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佐藤みち子の反対討論
2014年03月25日

2014年度西宮市一般会計予算 等


 議案第405号2014年度西宮市一般会計予算、議案410号2014年度西宮市食肉センター特別会計予算、議案第413号2014年度西宮市後期高齢者医療事業特別会計予算、議案第417号2014年度西宮市水道事業会計予算、議案第418号2014年度西宮市工業用水道事業会計予算、議案第420号2014年度西宮市下水道事業会計予算、以上6件について日本共産党西宮市会議員団は反対をします。以下理由を述べます。

 国の予算案の最大の問題は、国民に消費税大増税を押し付けていることです。消費税は、低所得者ほど負担が重く、経済的弱者を踏みつけにする不公平税制です。円安によって大企業の利益は急増していますが、労働者の実質賃金は低下し、家計消費が低迷し、物価上昇により、国民の暮らしはますます苦しくなっています。消費税で8兆円、社会保障の改悪などをふくめ10兆円もの負担増を国民に押し付ければ、暮らしは落ち込み、雇用の7割を支える中小零細業者の経営は破壊されます。政府は、消費税大増税の口実として、「全額社会保障に使う」といってきましたが、それが全くのごまかしであることは明らかです。消費税増税を直ちに中止し、経済政策を抜本的に転換すべきです。

 消費税の市財政の影響では、地方消費税交付金が1%から1.7%に増額になり理論上は70%の増額になりますが初年度は20%程度にとどまり2014年度の増税分は7億5千万程度になります。歳出では、工事請負費や委託料、その他物品調達にかかる経費等で一般会計・特別会計合わせて9億円程度増えることになります。市にとって恩恵はありません。市民にとっても水道や下水道使用料等に消費税増税分3%で負担増になります。
 国が一層の悪政を行うときその防波堤になるのが地方自治体であり、地方自治体の本旨に立って市民の命と暮らしを守るのかが地方政治に問われています。
 さて、新年度予算案ですが、国民健康保険料の引き下げに引き続き10億円の繰り入れ、住宅リフォーム助成制度の本格実施、精神障害保健福祉手帳2級保持者の医療費助成を入院のみから外来にも拡充、高齢者、母子世帯の医療費助成の市単独事業の継続等市民生活を支える施策が取り組まれるなど一定の評価をするものですが、1096億円にもなる一般財源と200億円を超える基金を有しさらに市民の暮らしを応援することは可能な財政です。

 市中心部に位置するアサヒビール工場跡地では10haのうちの3.8haを国の補助18億円を含む68億8750万円で買い取り、老朽化し、耐震対策が必要な公共施設、西宮中央病院、西宮消防署、中央体育館を移転新築します。合わせて1haの多目的・防災公園を整備する計画になっています。残りの民間開発については市が一定関与し、周辺地域に配慮して街づくりを進めます。市議団では、老朽化している公共施設の移転建替えについては妥当だと判断しています。西宮市にふさわしい街づくりを進めるために民間まかせではなく市が主導していくことを求めておきます。
 阪神・淡路大震災から20年を迎えます。残された問題であった「災害援護資金」の返済については、これまで2回、計8年間返済期限の延長がされてきました。東日本大震災では「返済期限から10年が過ぎても無資力状態にある人」の返済を免除する規定があり、県、市でも同様の取り扱いを国に求めてきましたが、国は「基本的には返済期限をさらに3年間延長する方向だが、この延長で最初の支払いから10年経過することになり、法律に基づき、東日本と同様の取り扱いをする」と3月12日に明らかにしました。日本共産党は、これまで国会でも議会でも繰り返しこの問題を取り上げ被災者住民とともに返済免除を求めてきたものです。
 
 以下具体的に反対箇所、問題点、要望を述べます。
1点目、UR借り上げ市営住宅の問題です。宝塚、伊丹市両市が継続入居の方針を示し、今兵庫県や神戸市では移転困難者と認め継続入居の方針を示している中で、西宮市は、全員の転居を求める方針に変わりありません。阪神・淡路大震災から20年、残されていた災害援護資金の問題はようやく解決の方向へと進みだしました。住み続けたいと願う住民に寄り添って知恵を出し財源も確保して継続入居を認めるのが市としての本来のあり方です。4月に設置される医療や介護等の外部の専門家を交えたアドバイザー会議で移転困難と判定されれば速やかに市の方針転換をすることを求めておきます。
2点目、議案第400号で討論したとおり、一律高校授業料不徴収制度をなくすことにより、新1年生138人から授業料を徴収することに反対します。
3点目、非婚のひとり親家庭の経済的負担を軽減するため、法律上の結婚歴がある寡婦を対象にした、寡婦控除を非婚家庭にも適用し保育料などを軽減する自治体が増えています。2013年、最高裁決定を受けて遺産相続についての民法が改正され、結婚歴に関係なく子どもの相続分は平等になりました。結婚歴の有無で格差が生まれるのは不合理だと思います。市でも「みなし寡婦控除」の適用を認めるよう要望します。
4点目、学童保育の障害児の受け入れの問題です。要綱では「集団生活を営むうえで支障のないか否かを審査する」として、利用者審査会が保護者、児童と面談することになっています。市教育委員会の適正就学指導を経て入学した児童であり、さらに審査する必要があるのか疑問です。「障害者の権利に関する条約」から見ても問題があります。実態は、受け入れを前提に子どもへの配慮を要する点等の相談の場であるとのことです。そうであるならば実態に合わせて要綱の「審査」という表現は再検討すべきです。
5点目、介護保険についてです。介護保険では2015年度からの第6期介護保険事業計画に向け、通常国会で介護保険法を改悪し、これまでにない利用者の給付削減・負担強化などの大改悪がねらわれています。1つは「要支援」の高齢者への介護給付の打ち切りです。要支援者が利用する訪問介護(ホームヘルプサービス)通所介護(デイサービス)を市町村が実施する事業に丸投げし、費用を削減するためにボランティアや民間企業の活用を可能とするもので利用者はサービスの負担は落ちるのに負担は重いままとなりかねません。2つ目は特別養護老人ホームの入所要件を「要介護3」以上に重点化します。3つ目に利用者負担の強化です。年間所得が160万円(年金収入のみの場合280万円)以上の高齢者の利用料負担を2割に引き上げます。安心の介護保険を求める国民の願いに逆らう改悪はただちにやめるべきです。市としてもこのような改悪をさせないために国に対して強く働きかけることを求めるものです。
6点目、子ども子育て支援新制度についてです。2015年4月から消費税を財源に始まる制度です。2014年6月議会には事業計画や施設の条例制定が出される予定になっています。市では前倒しで西宮版小規模保育所が9か所開所しますが、保育補助者に関しては保育士資格を必要としていません。認可外保育施設等で子どもが亡くなる事例が各地から報告されています。子どもの命を守るためにもどの施設でも保育士資格を必須とし認定こども園や保育所等施設間で保育士配置基準や面積等で、価格差を作らないよう条例制定することを求めておきます。
7点目、子どもの医療費助成については、現在、所得制限があり世帯合算で約年収810万円以上、1人の働き手では約730万円以上が対象外になっていますが、西宮市内に住むすべての子どもたちを無料にすべきです。所得制限の撤廃についての検討を求めるものです。
8点目、学校配分予算についてです。学校配分予算は学校運営費標準の50%台にまで落ち込んでいます。学校運営費標準の積算見直しについては、ICT化などで大幅に変化しており見直す必要があるとし、プロジェクトチームなどを確立して作業を進めるとのことです。新年度の早い時期に作業を終了させ、補正予算での対応も含め学校配分予算の増額を改めて求めておきます。

 次に特別会計予算についてです。
1つ目は、食肉会計特別会計予算についてです。
食肉センターは、毎年、多額の一般会計からの繰り入れを行いながら、市民には何らメリットのない事業であります。新年度は、使用料収入1億3,286万円に対し、支出は3億6,205万円で、その差額は全て一般財源で賄わなくてはなりません。設置から四半世紀経過した食肉センターは、老朽化が進み、新年度も改修費用は8,818万円もの多額に上っています。今後は、センターそのものの改築も想定され、市財政への負担が大きくのしかかってくることは明らかであります。1日も早く検討委員会の提言どおり、完全民営化するよう強く求めます。

次に後期高齢者医療事業特別会計予算です。
 後期高齢者医療事業特別会計予算は、新年度は2年ごと保険料率の改定時期となります。今回は均等割り額で1600円、所得割率で0.56ポイント上がり、例えば年金収入203万円の方は2680円の負担増となります。保険料抑制財源である国・県・広域連合で拠出する財政安定化基金の拠出額も26年度から約二分の一に引き下げ、保険者としての責任を放棄する内容も明らかになりました。年金額が低すぎるため、保険料の天引き、すなわち特別徴収できない高齢者が32%にもなり、保険料滞納による3カ月・6カ月の短期保険証しか受け取れない方が増えていることも心配です。せめて75歳以上の高齢者については、国として医療費無料化を進めるべきです。

 以上、6件の議案に対する日本共産党西宮市会議員団の反対討論といたします。