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上田さち子の一般質問
2014年03月05日

公契約条例の制定を


 私は、平成24年6月議会で、「公契約条例制定」を求めて一般質問を行ないました。今回は、その後の状況を検証する立場から質問をしたいと思います。
 さて、公共事業の契約について、昨今入札不調となるケースが重大な問題として伝えられており、本市でも例外ではありません。東日本大震災被災地における復興事業や東京オリンピックに向けた公共事業等で、建設関連の人手不足、さらに資材の高騰などが主要因とされています。この間、国土交通省は2回にわたり、公共工事設計労務単価を引き上げていますが、人手不足の背景には、長年にわたる建設労働者の劣悪な労働条件の問題から、人材育成が大きく立ち遅れているということもあるのではないかと思います。
 前回の質問は、市が公契約条例研究プロジェクトチームを設置し、研究検討を重ねた結果、西宮市では公契約条例の制定はしないが、その理念に沿った対応は可能だとした「報告書」を受けて行なったものです。特に、受注した事業者が労働者に対して支払う賃金がどうなっているのか、賃金台帳のチェックもなしで発注者責任をどのように担保するのかとの質問に、総務局長は「労働基準法など労働関係諸法令に基づき、労使で適切に処理されるべきもので、個々の労働契約にまで自治体が介入することは困難」「問題があれば当該労働者が労働基準監督所に訴えればよい」と答弁されたのです。 
 日本共産党西宮市会議員団は本年1月、公契約条例を制定している川崎市及び多摩市を視察してきました。学びたいことのひとつは、自治体が民間の労働契約に介入しているのか、いまひとつは賃金台帳の扱い方でした。条例化した両市では、@労働者は生活の安定 A事業者は適正な競争による経営の安定 B市民は安全かつ良質なサービスの享受を基本とし、官製ワーキングプアのないゆたかな地域づくりを実現させるとしていました。
 多摩市の条例では、市と受注者が相互に対等平等な関係にあることが大前提となっており、市による公権力的規制ではなく、契約原理による規制、すなわち公契約条例にもとづく案件であるとの理解のうえで契約し、その上で「賃金台帳」ではなく簡素化された「労務台帳」の提出を履行してもらっているとのことでした。条例で1時間当たりの「労務報酬下限額」を設定し、労務台帳には「労務報酬下限額確認」として基準額を超えていることを明記させています。ちなみに、業務委託や指定管理協定の請負契約では下限額は903円、工事等の請負契約では公共工事設計労務単価の90%以上を下限額に設定し、職種ごとに時間単価を決めていました。
 労務台帳は簡素化され、受注事業者の負担軽減を図るとともに、行政は受注者から提出される「労務台帳」をチェックしないことにしたため、多摩市では条例化に伴う人員増はなしということでした。

質問
  1. 前回の質問に対する総務局長の答弁では、条例化せずともその理念に沿った対応が可能とされました。具体的にこの間の取り組み及びその対応で、労働者の賃金をはじめ労働条件がどのように改善されたのか聞きます。

  2. 多摩市では、あくまで公契約条例にもとづく案件だと理解してもらったうえで事業者と契約を行い、条例で規定する労務報酬下限額、すなわち東京都の最低賃金である837円を66円上回る903円以上とすること、及び簡素化された労務台帳の提出を義務付けています。職員の増員をすることなく、一定の労働条件を確保するこの取り組みについての見解を聞きます。

  3. 阪神間で西宮市が率先して公契約条例の制定を行い、税金で仕事をしてもらう方々を官制ワーキングプアにさせない取り組みを行なうべきではないでしょうか。答弁を求めます。