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野口あけみの一般質問
2013年12月11日

公立幼稚園のあり方について


2、公立幼稚園のあり方について
 今年7月31日、西宮市幼児期の教育・保育審議会から西宮市の幼児期の教育・保育のあり方について、答申が出されました。3年間にわたる審議の結果、その内容は多岐にわたり、なかには公立保育所の縮減や公立幼稚園保育料の値上げなど、見過ごせない問題も多く含まれていますが、本日の質問は、公立幼稚園のあり方について、にしぼりたいと思います。
 教育委員会は答申を受け、「公立幼稚園のあり方」については、来年度、2014年度中に方針を公表したいとしています。しかしすでに答申を先取りして、当面、市内を13ブロックに分け、1ブロックに原則1公立幼稚園とするべく、休級休園規定を改定して、浜甲子園幼稚園は今年度休園、2017  年には今津幼稚園の休園を進めてきました。
 私立幼稚園がそれぞれ、建学の精神に基づいた教育課程で、特色ある幼児教育を提供している一方で、公立幼稚園は全園同一の教育課程に基づいた、いわば標準的な幼児教育を提供しています。  
 子どもを持つ片働きの親ごさんにとって、子どもが2歳ぐらいになればあるいはもっと早くから、幼稚園をどう選ぶか、幼稚園そのものに無事入れるのかが重大な関心事となっています。市内の幼稚園の数は決して少なくないとはいえ、希望の幼稚園に入るのは至難の業なのです。今年6月議会のわが党佐藤議員への答弁にあった通り、市は、「保護者が公立私立を問わず、入園先を検討し、選択できるようにすることが大切」です。そのためにも市は選択肢を減らすのではなく、公立の特質に応じた幼児教育を、市民のニーズに応じていっそう進め、私立についても支援をはかるべきです。
 西宮における公立幼稚園は、まず5歳児保育(1年保育)から出発し、後に父母の要望から4歳児保育(2年保育)を開始したという歴史的経過があります。現在ある公立幼稚園20園は、用海、南甲子園は4歳児30人1クラス、5歳児35人も同じく1クラス、高木、大社は4歳児1クラスに対し5歳児3クラス、他の16園は4歳児1クラス、5歳児2クラスという体制です。ただし、高木のみ臨時的措置の最終段階として2014年度は4歳児が2クラス、5歳児3クラスです。このようにほとんどの公立幼稚園では4歳児クラスより5歳児クラスを多く用意しているという実態があります。
 しかし今、5歳児のみの1年保育を希望する保護者は圧倒的に少なく、5歳児クラスは募集定員を大きく下回っています。来春の公立幼稚園5歳児応募状況は、10月10日現在、全20園合計で1400人の定員に対し、4歳児からの進級予定数を含めても724人です。
 さて、公立幼稚園を減らせとする市議会での議論は、もっぱら「運営経費が高すぎる」「私立に比べて公費投入が多すぎる」というものです。答申でも公立幼稚園の運営経費については「正規職員採用の抑制の継続」「今後の園数の削減」などで、運営経費を見直していくとしており、H23年度決算をもとに、「児童一人当たり月額の公費投入と保護者負担の比較」数値も算出されています。
 しかし、数値の背景には、公立幼稚園では4歳児クラスよりも5歳児クラスを多くしているという体制にも問題があると考えます。5歳児のみの1年保育の希望が少ないにもかかわらず5歳児クラスを多く設け、35人を超えれば2クラスに編成することによって、運営効率を悪くし、公立幼稚園の一人当たり月額経費、公費投入額を引き上げている要因となっているのです。
 5歳児で35人以下クラスを編成していることは教育上必ずしも悪いことではないと私は考えますが、多くの私立幼稚園が定員以上を受け入れて窮屈になっている状況と比較すれば、格差がつきすぎており、また、本来の意味での効率の点からも改善の余地があると考えます。


 そこで質問です。
 1、公立幼稚園の教室を最大限有効に活用し、4歳児クラスを2クラスにし、できるだけ5歳児クラスと同数にした場合、一人当たり月額経費、公費投入額はどうなるか。
 2、一人当たり月額経費、公費投入額の多くを占めるのは、公立も私立も人件費です。公務員の人件費が高すぎるという攻撃は幼稚園のみに向けられているものではありませんが、どれも民間と比べて高いという比較論です。民間の人件費が果たして人間らしい生活を維持していくにふさわしいか、妥当であるのかについては、いつも不問に付されています。私は、公立が高すぎるのではなく、民間が低すぎると考えるものですが、そのことについてはここではいったんおいておきます。
 幼稚園の公立私立における人件費の差が開いている要因はこの賃金の差とは別に、職員の平均年令の差があります。公立は43.0歳、私立で34.1歳ですが、この開きは平均勤続年数の差でもあります。
幼児教育を担ううえでキャリアは大切な要素でありその観点と、幼稚園教諭は女性が多いわけですが、女性が働き続けられる職場づくり、男女共同参画の観点から、私立幼稚園の教諭の平均年齢、勤続年数の現状は妥当と考えますか。
 3、子育てへの不安が増大する中で、3年保育を求める声が多数です。そうした中で公立が5歳児のみの1年保育の定員を多く設定しているのは運営効率の点からも改善すべきです。公立幼稚園では、4歳児2クラス、5歳児2クラスと同数にし、まずは2年保育をしっかりと提供すべきではないか。そして、今後、3年保育や預かり保育に踏み出すべきではないか。