日本共産党西宮市会議員団を代表して、私、杉山たかのりが一般質問を行います。傍聴のみなさん、ご苦労様です。
(1)まず、UR借り上げ住宅問題について質問します。
新年度2014年度は阪神淡路大震災から20年の年となります。市長は行政方針で「阪神淡路大震災から20年の節目にあたり、今一度あの当時を振り返るとともに、震災の経験や教訓を後世に継承し、市民や職員の防災意識を高めていきたいと考えております。」記憶の風化に懸念し、このように述べられました。しかし、UR借り上げ住宅の入居者にとっては、住み慣れた住宅を失うという点で、震災は続いていると言えるのではないでしょうか。
19年前の阪神淡路大震災時、復興住宅の建設が間に合わず、URから借り上げて、復興市営住宅としたわけですが、来年の9月末を借り上げ期限とするシティハイツ西宮北口を最初に、5棟の借り上げ住宅で、転居を強いる20年間の借り上げ期間が迫っています。
西宮市の基本方針は、借上げ期間満了時、URに住宅を返還し、入居者には他の市営住宅などへの転居を求めるというものです。2012年11月5棟447戸に、入居者382世帯だったものが2014年1月現在で、すでに、111世帯が、市の方針によって転居を余儀なくされています。
日本共産党西宮市会議員団は、入居者の命に関わる問題として、URから買い上げる、もしくは借り上げ期間を延長して、希望者全員が継続して入居できるようにするべきだと、繰り返し西宮市に求めてきました。
2年以上にわたって、この問題を本会議で取り上げてきましたが、現時点での到達点は、
・2013年2月20日、市長が記者会見を行い、要介護3から5、重度の障害、の方のいる世帯については要配慮世帯として、住み替え先を複数、事前予約し、希望する空住戸が決まるまで借り上げ満了時から5年間の住み替え猶予期間を設ける。
・2013年9月議会一般質問、私への答弁で「万が一借り上げ期間満了時において引越しできないような個別の事情がある場合には、市は無理に転居していただくことはできない」と、市は見解を述べました。
・2013年12月議会一般質問、わが党議員団のまつお議員への答弁で、「個別の事情に対して」「医療、介護、または福祉の専門家、弁護士及び住宅または都市問題の学識者などで構成する」「アドバイザー会議を速やかに設置する」「今後、要配慮世帯以外の住み替えの困難者が生じた場合、あるいは現在の基本方針に合致しない事例が発生した場合、などについて、意見やアドバイスをいただいて、新たな要配慮の判断材料にする」
の主に3点であります。
しかし、同じ被災地の借り上げ住宅に対する対応では、希望者全員の継続入居を認める宝塚市、伊丹市、一部の継続入居を認める兵庫県、神戸市と比べれば、西宮市は入居者に対して、最も過酷な負担を強いているのです。
質問
- 12月議会に示された「アドバイザー会議」とはどんな会議なのか、どのように運営されるのか、外部専門家とは何か、いつ設置されるのか、具体的にお答えください。
- 市長は行政方針で「要配慮者世帯の住み替え猶予期間を設ける」と述べています。先ほど申し上げたとおり、昨年2月20日、1年以上も前となりましたが、市長自身が、兵庫県や神戸市に先駆けて、記者会見までして示した方針です。もちろん継続入居を認める方針ではなく、わが党議員団や入居者自身も「良し」とするものではありません。しかし、それすら、1年経っても、なぜ、いまだに実施されていないのか。お答えください。すでに、要配慮世帯に該当する世帯まで転居しているとのことだが、何世帯なのか。借り上げ期限の最も早い青木町のシティハイツ西宮北口では、何世帯なのか。お答えください。
- 12月議会、「住み替え困難者が生じた場合」と、住み替え困難者を想定した答弁をされています。これは、当然、継続入居のできる新たな方針を早急に立てる必要があると思いますが、どうでしょうか。西宮市の指す「要配慮世帯」は、神戸市や兵庫県では、本来、移転困難者とされています。また、12月議会に提出された陳情者は、一人は90歳を超える高齢者、もう一人もともと市営住宅に住んでおられた方、これらの方は、当然、継続入居とするべきだと思いますが。
(2)次に、入居者の少なくなった住宅の管理についてです。
UR借り上げ住宅問題の中で、分かってきた問題です。
現在、市営住宅では共用部分の維持管理は、入居者に義務付けられています。共益費をあつめ、光熱水費の負担、清掃や除草などです。
市の市営住宅政策によって、借り上げ住宅や統廃合の住宅が募集停止になった際に、入居者数が減り、高齢化が進む中で、清掃が困難になるなど、従来の市営住宅における入居者による管理ができなくなる実態が生じています。例えば、共益費が不足し値上げをしたり、階段の電灯を間引いて点灯し、夜は暗くて危ない、清掃や低木など除草が入居者でできずに、業者委託の費用負担が重くなる、などです。
市は、政策空き家として公募を停止した住宅について、共益費の入居者負担が過重になることから、その軽減措置として、空き家が20%を超えた場合に、一定額の補助をするという「公募停止住宅共益費補助要綱」を定めています。しかし、9月議会の決算特別委員会建設分科会の中で、対象住宅、18住宅(団地)のうち、わずか1件しか助成を受けていないことが明らかになりました。なぜこんな事態になっているのかと質問をすると、「ホームページで知らせているが、申請がなかったからだ」との答弁でした。市が対象団地に説明をしなければ、申請されるわけはなく、「市の怠慢だ」との私の指摘に、「対象団地に説明する」との答弁がかえってきました。その後の状況については、後ほどうかがいます。
ただ、共益費の助成をすれば解決するという単純な問題ではありません。
現行の入居者による共用部分の維持管理は、借り上げ住宅や廃止予定の住宅の場合、究極的には、1世帯まで減る可能性もあり、入居者によって管理が不可能になるのは確実であり、市が直接管理しなくてはならない事態が必ず来ます。
そして、根本的には、市営住宅の入居者による管理は、若い世帯も入居していた時期からのやり方であり、高齢化がすすんだ市営住宅では、すべての市営住宅で問題になってくるのではないでしょうか。市による共益費の徴収や共用部分の維持管理は不可避だといえます。
質問
- 市の政策によって公募停止をしているのにもかかわらず、「公募停止住宅共益費補助要綱」が対象18団地のうち、わずか1団地しか適用されていませんでした。なぜこんな事態になったのか。また、その後、具体的にどんな対応をしたのか、お答えください。
- 私は、市の政策により募集停止となり、入居者が減ってきた住宅は、高齢化も顕著であり、従来の管理のあり方では対処できないのではないかと思います。具体的には、共益費の徴収や清掃など、共用部分の維持管理については、緊急に市の責任で行うべきだと思いますが、どうでしょうか。
- この際、全ての市営住宅の共益費の徴収や共用部分の維持管理は、市が直接、行うよう、早期に検討すべきだと思いますが。