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野口あけみの一般質問
2013年12月11日

介護保険「改正」について


1、介護保険「改正」について
 このたび、2015年度の介護保険法改正に向けた、厚生労働省社会保障審議会部会の意見書素案が明らかとなりました。今後、素案は20日に意見書となり、同省はこの意見書をもとに政府案をまとめ、来年の通常国会に介護保険法改正案を提出する見込みとなっています。
 素案には、世論に押されて一部方針変更はあるものの、「持続可能性の確保」を理由に、手当たりしだいの給付減と負担増が盛り込まれています。
 その内容は、
 @全国で150万人が利用する要支援者向けの介護予防サービスのうち、訪問介護(ホームヘルプサービス)と通所介護(デイサービス)を、市町村が行う新たな総合事業に移行。ここでは事業費に上限を設け、NPOやボランティアの活用などで今よりも安い費用でサービスを提供するとしています。素案にまとまる前には介護予防サービス15種類全部を市町村事業に移行するとしていましたが、全国の市町村や国民の反対に押されホームヘルプとデイサービスのみにしました。
 A特別養護老人ホームへの入所については要介護度3以上に限定する一方、これも国民の批判を受けて、要介護1,2でも「特養以外での生活が著しく困難」な場合は例外を認めるとしました。
 B利用料については現行1割負担を、一定の所得がある人については2割負担に引き上げ。しかし対象となる所得基準は示されず、いまのところ65歳以上の20%を占める「年金収入で年280万円以上」の所得層が有力とされています。
 C特養に入所している低所得者に対する居住費・食費を補助する「補足給付」については預貯金が単身で1000万円以上、夫婦で2000万以上あれば対象から外す、などです。
 社会保障審議会部会での議論でも、認知症の人と家族の会副代表からは「社会保障の向上や増進と真逆の方向。市町村事業は軽度認知症に有効なサービスではない」、また、訪問・通所介護を丸投げされる全国町村会長からは「町村では民間参入は全くない。実態とかけ離れたことをやられても困る」などの意見が出されています。
 これら、安心できる介護を求める願いに背を向け、公的保険としての責任を投げ捨てる大改悪を許すわけにはいきません。


 具体的質問です。
 1、全国町村会は11月20日、道州制反対決議、TPPでの重要5項目などの聖域確保決議などと合わせて、介護保険制度ではサービスに格差が生じないよう国が責任を果たすこと、特別養護老人ホームから締め出される高齢者に対する受け皿確保を求める決議を大会で採択しています。
 市もこのたびの大改悪には反対の意思を示すべきだと考えるがどうか。
 2、先に述べた意見書素案の内容を西宮市民にあてはめた場合、影響はどのように及ぶか。
 3、要支援1,2の方の訪問介護、通所介護が市町村の総合事業となった場合、市はどのように対処するつもりか。
 4、2005年の介護保険法改正で、「地域包括ケア」の考え方が示され、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、「地域包括ケアシステム」の構築をめざすとされていました。
 「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が住み慣れた地域で尊厳のある生活を継続することができるよう、要介護状態になっても高齢者のニーズや状態の変化に応じて必要なサービスが切れ目なく提供されることをめざすものです。そのために市は、介護予防や、相談体制の充実、権利擁護・認知症支援、介護サービスの充実などにとりくむとしています。
 「施設や病院でなく、最後は畳の上で」との願いは高齢者の多くが抱いている思いです。この方向を目指すことに異論はありませんが、ただ、今の日本で、要介護状態の高齢者が、最期の時期を施設や病院でなく自宅で迎えられるような医療や介護のサービスが提供できるのでしょうか。
 そのための切り札、柱とされた「24時間地域巡回型サービス」は全国の自治体の内、1割程度の導入であり、西宮では実施する事業者は皆無の状況です。サービスが普及していない原因と、今後の市としての対策についてお聞きします。
 また、厚労省社会保障審議会の介護保険法改正議論の中ではこの「24時間地域巡回型サービス」についてどのような議論があり、具体策が決められたか、おききします。