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上田さち子の反対討論
2014年03月25日

西宮市立高等学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例制定の件


 「議案第400号 西宮市立高等学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例制定の件」 に、日本共産党西宮市会議員団は反対します。以下、その理由を述べます。

 今回の条例改正は、昨年11月「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」の改正に伴い条例改正を行うものです。

 この法改正の問題点は、公立高校の授業料不徴収条項を削除する点です。すべての公立高校の生徒に授業料を支払う義務がなくなり、ようやく高校無償化という世界の流れに沿うことになってわずか3年での大改悪。今回、授業料の不徴収をやめ、国公私立ともに所得制限を行なって「市町村民税所得割額」が30万4200円未満、年収910万円程度以下の世帯に「就学支援金」として全日制は月額9900円を支給するなどとしたのです。
 文部科学省の試算では、2割を超える高校生が支給対象外になるということで、西宮市立高校の2校だけをみても、新1年生のうち138名が授業料の支払い義務が発生することになります。就学支援金を受けようとする高校生は、保護者の収入額が分かる「課税証明書」などの提出を義務付けられます。西宮市立高校に通う高校生で、保護者が市内在住者については、教育委員会として世帯の収入状況を把握するとしていますが、県立高校に通う市内の生徒、さらに学区拡大で他市の生徒の所得の把握など事務が増大するのは必至です。就学支援金を受けたければ、その必要性を証明せよと高校生に義務付ける。これはすべての高校生の教育権を保障するための、これまでの法制度を著しくゆがめるものといわなければなりません。
 今回の改悪により、社会的に孤立した家庭、複雑な事情や困難を抱える家庭ほどハードルが高くなることは明らかです。ネグレクトなどがある場合、また家庭の不和から親を頼らない選択をした高校生など、経済的支援が切実に求められている高校生が、課税証明書の提出ができないために就学支援金を受けられない事態も危惧されます。

 以上述べた通り、今回の法改正、それにもとづく条例改正が、日本政府がようやく留保を撤回した国際人権規約、社会権規約の中等高等教育無償化の漸進的実現に逆行することは明らかです。文科省は、所得制限によって作り出される財源を、私学の就学支援金の加算や給付奨学金創設などに充てると説明しますが、本来、教育の充実のためには教育費総額を増額させることこそやるべきです。日本共産党西宮市会議員団は、高校教育の無償化を堅持すべきの立場から、本条例改正については反対します。