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佐藤みち子の代表質問
2014年06月23日

市長の政治姿勢にかかわって、2つの重大な国政問題について


 今村市長は所信表明の冒頭で、3千600人の職員を擁する西宮市役所の経営者として48万7千人の「住民の福祉の増進」を司り、西宮の未来に責任を持つようになったことに、身の引き締まる思いである。と述べられました。いうまでもなく西宮市は、その地域における住民を構成員として地域内の地方自治を行うための地方公共団体です。営利を目的とする株式会社とは根本的に異なるものです。経営者の位置づけに大きな違和感を持ちました。さらに、市長は公共サービスのあり方においては、「民間でできることは民間に委ねる」民間活力の積極的な導入を図ると述べ、ごみ収集、学校給食、保育所や幼稚園等、民間においても実施可能な事業、他自治体では民間が担っている事業については、「市直営の方が安全」「直営の方が信頼できる」というような根拠がない理屈は成り立たないと述べ、民間の劣悪な労働条件を前提にした一層の民営化推進論を展開されたことに反発を禁じえませんでした。
 その一方で、市長は職員の訓示で7回も「住民の福祉の増進」と言われました。民営化、効率的、合理的等々切り捨てばかりの行政運営は地方自治体の本旨である「住民の福祉の増進」とは相矛盾するものだと指摘しておきたいと思います。 

 さて、所信表明には重大な国政問題については一言もありませんでした。「住民の福祉の増進」が大事だと言われるのであれば、次の2点の国政問題は深く「住民の福祉の増進」に関わります。市長の見解をお聞きします。
 1つは、国のあり方を変えてしまうことになる「集団的自衛権」の問題についてです。「集団的自衛権」は日本が武力攻撃を受けていないのに、他国のために武力を行使するもので、日本の国の自衛とは無関係であり「海外で戦争はしてはいけない」という憲法9条の歯止めを外してしまうのが行使容認です。安倍政権の改憲策動の危険は大きいですが、保守政治の中枢を支えた政治家をはじめ国民との矛盾が激しくなっています。同時に、過去の侵略戦争や植民地支配を肯定・美化する動きに米国からも厳しい批判が寄せられました。戦後69年間、日本の国が他の国の戦争に巻き込まれなかったのは憲法9条があったからです。本来なら憲法を守らなければならない総理大臣が自分の都合のいいように解釈するなど絶対にあってはならないことです。この間、どの世論調査を見ても憲法の解釈改憲には反対が多くなっています。「平和非核都市宣言」をしている西宮市の市長として戦争をする国作りを許していいのか。市長の見解をお聞きします。
 次に、原発についてです。
 福井地方裁判所は5月21日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働差し止めを命じる判決を出しました。この判決では「人格権が人命を基礎とし、日本の法制上で最優先されている」と述べ、「国民の命と暮らしを守ること以上に大切なことはない」という立場に立つものです。また、原発の「安全神話」を厳しく断罪し、国民の命や安全よりもコストを優先する考え方を、きっぱりと退けました。運転停止による貿易赤字ではなく「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していること」を失うことこそ「国富の喪失」と断じました。
 特に判決冒頭の主文では、大飯原発から「250km圏内に居住する原告との関係で原発を運転してはならない」と述べましたが、西宮市はすっぽりとこの圏内に入ります。判決では、250キロ圏内に居住する原告は同原発の運転によって直接的に人格権が侵害されると結論づけました。各地の原発から250キロ圏を地図で示すと、北海道の一部と沖縄県を除いて日本列島がすっぽり入ります。日本に原発は「立地不適」これが判決が導く結論です。
 市長は、選挙後の朝日新聞の単独インタビューで改憲や原発は市政の課題ではない、と述べているようですが、この問題は250キロ圏内にすっぽり入る西宮市民にとっては大変重要です。また、「環境学習都市宣言」をしている市の市長として大飯原発差し止め判決を受け入れるべきと思うが市長の考えをお聞きします。