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野口あけみの一般質問
2014年06月25日

学童保育(留守家庭児童育成センター)事業について


 ただいまより日本共産党西宮市会議員団を代表して、わたくし野口あけみが一般質問を行います。傍聴にお越しの皆さん、ご苦労さまでございます。

 一点目の質問は学童保育事業についてです。なお、事業の呼称は、市においては留守家庭児童育成センター、国においては放課後児童クラブですが、質問では学童保育とします。
 学童保育は、共働き・ひとり親家庭等の小学生の放課後、また土曜や春夏冬休みなど学校休業日は1日の生活を、継続的に保障し、そのことを通して親の働く権利と子どもや家族の生活を守るという目的・役割を持つ事業・施設です。
 西宮では現在、小学校1年生から3年生まで、障害児に限り6年生までを受け入れて市が設置し、指定管理者による運営で、留守家庭児童育成センター(学童保育)が市内40小学校すべてで実施されています。利用時間は下校時から午後5時まで、土曜、夏休み等の学校休業中は、午前8時30分から午後5時、希望者は平日のみ午後7時まで延長利用できます。育成料として月額8200円、延長利用には月額3000円の加算を徴収しています。
 1947年に制定された児童福祉法では、保育所については市町村の保育実施義務が課せられていましたが、学童保育については明確な位置づけがなされずに来ていました。そうしたなか、やむにやまれず共同で学童保育を立ち上げたり、民間保育所が卒園児を預かり、学童保育を始めるなどして、つくられてきました。西宮においても保護者の共同保育が始まりでした。
 「働く親を持つ小学生の放課後の生活が保障され、健やかに育成されることは憲法や児童福祉法の精神から当然であり、国や地方自治体が学童保育の整備を行う責任がある」として、国の制度化や充実を求める全国の保護者や学童保育関係者の長年の運動と、学童保育の必要性が社会的にも認知される中で、ようやく50年後の1997年、児童福祉法に学童保育が位置づけられました。第6条の3第2項です。
 そこでは、「小学校のおおむね十歳未満の児童で、その保護者が昼間家庭にいない子どもに、授業終了後、児童厚生施設等の施設を利用して、適切な遊びと、生活の場を与えて、その健全な育成を図る」とされ、国や自治体に学童保育実施や整備の責任を、一定負わせることになったのです。
 さらに2012年「子ども子育て関連3法」が成立し、あわせて児童福祉法が改定されました。学童保育については、市町村が行う「地域子ども・子育て支援事業」に位置づけられて市町村の実施責任が強化されたうえで、対象年齢がおおむね10歳未満から小学校6年生までとなり、また、設備及び運営について条例で基準を定めなければならないと変わりました。
 政府も後押しするなかで女性の就労が進み、子どもが巻き込まれる犯罪が増えるなど子育てをめぐる環境の悪化がひろがるもとで、子どもたちに遊びだけでなく「生活の場」を与える学童保育の意義と役割は一層高まっているといえます。
 そんななかで今村新市長は所信表明で「放課後事業の抜本的な改革」として次のように述べています。「より多くの子どもたちに、安全・安心で質の高い育ちの場を提供するため、教育と福祉の縦割りを廃し、「留守家庭児童育成センター」と「放課後子ども教室」のそれぞれの役割を活かした運営の一体化を目指し、総合的な放課後対策に取り組みます」
 この考え方は目新しいものではなく、2006年5月に、少子化対策特命大臣、厚生労働大臣、文部科学大臣の合同記者会見で突然「放課後子どもプラン」が発表され、厚労省が所管する学童保育と、文科省所管の「放課後子ども教室」を「一体的または連携して推進する」としました。また、今年の3月にも政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、同様の考え方が示されています。
 しかし、共働き・ひとり親家庭などの子どもたちの毎日の生活の場である学童保育は、@専用の部屋、A専任の指導員、B入所申込みをして毎日利用する子どもたち、という3点が保障されなければ役割を果たせません。一方で、放課後子ども教室はすべての子どもが対象で、参加したい子どもたちが各種の「活動」や、「体験」、「行事」の時間帯だけに参加するものです。このように学童保育と放課後子ども教室では、目的や役割、利用の方法、運営方法、職員の仕事やこどもへのかかわりなど、大きく異なっています。
 目的や役割が違い、利用方法などが違うものを、どうしたら国や市長が言うように「それぞれの役割を活かして一体化」することができるのでしょうか。先ほど申し上げた学童保育の必要条件である3点、実施場所、指導員やボランティアなどの職員、子どもたちが「一体化」することになれば、結局、学童保育の役割を果たせず、多くの共働き、ひとり親家庭の子育てを支援することはできません。
 こうした懸念の声が広がる中で、厚労省では学童保育の量的拡大・質的拡充を推進しつつ、両事業の一体化でなく連携を推進しています。
  
質問です。
1、西宮における「放課後子ども教室」の役割や運営の実態について、聞かせてください。
2、改めて学童保育の意義と役割についてどう考えているか、お聞きします。
3、市長が言う「学童保育と放課後子ども教室のそれぞれの役割を活かした運営の一体化」とはどういうことか。
4、学童保育事業では、設備や運営について条例化することになりました。9月議会に条例提案されると聞いていますが、条例化にあたっての現時点での方針はどういうものか。
5、改正児童福祉法では6年生までが学童保育の対象としています。保護者の要望も強いと思いますが、市は要望をどうつかんでいるか。
待機児童がうまれていたり満杯の学童もあることから全学童での一斉実施は困難だとは思われますが、せめて4年生を対象に、条件のある学童からモデル実施をしてはどうか。