資的経費で、69億8600万円の減、
公債費は、1996年度発行の市債の内、災害復旧費や西部総合処理センター建設債が終了し31億1300万円減、貸付金で、西宮都市管理(株)貸付金が2011年度から長期貸し付けになり皆減で12億1300万円の減、繰出金は、国民健康保険特会へは7億3200万円増、介護保険特会へは、給付増で1億6100万円増、などです。
 市民要求との関連では、学校耐震化の促進とともにようやく中学校普通教室へのエアコン設置が具体化され、2013年、14年度で実行されることとなりました。なお、小学校については2012年当初はその時期について未定でしたが、わが党議員団の追及や市民の皆さんの運動で、中学校に引き続いて設置されることになったものです。地元中小業者の仕事起こしに一役買う住宅リフォーム助成制度のモデル実施、面積要件を堅持した上での保育所定員枠拡大、国民健康保険料抑制のために前年度の繰り入れ額2.5億円を4倍の10億円としたことなど、評価するものです。
 しかし、保育料の値上げや、福祉医療助成で所得制限の基準を保護者所得から世帯合算に変え、給付世帯を大幅に削減したことは、国による年少扶養控除廃止とともに、子育て世代に負担増を押し付けました。また、高齢者には、介護保険料の21%値上げ、後期高齢者医療保険料6%値上げなど、こちらも負担増です。勤労者世帯における年間平均所得は、1997年のピーク時の446万円から2012年度377万円と70万円減少しており、年金についても支給額が減額されている中、国による社会保障での給付減負担増が強行され、さらに消費税増税が実行されれば、市民の暮らしは壊されます。国の悪政を押し返し、地方自治体は暮らしの防波堤の役割を果たすよう強く求めておきます。

2011年度は思い切った土地開発公社の経営健全化計画が実行され、これが皆減となったことによって2012年度決算は、歳入歳出とも多少規模が縮小していますが、2012年度決算の一番の特徴として言及すべき問題は、臨時財政対策債の発行抑制です。
ご承知のように、自治体が標準的な仕事をするために必要な地方負担の経費である基準財政需要額に対し、標準的な税率や徴収率などで計算した自治体の税収などの収入が足りなければ、国から地方交付税が交付され、財源補てんされます。先ほども申し上げたように、2012年度、西宮市では公債費の減によって基準財政需要額が減額となり、交付税減の要素となりました。また、本来足りない財源は全額地方交付税で交付されるべきところを、国は地方に臨時財政対策債という、いわば「立て替え」の借金をさせ、後年度の元利償還の際に「交付税」の計算に上乗せするという「後払い」の仕組みを持ちこんでおり、財源不足は交付税と臨時財政対策債の合計で補てんするということになっています。
ところが市は、2012年度の臨時財政対策債発行可能額が75億9000万円であるのに、収支状況を見て60億400万円とし、16億円減額しました。市の言い分は、「臨財債も借金であることに変わりはなく、不要な借金をして黒字額を増やす必要はない」というものです。確かに、決算での一般会計の黒字は、38億2000万円です。これに臨財債を予定通り発行していれば黒字額は54億円となります。
しかし、先に申し上げた通り、臨財債は本来地方交付税として交付されるべきものであり、自治体に保障された一般財源は、地方税収と地方交付税、臨時財政対策債の合計です。これを事実上54億円も余らせるということは、予算執行、さらには予算編成において、必要な施策・事業に十分取り組めていない、もっと取り組むべきだったと言えるのではないでしょうか。この点を第一の問題点として指摘しておきたいと思います。
第2の問題点として、枠配分予算について述べます。数年来市は、予算編成について予算の一部を枠配分予算として予算編成権を委譲し、各局がその責任と判断で自主的に行うという方針であたっています。大変耳ざわりはいいのですが、では、各局が自由裁量で柔軟な予算編成ができているかといえば、そうでもありません。2012年度の枠配分予算は前年度並みの指示で編成されました。 
投資的事業や、扶助費、人件費、繰り出し金などは枠配分予算外ですが、前年比で枠配分予算が増えていなければ、局で何かを重点的に行いたい、あるいは新規施策を行いたいとなれば他を減らす必要があります。実際、たとえば小中学校への学校配分予算は、児童生徒一人当たり額が1993年度の6割程度しかなく、「増やそうにも枠配分予算の中で厳しい状況だ」と教育委員会は答弁しています。枠配分予算を増やすか、議会からも指摘されることが多い、重点的にすすめるべき施策・事業は枠の外の個別査定予算とすべきです。今年度の枠配分予算は前年比5%カットということですから、ますます厳しいというのが現状でしょう。新年度予算編成に当たっては、この点の改善を求めます。
まず、市長の政治姿勢につながる財政運営上の問題点について以上2点を指摘しましたが、当年度黒字の2分の1を基金に積み立てると、基金残高は200億円を超えることになります。当局は安定した財政運営を行うためには少なくとも100億円以上の基金残高を確保したいとしていますが、優に超えおり、また、市債の償還も順調に進んでいます。確かに経済の先行きは不透明ですが、市当局以上に暮らしの先行きに不安を感じているのは市民です。豊かな安定した財源を、今後もムダな大型公共事業などにはつぎ込まず、市民の暮らしや福祉向上に有効に活用するよう、強く求めます。

以下、具体的な事業・施策について、反対箇所、問題点、意見を述べます。
1点目は、UR借り上げ住宅問題です。現在市が進めている市営住宅整備管理計画は、10年間で1000戸削減し、管理戸数を8600戸にしようとするもので、低廉な公営住宅への入居を希望する市民の願いを踏みにじるものです。直ちに計画を撤回すべきです。この削減計画を前提にしたUR借り上げ住宅の返還と入居者全員の転居を求める市の方針は、入居者に大きな苦痛と負担を与えるものとなっています。阪神淡路大震災の被災自治体の中で借り上げ住宅からの全員退去を求める自治体は西宮市しかなく、突出して冷たい姿勢となっています。現方針は撤回し、希望する入居者全員の継続入居を認めるべきです。直ちに方針の転換を求めるものです。
2点目は、食肉センターについて、毎年1億円を超える税金を投入し続けていることに反対です。分科会では、「事務事業評価結果報告書に、阪神間に安心・安全な食肉を提供しているとの記述があるが、事実はどうか」との質問に対し、産業文化局長は、「食肉センターで解体処理される食肉の流通経路についてはつかめないのが実情」と答弁しました。西宮市内はおろか、阪神間への流通さえ分からないとされたのです。多額の税投入にもかかわらず、市民にとってのメリットはほとんどないことが明らかとなりました。
さらに、稼働率92%の当センターを廃止した場合、稼働率50%未満の県下の他施設での処理が可能かどうかの質問には明確な調査に基づく答弁はありませんでした。保冷車や冷凍車の発達など流通革命が起こっている今日、市内食肉関連事業者への解体枝肉などの提供搬入はどこからでも可能となっており、西宮に食肉センターが存在する理由はなくなってきているといわなければなりません。今、来年度の指定管理者の選定作業が進められていますが、一刻も早く、食肉センターの完全民営化もしくは廃止とした「提言」に沿った決断を下すよう強く求めます。
3点目は、第4次総合計画の中間見直しについてです。現在、12月議会での議決めざして、4次総後期計画の見直しが進められています。この場では、大きく3点の修正を求めます。1つ、「名神湾岸連絡線の計画の具体化などを国に要請する」こと、2つ、「阪神西宮駅について民間主導の駅前整備に向けた検討を行う」こと、この2項目についてはいずれも不要な事業であり、撤回を求めます。そして3つ、「市立西宮養護学校の早期移転新築についての検討」を追加すること。本議会の一般質問で我が党の質問に、明確に移転新築の方針が示されたことから、当然4次総に盛り込むべきです。
次に、4点目は、公共施設マネージメントについて。公民館、市民集会施設、共同利用センターなどの適正配置について、現在「西宮市公共施設適正配置審議会」で議論されており、2014年度末には一定の結論が出されることになっています。これらの施設は社会教育法などの根拠法に基づき設置されたものであり、多くの市民に利用されていることは周知のことです。老朽化による維持管理費の増大が今後予測されていますが、たとえば利用率だけで機械的に統廃合が決められるようなことがあってはなりません。地域住民の方々の声や、地域の状況などを十分勘案して進めることを要望します。
5点目は、住宅リフォーム助成制度について。この問題も我が党の一般質問で、地元業者の仕事起こしへの寄与や経済波及効果など市当局も認められたところです。新年度から予算規模を拡大して本格事業として実施することを求めるとともに、今年度での補正増も求めます。
6点目は、介護保険と高齢者福祉施策についてです。今、介護保険法の改悪が取りざたされています。要支援者へのサービスを保険から外す、特養入所資格を要介護3以上に限定する、一定所得の利用者の利用料負担2倍化等々ですが、どれもが給付費の削減だけを目的にした介護保険を形骸化させるものです。これら国の改悪については「反対」の立場で、保険者として言うべきことを主張していただきたいと思います。
そして、仮に改悪が強行されても、たとえば、必要性が認められた介護保険非該当の方に専門家による介護サービスを提供している西宮市では、介護が必要だと認定されている要支援の方に、間違っても国が言うようなボランティアで対応するなどということがないように、現行サービス水準を後退させないよう、知恵を絞り、あらゆる手立てを講じることを求めます。
7点目、国民健康保険会計について。国保についても国の果たすべき責任を縮小放棄する広域化などの動きがあるなかですが、誰もが安心して医療にかかれる制度にすることを目指すべきです。 
高すぎて払えない保険料について市は、市民の声を反映させ、2008年度から年間2億5000万円、2012年度から10億円の一般会計からの繰り入れをおこない、一定保険料を抑制してきました。新年度も引き続き保険料抑制及び減免拡充のための一般会計からの繰り入れを継続するとともに、「払える保険料」まで引き下げることを目指して、繰入額の増額を求めます。
最後、8点目は、水道事業および下水道事業会計についてです。我が党議員団は、これまで繰り返し水道料金の引き下げと、基本料金制の見直しを求めてきましたが、このうち「水道料金体系の見直しについて」は、7月10日、西宮市水道事業経営審議会から「基本水量制を廃止すべき方向を目指すことは妥当」との答申が示されました。この答申に基づいてただちに、使用量が月10㎥以下の世帯の水道料金を現在の基本料金から使用量に応じたものし、軽減を図るよう求めます。あわせて下水道料金についても同様の取組みを求めます。
また、約24億円の内部留保資金を活用し、全体の水道料金引き下げを求めるものです。その際、鯨池浄水場跡地の売却益は、水道会計にとって重要な財源となることから、早期に跡地利用を具体化し、財源化できるようすべきです。

 以上、新年度予算編成や行政方針に生かしていただきたいことを述べました。分科会でも党議員団は多くの点で意見を述べています。これらを真摯に受け止め、予算案に反映させていただけるよう求めて、日本共産党西宮市会議員団の討論とします。